値に注意すること。]
8. 血清カリウム低下のある患者
[催不整脈作用が誘発されやすいので、心電図変化に注意すること。]
重要な基本的注意
1. 本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。特に、次の患者又は場合には、心停止に至ることがあるので、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。
(1) 基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)があり、心不全を来すおそれのある患者(心室頻拍、心室細動が発現するおそれが高いので、開始後1~2週間は入院させること。)
(2) 高齢者(入院させて開始することが望ましい。)
(3) 他の抗不整脈薬との併用(有効性、安全性が確立していない。)
(4) 腎機能障害のある患者
[本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすい。特に透析を必要とする腎不全患者では、急激に血中濃度が上昇するおそれがあるので投与しないこと。(〈用法・用量に関連する使用上の注意〉の項参照)]
2. 本剤の投与中は、臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、血糖検査等)を定期的に行い、必要に応じて適宜本剤の血中濃度を測定すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等適切な処置を行うこと。特に高齢者及び腎機能障害患者では、血中濃度上昇により低血糖が、また、基礎心疾患のある患者では、心機能抑制作用及び催不整脈作用に起因する循環不全によって肝・腎障害があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止すること。
3. 本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる場合があるので、恒久的ペースメーカー使用中、あるいは一時的ペーシング中の患者に対しては十分注意して投与すること。また、ペースメーカー使用中の患者に投与する場合は適当な間隔でペーシング閾値を測定すること。異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること。
4. 本剤には抗コリン作用があり、その作用に基づくと思われる排尿障害、口渇、霧視、視調節障害等の症状があらわれることがあるので、このような場合には減量するか投与を中止すること。
5. 1日用量450mgを超えて投与する場合、副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
6. めまい、ふらつき、低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
相互作用
相互作用の概略
本剤は尿中に未変化体として55~62%排泄される。また、肝において主にCYP2D6及びCYP3A4で代謝される。(「薬物動態」の項参照)
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等バルデナフィル塩酸塩水和物
(レビトラ)
モキシフロキサシン塩酸塩
(アベロックス)
トレミフェンクエン酸塩
(フェアストン)
フィンゴリモド塩酸塩
(イムセラ、ジレニア)
*エリグルスタット酒石酸塩
*(サデルガ)
臨床症状・措置方法心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある。
機序・危険因子本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により相加的に作用が増強するおそれがある。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
β-受容体遮断剤
プロプラノロール
臨床症状・措置方法本剤の作用が増強される可能性がある。
機序・危険因子機序は明らかではないが、動物実験において本剤とこれらの薬剤との併用による作用増強の可能性が報告されている。
2. 薬剤名等
糖尿病用薬
インスリン製剤
スルホニルウレア系薬剤
ビグアナイド系薬剤
チアゾリジン系薬剤
速効型インスリン分泌促進剤
*α-グルコシダーゼ阻害剤
*GLP-1受容体作動薬
*DPP-4阻害剤
*SGLT2阻害剤
等
臨床症状・措置方法低血糖があらわれるおそれがある。
機序・危険因子動物実験において、本剤高用量投与時にインスリン分泌亢進が認められるとの報告があり、これらの薬剤との併用により血糖降下作用が増強される可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
総症例数4,452例中、352例(7.91%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められ、主な副作用は口渇29件(0.65%)、低血糖、胃部不快感、ふらつき及びALT(GPT)上昇が各13件(0.29%)であった。
(再審査結果通知:1998年3月)
重大な副作用
1. 催不整脈作用:心室細動(0.1%未満)、心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、上室性不整脈(各0.1~5%未満)があらわれ、心停止に至る場合もあるので、定期的に心電図検査を行い、異常な変動が観察された場合には、投与を中止し、抗不整脈薬を投与するなど適切な処置を行うこと。2. ショック、アナフィラキシー:ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、胸内苦悶、冷汗、呼吸困難、血圧低下、発疹、浮腫等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。3. 心不全:心不全(0.1~5%未満)、心原性ショック(0.1%未満)があらわれることがあるので、定期的に心機能検査を行い、異常な変動が観察された場合には、投与を中止し、ドパミンの投与等適切な処置を行うこと。4. 低血糖:低血糖(0.1~5%未満)があらわれることがあるので、定期的に血糖値測定を行うこと。また低血糖が疑われる症状(脱力・倦怠感、発汗、冷感、意識障害、錯乱等)がみられた場合には、投与を中止し、必要に応じブドウ糖を投与すること。5. 循環不全による肝障害:本剤の心機能抑制作用及び催不整脈作用に起因する循環不全によって重篤な肝障害(トランスアミナーゼ、LDHの急激な上昇を特徴とするショック肝:0.1%未満)があらわれることがある。このような場合には、投与を中止し、早急にドパミンの投与等心機能改善のための処置を行うとともに、必要に応じ肝庇護療法など適切な処置を行うこと。なお、このような症例では、腎障害を伴うことがある。6. 肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP等の上昇を伴う肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。7. 顆粒球減少、白血球減