い。
(5) 内分泌ホルモンに及ぼす影響38),39),40),41)
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、Zollinger-Ellison症候群患者において、20~60mg投与により血清ガストリン値の上昇がみられることがあるが、投与終了後、投与前値への回復あるいは回復傾向が認められる。胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者において、20mg投与によりその他の内分泌ホルモンにはほとんど影響を及ぼさない。
2. 動物での作用
(1) H+,K+-ATPase阻害作用42),43)
ウサギ及びラットの胃粘膜H+,K+-ATPaseに対し阻害作用を示す。
(2) 胃酸分泌抑制作用42),44),45)
ウサギ分離胃底腺を用いたdibutyryl cyclic AMP刺激酸分泌に対して抑制作用を示す。幽門結紮ラット、胃瘻ラット、迷走神経切断ラットにおけるペンタガストリン及びカルバコール刺激、Heidenhain pouch犬におけるヒスタミン刺激、胃瘻犬におけるペンタガストリン刺激による胃酸分泌に対し、強い抑制作用を示す。
(3) 実験潰瘍に対する作用44),46)
ラットにおける水浸拘束ストレス、幽門結紮、インドメタシン、アスピリン、プレドニゾロン及びエタノール胃潰瘍並びにメピリゾール十二指腸潰瘍に対し、強い抗潰瘍作用を示す。また、酢酸胃及び十二指腸潰瘍に対しても治癒促進効果を示す。
3. ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助作用
(1) ヘリコバクター・ピロリ感染動物モデルにおける除菌効果
マウスヘリコバクター・ピロリ感染モデルにおいて、アモキシシリン水和物単独、又はクラリスロマイシンとの2剤併用群では除菌率は低く(除菌率;各々6%)、オメプラゾールを添加することにより除菌率は著しく上昇し、アモキシシリン水和物とオメプラゾールの2剤併用で約50%、アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びオメプラゾールの3剤併用では約80%であった47)。
(2)
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療におけるオメプラゾールの役割は胃内pHを上昇させることにより、併用されるアモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。
4. 作用機序42),43)
胃腺の壁細胞の細胞膜上に存在する受容体へ、各種酸分泌刺激物質が結合することにより、壁細胞内において一連の胃酸分泌反応がおきる。この反応の最終過程では、壁細胞内からH+を放出し、代わりにK+を取り込むプロトンポンプと呼ばれる酵素H+,K+-ATPaseが働いている。オメプラゾールは、このプロトンポンプの働きを阻害することによって、胃酸分泌を抑制する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名 :オメプラゾール(Omeprazole)(JAN)(日局)
化学名 :(RS)-5-Methoxy-2-{[(4-methoxy-3,5-dimethylpyridin-2-yl)methyl]sulfinyl}-1H-benzimidazole
構造式 :
分子式 :C17H19N3O3S
分子量 :345.42
融点 :約150℃(分解)
分配係数:∞[クロロホルム/緩衝液(pH7.0)]
性状 :オメプラゾールは、白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。オメプラゾールのN,N-ジメチルホルムアミド溶液(1→25)は旋光性を示さない。オメプラゾールは、光によって徐々に黄白色となる。
包装
オメプラール錠10:[PTP] 100錠(10錠×10)、140錠(14錠×10)、500錠(10錠×50)
オメプラール錠20:[PTP] 100錠(10錠×10)、140錠(14錠×10)、500錠(10錠×50)
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