ストロゲンやプロゲストゲンを併用した場合のデータは得られておらず、有効性・安全性は確立していない。
機序・危険因子
機序不明
副作用
副作用等発現状況の概要
**HIV感染症を対象とした海外臨床試験において、700例中246例(35.1%)に中等度又は重度の副作用が認められ、その主なものは下痢53例(7.6%)、悪心37例(5.3%)、嘔吐28例(4.0%)であった。なお、アバカビル硫酸塩錠を併用した試験においては、主な副作用として薬物過敏症が報告されていた。
なお、副作用の頻度については、日本人における臨床試験成績は得られていないため、HIV感染症を対象とした海外臨床試験成績に基づき分類した。また、上記の海外臨床試験では認められていないが、HIVプロテアーゼ阻害剤を含むレジメンで報告されている副作用については頻度不明とした※。
使用成績調査364例中、159例(43.68%)に副作用が報告された。その主なものは、下痢38例(10.44%)、高脂血症31例(8.52%)、高トリグリセリド血症25例(6.87%)、発疹18例(4.95%)、悪心13例(3.57%)であった(再審査終了時)。
重大な副作用
1. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
Stevens-Johnson症候群等の重度又は生命に危険を及ぼすような発疹があらわれたとの報告がある(1%未満)。重度の発疹、及び全身的症状又は粘膜症状を伴う中等度の発疹があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止し適切な処置を行うこと。
2. **高血糖、糖尿病
糖尿病・糖尿病の悪化(0.82%※)、高血糖(0.55%※)及び糖尿病性ケトアシドーシス(頻度不明)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、インスリン又は経口糖尿病薬の投与開始や用量調節など適切な処置を行うこと(HIVプロテアーゼ阻害剤にて治療中の患者において、糖尿病、糖尿病の悪化、高血糖及び糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれたとの報告がある)。
3. 出血傾向
皮下血腫、出血性関節症等の出血事象の増加(頻度不明)があらわれることがあるので、本剤投与中は出血事象の増加に注意し、このような症状があらわれた場合は、血液凝固因子を投与するなど適切な処置を行うこと(HIVプロテアーゼ阻害剤にて治療中の血友病の患者において、皮下血腫、出血性関節症等の出血事象の増加があらわれたとの報告がある)。
4. **横紋筋融解症、筋炎、筋痛、CK(CPK)上昇
横紋筋融解症、筋炎(いずれも頻度不明)、CK(CPK)上昇(0.27%※)及び筋痛(1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合は、投与を中止するなど適切な処置を行うこと(HIVプロテアーゼ阻害剤にて治療中の患者(特にHIV逆転写酵素阻害剤を併用している患者)において、横紋筋融解症、筋炎、筋痛、CK(CPK)上昇があらわれたとの報告がある)。
**※重大な副作用のうち、使用成績調査にて報告された副作用に関しては、使用成績調査結果に基づき頻度を記載した。
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
1. 皮膚
1%~10%未満
発疹、そう痒
2. 皮膚
1%未満
紅斑、斑状丘疹性皮疹
3. 皮膚
頻度不明
血管浮腫
4. 精神神経系
1%~10%未満
頭痛
5. 心臓障害
頻度不明
心筋梗塞
6. 消化器
1%~10%未満
下痢、悪心、嘔吐、腹痛
7. 消化器
1%未満
鼓腸、口の錯感覚
8. 肝臓
1%~10%未満
肝機能検査値異常(AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇)
9. 代謝・栄養障害
1%~10%未満
高脂血症
10. 代謝・栄養障害
1%未満
体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)、リパーゼ上昇
11. 代謝・栄養障害
頻度不明
インスリン抵抗性
12. 腎及び尿路障害
1%未満
腎結石症
13. 全身症状
1%~10%未満
疲労
高齢者への投与
高齢者における薬物動態は検討されていない。高齢者に対し本剤を投与する場合には、患者の肝、腎、及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分考慮し慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)でアンプレナビルは乳汁中へ移行するとの報告がある。また、HIVが乳汁へ移行する可能性がある。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤に対する解毒剤は知られていない。また、アンプレナビルは高いタンパク結合率を有するため、腹膜透析や血液透析により除去できる可能性は低い。過量投与時には、患者を十分観察し、必要な対症療法を実施すること。
その他の注意
1.
長期がん原性試験(104週)において、雄マウス(250mg/kg/日以上)で肝細胞腺腫及び肝細胞癌並びに雌雄ラット(各々、825及び300mg/kg/日以上)で肝細胞腺腫及び甲状腺濾胞細胞腺腫の増加がみられた。なお、ラットの反復投与試験において、甲状腺濾胞細胞腺腫の発現に関与する肝薬物代謝酵素誘導を示唆する所見がみられた。また、ラットでは対照群に比べ精巣間細胞過形成(825mg/kg/日以上)及び子宮内膜腺癌(2250mg/kg/日)の軽度な増加がみられたが、子宮内膜腺癌の発現率は背景値範囲内であった。臨床試験や市販後の使用経験からは、これら所見が臨床的に重要であることを示唆する報告は得られていない。なお、マウス(250~600mg/kg/日)及びラット(300~2250mg/kg/日)のがん原性試験における曝露量は、ヒトに本剤1400mg1日2回投与した場合の曝露量の0.3~0.7倍及び0.7~1.4倍、本剤1400mg及びリトナビル200mg1日1回投与した場合の曝露量の0.2~0.3倍及び0.3~0.7倍、本剤700mg及びリトナビル100mg1日2回投与した場合の曝露量の0.1~0.3倍及び0.3~0.6倍に相当する。
2.
イヌの反復