最終濃度を1~10mg/mLとする。点滴バッグをゆっくり反転させて混和すること。バイアル中の残液は廃棄すること。
・希釈液は凍結させないこと。
・本剤は保存料を含まない。希釈液をすぐに使用せず保管する場合には、25℃以下で6時間以内又は2~8℃で合計24時間以内に使用すること。希釈液を冷所保存した場合には、投与前に点滴バッグを常温に戻すこと。
3. 投与時
・本剤は、インラインフィルター(0.2~5μm)を使用して、30分間かけて静脈内投与する。本剤の急速静注は行わないこと。〔「用法・用量」の項参照〕
・同一の点滴ラインを使用して他の薬剤を併用同時投与しないこと。
*その他の注意
国内外の臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。
薬物動態
血中濃度
(1) 単回投与
国内第I相試験(KEYNOTE-011試験)で、日本人の進行性固形がん患者に本剤2又は10mg/kgを単回静脈内持続投与したときの、血清中濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。クリアランス及び分布容積の幾何平均値は用量間(2及び10mg/kg)で概して同様であった。
図1 日本人患者の血清中濃度推移(平均±標準偏差)(KEYNOTE-011試験)
(表1 本剤2又は10mg/kgを単回投与したときの薬物動態パラメータの要約統計量(KEYNOTE-011試験)参照)
(2) 反復投与
<根治切除不能な悪性黒色腫>
国内第I相試験(KEYNOTE-041試験)で、日本人の根治切除不能な悪性黒色腫患者に本剤2mg/kgを3週間間隔で反復静脈内持続投与したときの、初回(サイクル1)及び投与後21週(サイクル8)の血清中濃度推移を図2に、サイクル1及びサイクル8の薬物動態パラメータを表2に示す。サイクル8における、本剤のトラフ濃度及びAUC0-21dayの幾何平均は、それぞれ24.5μg/mL及び797μg・day/mLであった。本剤のトラフ濃度はサイクル8(21週)までにおおむね定常状態に到達した。
図2 日本人患者のサイクル1及びサイクル8の血清中濃度推移(平均±標準偏差)(KEYNOTE-041試験)
(表2 本剤2mg/kgを3週間間隔で投与したときの薬物動態パラメータの要約統計量(KEYNOTE-041試験)参照)
*<PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>
国際共同第III相試験(KEYNOTE-024試験)で、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者(薬物動態解析対象152例、日本人21例を含む)に、本剤200mgを3週間間隔で反復静脈内持続投与したときの、日本人及び外国人患者における血清中トラフ濃度推移を図3に示す。初回(サイクル1)のCmaxの幾何平均(幾何変動係数)は67.5μg/mL(23%)で、投与後21週(サイクル8)のトラフ濃度†の幾何平均(幾何変動係数)は30.6μg/mL(50%)であった。
†:サイクル8投与前の血清中濃度
図3 日本人及び外国人患者の血清中トラフ濃度推移(平均±標準偏差)(KEYNOTE-024試験)
表1 本剤2又は10mg/kgを単回投与したときの薬物動態パラメータの要約統計量(KEYNOTE-011試験)
Cmax
(μg/mL) Tmax†
(day) AUC0-28day
(μg・day/mL) t1/2
(day) CL
(mL/day/kg) Vz
(mL/kg)
本剤
2mg/kg
(3例) 47.4
(18.6) 0.223
(0.00208-0.233) 507
(20.0) 18.4
(56.1)‡ 2.46
(44.7) 65.3
(21.3)
本剤
10mg/kg
(7例) 250
(23.2) 0.00903
(0.000694-0.232) 2219
(32.4) 18.1
(68.4)‡ 2.93
(56.5) 76.5
(34.4)
幾何平均(幾何変動係数[%])
†:中央値(範囲)
‡:Tlastを超えるt1/2を有する患者1例を平均値に含む
表2 本剤2mg/kgを3週間間隔で投与したときの薬物動態パラメータの要約統計量(KEYNOTE-041試験)
Cmax
(μg/mL) Ctrough
(μg/mL) AUC0-21day
(μg・day/mL) CL
(mL/day/kg)
サイクル1(42例) 40.9(28.1) 11.3†‡(19.0) 393†(18.2) NA
サイクル8(28例) 61.8(24.5) 24.5§||(48.8) 797§(32.4) 2.51§(32.4)
幾何平均(幾何変動係数[%])
†:41例
‡:サイクル2投与前の血清中濃度
§:25例
||:サイクル9投与前の血清中濃度
NA:該当なし
臨床成績
<根治切除不能な悪性黒色腫>
1. 国内第I相試験(KEYNOTE-041試験)
化学療法歴のない又はイピリムマブを含まない2レジメンまでの化学療法歴を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者42例(有効性解析対象37例)を対象に、本剤2mg/kg 3週間間隔投与の有効性及び安全性が検討された。なお、画像評価で疾患進行が認められた場合に、疾患進行を示す症状が認められない等の臨床的に安定している患者では、次回以降の画像評価で疾患進行が認められるまで本剤の投与を継続することが可能とされた。主要評価項目である奏効率[RECISTガイドライン1.1版に基づく中央判定による完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)]は、24%(95%信頼区間:12~41)であった。
2. 海外第II相試験(KEYNOTE-002試験)1)
イピリムマブによる治療歴を有する根治切除不能な悪性黒