539;対症療法を行う。
その他の注意
1.
免疫抑制剤による治療を受けた患者では、悪性腫瘍(特にリンパ腫、皮膚癌等)の発生率が高いとする報告がある。
2.
ラット(1.0~3.0mg/kg、皮下投与)で、精子数の減少及び精子運動能の低下が、また高用量群では繁殖能の軽度低下が認められた6)。
薬物動態
1. 血中濃度
(1) 腎移植
1)
承認時までの臨床試験において、成人腎移植患者9例にプログラフカプセル0.16mg/kgを経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった7)。(「薬物動態の表」表4参照)
2)
市販後の調査において、小児腎移植患者5例(平均年齢9歳)にプログラフ(平均投与量0.218mg/kg)を朝食1時間前と朝食直後に投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった8)。(「薬物動態の表」表5参照)
3)
市販後の調査において得られた移植初期の投与量とトラフ値は次のとおりであった9)。
(2) 肝移植
1)
小児肝移植患者(平均年齢5.3歳)においては、成人に比べ体重換算で2.7~4.4倍の経口投与量で同程度の血清中濃度が得られた10)。(外国人でのプログラフカプセル投与時のデータ)
2)
市販後の調査において得られた移植初期の投与量とトラフ値は次のとおりであった11)。
(3) 小腸移植(外国人でのプログラフカプセル投与時のデータ)
小児小腸移植患者(平均年齢2.9歳)においては、成人に比べ体重換算で1.3~2.5倍の経口投与量で同程度の血漿中濃度が得られた12)。
(4) 骨髄移植
治療投与時の投与開始初期の投与量とトラフ値は次のとおりであった13)。
(5) **重症筋無力症
承認時までの臨床試験において、成人重症筋無力症患者90例にプログラフカプセル3mgを経口投与したときの投与8~16時間後の平均血中濃度は4.19ng/mL(0.65ng/mL~22.44ng/mL)であった。なお、平均血中濃度が10ng/mL以上を示した患者は2例であった14)。
市販後の調査において、プログラフ(カプセル・顆粒)3mgを経口投与した重症筋無力症患者539例の使用実態下における平均血中濃度は4.73ng/mL(検出限界以下~14.2ng/mL)であった。なお、平均血中濃度が10ng/mL以上を示した患者は17例であった15)。
(6) プログラフカプセルとプログラフ顆粒の比較
成人腎移植患者9例にプログラフカプセル及びプログラフ顆粒を同用量投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった16)。(「薬物動態の表」表6参照)
2. 吸収17)(外国人データ)
健康成人にて食事による本剤薬物動態パラメータへの影響を検討したところ、食直後及び食後1.5時間に経口投与した場合は空腹時に比べ有意にCmax及びAUCの低下がみられ、Tmaxは延長した。
3. 分布18)(参考:ラットでのデータ)
ラットに14C標識タクロリムス0.32mg/kgを静注したところ、5分後には放射能はほとんどの組織に移行し、特に副腎、肺、心臓、甲状腺に高かった。移行した放射能は血中濃度の低下とともに消失した。なお、大脳、小脳へは低濃度の移行が認められ、放射能の消失は遅かった。
4. 乳汁中移行19)(外国人データ)
肝移植後の授乳婦6例にて本剤の乳汁中移行を検討したところ、平均血漿中濃度の約半分の移行が認められた。
5. 代謝
(1)
本剤は主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝される。したがって、CYP3A4で代謝される他の薬物との併用により本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4を誘導する薬物との併用により本剤の血中濃度が低下する可能性がある。一方、本剤がCYP3A4での代謝を阻害することにより、CYP3A4で代謝される他の薬物の血中濃度を上昇させる可能性がある。また、本剤の血漿蛋白結合率は98.8%以上と高いので、血漿蛋白との親和性が強い薬剤との相互作用の可能性がある。
(2)
肝移植患者での血中、尿中及び胆汁中代謝物は主として脱メチル体及び水酸化体であった20)。(外国人データ)
6. 排泄(外国人データ)
代謝物の大部分は胆汁中に排泄され、未変化体の尿中排泄率は1%以下であった21)。なお、本剤の血中濃度は腎機能あるいは透析による影響を受けない。
薬物動態の表
表4
Tmax
(h) Cmax
(ng/mL) AUC0-12h
(ng・h/mL) トラフ値※
(ng/mL) F※※
(%)
4.2±2.9 44±45 274±198 16±12 20±17.8
(平均±S.D.)
※12時間後血中濃度
※※生体内利用率
表5
Tmax
(h) Cmax
(ng/mL) AUC0-12h
(ng・h/mL) F※
(%)
朝食1時間前 1.6±0.5 51±24 247±85 11.9±3.7
朝食直後 2.8±0.8 28±11 205±78 10.0±3.9
(平均±S.D.)
※生体内利用率
表6
症例番号 投与量(mg/kg/回) カプセル:Cmax
(ng/mL) カプセル:AUC0-12h
(ng・h/mL) 顆粒:Cmax
(ng/mL) 顆粒:AUC0-12h
(ng・h/mL) 比(顆粒/カプセル):Cmax 比(顆粒/カプセル):AUC0-12h
1 0.03 10 42.7 18 94.4 1.80 2.21
2 0.02 10 70.2 9.3 68.6 0.93 0.98
3 0.06 27 165.4 23 113.3 0.85 0.69
4&nbs