投与試験において、流涎、嘔吐、軟便あるいは液状便がみられ、脱水及び電解質喪失が観察された。また、ラット及びイヌにおいて、肝酵素の上昇、肝重量の増加、肝細胞壊死等が報告されている。
3.
In vitro及びin vivo試験である細菌を用いる復帰突然変異試験、マウスリンフォーマTK試験、ラット小核試験あるいはヒトリンパ球を用いる染色体異常試験において、本薬は遺伝毒性を示さなかった。
薬物動態
<日本人における成績>
日本人健康成人男性(n=9)に本剤1400mg、本剤1400mgとリトナビル200mg、あるいは本剤700mgとリトナビル100mgを単回経口投与した時の血漿中アンプレナビル濃度推移を図-1に、アンプレナビルの薬物動態パラメータを表-1に示した。アンプレナビルは投与約3時間後に最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約6~7時間であった。
図-1 血漿中アンプレナビル濃度の推移(9例の平均値±標準偏差)
<外国人における成績>
1. 吸収
本剤は経口投与後、主に消化管上皮において速やかにアンプレナビルと無機リン酸に加水分解される。
健康成人に本剤1400mgを1日2回、本剤1400mgとリトナビル200mgを1日1回、あるいは本剤700mgとリトナビル100mgを1日2回反復経口投与した時の定常状態におけるアンプレナビルの薬物動態パラメータは表-2の通りであった。
健康成人に本剤1400mgとリトナビル100mgあるいは200mgを、同一被験者にクロスオーバー法により1日1回、14日間併用投与した時の定常状態におけるアンプレナビルの薬物動態パラメータは表-3の通りであった。
本剤1400mgに併用するリトナビルの用量にかかわらず、アンプレナビルの薬物動態は同様であった。
健康成人に本剤1400mgを経口投与した時の薬物動態は、食事によって影響されなかった。
健康成人とHIV感染症患者を対象とした各薬物動態試験において、本剤及びリトナビル投与後のアンプレナビルの薬物動態に差は認められなかった。
2. 分布
健康成人に本剤を経口投与した時のアンプレナビルの見かけの分布容積は約600Lであった。リトナビルとの併用投与により、アンプレナビルの見かけの分布容積は約40%低下した。
3. 代謝
本剤は経口投与後、主に消化管上皮において速やかにアンプレナビルと無機リン酸に加水分解される。アンプレナビルは、主に肝臓においてCYP3A4により代謝される。
本剤とリトナビルを併用投与した場合、リトナビルによる強力なCYP3A4阻害により、アンプレナビルの代謝がリトナビルにより阻害される結果、血漿中アンプレナビル濃度が上昇する。なお、本剤との併用投与で使用されるリトナビルの用量(100mg1日2回あるいは200mg1日1回投与)は、リトナビルの通常臨床用量(600mg1日2回投与)の6分の1であり、本剤とリトナビルを併用投与した場合の抗ウイルス活性は主にアンプレナビルによるものである。
4. 排泄
HIV感染症患者に本剤を経口投与した時のアンプレナビルの消失半減期は約8.5時間であった。
本剤とリトナビルを併用投与した時、アンプレナビルの消失半減期は12時間に延長した。
アンプレナビルの主要な消失経路は肝代謝であり、未変化体(アンプレナビル)の尿中排泄率は1%未満であった。健康成人に14C-アンプレナビルを単回経口投与した時の代謝物及び未変化体の尿中排泄率は約14%、糞中排泄率は約75%であった。
5. 小児
2~18歳のHIV感染症患者におけるアンプレナビルの薬物動態は成人と同様であった。
これらの患者における定常状態時のアンプレナビルの薬物動態パラメータを表-4に示す。
6. 高齢者
65歳以上の患者において、本剤投与時の薬物動態の検討は行われていない。
7. 腎機能障害患者
腎機能障害患者における検討は行われていないが、腎排泄はアンプレナビルあるいはリトナビルの主要排泄経路ではなく、これらの排泄に対する腎機能障害の影響は少ないと考えられるため、用量調節を行う必要はない。
8. 肝機能障害患者
軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類の合計点数:5~6)を有するHIV感染症患者に本剤700mg1日2回/リトナビル100mg1日1回を併用投与した結果、肝機能の正常なHIV感染症患者に本剤700mg1日2回/リトナビル100mg1日2回を併用投与した場合と比較して、血漿中アンプレナビルのCmax及びAUC0-∞はわずかに高く(それぞれ17%及び22%高い)、Cτは同様であった。
中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類の合計点数:7~9)を有するHIV感染症患者に本剤700mg1日1回/リトナビル100mg1日1回を併用投与した結果、肝機能の正常なHIV感染症患者に本剤700mg1日2回/リトナビル100mg1日2回を併用投与した場合と比較して、血漿中アンプレナビルのCavg、Cτ及び非結合アンプレナビルのCτは、それぞれ24%、65%及び42%低かった。
重度の肝機能障害(Child-Pugh分類の合計点数:10~13)を有するHIV感染症患者に本剤300mg1日2回/リトナビル100mg1日1回を併用投与した結果を本剤700mgに標準化し、肝機能の正常なHIV感染症患者に本剤700mg1日2回/リトナビル100mg1日2回を併用投与した場合と比較すると、アンプレナビルのAUC0-τが約80%増加することが示された。
また、肝機能障害患者に本剤を単独投与した時の薬物動態成績は得られていない。しかしながら、肝機能障害患者に対するアンプレナビル600mgの単回経口投与において、中等度の肝硬変患者のAUC0-∞(25.76μg・h/mL)は、健康成人(12.00μg・h/mL)と比較して有意に高値を示した。また、重度の肝硬変患者のAUC0-∞及びCmax(AUC0-∞:38.66μg・h/mL、Cmax:9.43μg/mL)は、健康成人(AUC0-∞:12.00μg・h/mL、Cmax:4.90μg/mL)と比較して有意に高値を示した。
9. 相互作用
本剤は体内においてアンプレナビルに変換された後、主に肝臓においてCYP3A4により代謝される。また、アンプレナビルはCYP3A4の阻害作用を有する。
本剤又は本剤とリトナビルを併用薬剤と投与した時の薬物動態パラメータの変化を表-5・6に示す。
本剤は体内においてアンプレナビルに変換されるため、参考としてアンプレナビルを各種薬剤と併用投与した時の薬物動態パラメータの変化を表-7・8に示す。
10. その他の薬物速度論的パラメータ
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