少、貧血、血小板減少:このような副作用(各0.1%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。8. 間質性肺炎:発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎(頻度不明)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 循環器注1) 0.1~5%未満 PQ延長、QRS幅延長、QTc延長、房室ブロック、脚ブロック、動悸
2. 循環器注1) 0.1%未満 洞結節機能低下、徐脈、血圧低下
3. 肝臓注2) 0.1~5%未満 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇
4. 肝臓注2) 0.1%未満 Al-P上昇
5. 泌尿器注3) 0.1~5%未満 尿閉、排尿困難等の排尿障害
6. 腎臓 0.1%未満 BUN上昇、クレアチニン上昇
7. 眼注3) 0.1%未満 光視症、霧視等の視調節障害
8. 過敏症注4) 0.1~5%未満 発疹
9. 過敏症注4) 0.1%未満 紅斑、そう痒感
10. 精神神経系 0.1~5%未満 頭痛、頭重、めまい、ふらつき、眠気、振戦
11. 精神神経系 0.1%未満 立ちくらみ、幻覚
12. 消化器 0.1~5%未満 口渇、食欲不振、便秘、悪心、嘔吐、腹痛、腹部不快感
13. 消化器 0.1%未満 口内炎
14. その他 0.1~5%未満 脱力感、倦怠感、冷汗
15. その他 0.1%未満 胸部圧迫感、息切れ、関節痛、鼻乾燥、インポテンス
注1)定期的に心電図検査、血圧測定を行い異常な変動が観察された場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
注2)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止すること。
注3)このような症状が発現した場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
注4)観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
高齢者への投与
高齢者では、肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすいので、定期的に心電図検査等を行い、PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。(「薬物動態」の項参照)
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦等:妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]2. 授乳婦:授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物実験で母乳中へ移行することが報告されている。(「薬物動態」の項参照)]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。(使用経験がない。)
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤の投与により、ブロムフェノールブルー系試験紙法での尿蛋白検査では偽陽性を呈することがあるので、スルフォサリチル酸法を用いること。
過量投与
症状:主として心電図の変化、特にQRS幅の著しい延長と心原性ショック等の心抑制症状の併発がみられる。また、腎不全があり、本剤の血中濃度が非常に高い場合は低血糖を起こしやすく、また、まれに筋無力症(呼吸筋を含む)を起こすおそれがある。
処置:心電図、呼吸、血圧の監視及び一般的維持療法を行う。
本剤は透析ではほとんど除去されないので、中毒時の治療法としては透析は有効ではない。
・催吐、胃洗浄
・過量投与の治療法としては、乳酸ナトリウムを必要に応じカリウムとともに持続注入する。
・心抑制症状に対しては必要に応じてドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の投与を行う。
・ブロックがあればペースメーカーを装着する。また、薬剤で効果がみられない心電図異常に対してはペースメーカーを装着するか電気ショックを行うなど必要に応じた処置を行う。
・低血糖がみられている場合は、ブドウ糖の投与を行う。
適用上の注意
薬剤交付時:PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 健康成人男子にシベンゾリンコハク酸塩100、150、200mgを単回経口投与した場合、血漿中濃度は下図のとおりである。血漿中濃度は投与量の増加に比例して増大するが、消失半減期は投与量によって変化しない。1)
(2) シベンゾリンコハク酸塩150mgを1日3回ずつ反復経口投与した場合、2日目には定常状態に達し、そのときの血漿中濃度は単回投与時の1.2~1.5倍であった。2)
(3) 高齢者3)及び腎機能障害患者4)ではシベンゾリンの血漿中濃度の消失半減期は、健康成人に比べ延長した。
2. 代謝及び排泄 健康成人に100、150、200mgを単回経口投与した場合、投与後48時間までに未変化体シベンゾリンとして55~62%が尿中に排泄された。1)また、外国において健康成人に、14C標識シベンゾリンコハク酸塩153mgを単回経口投与した場合、尿中への放射能排泄率は最初の24時間で投与量の75.4%、6日間で85.7%であった。糞便中へは6日間で投与量の13.2%が排泄された。なお、ヒトでの代謝物は最初の24時間尿中にデヒドロ体とp‐ヒドロキシ体がそれぞれ2.8%及び3.4%(抱合体を含む)排泄された。5)14C標識シベンゾリンをヒト肝ミクロゾーム又はヒトCYP発現系ミクロゾームと反応させ、代謝反応に関与するP450分子種を検討した結果、p‐ヒドロキシ体及びデヒドロ体の生成にはそれぞれCYP2D6及びCYP3A4(一部CYP2D6)が主に関与していることが示唆された。6)
[参考]
乳汁中移行 哺育中のラットに14C標識シベンゾリンコハク酸塩を10mg/kg経口投与した後の乳汁中濃度は血漿中濃度とほぼ同程度かそれより低い濃度であった。7)
薬物動態の表
Tmax(h) Cmax(ng/mL) T1/2(h)
100mg 1.5±0.5 201±39 5.28±0.60
150mg 1.5±0.5 311±43 5.51±0.74
200mg 1.3±0.5 478±120 5.63±0.44
(n=6、