した。
処置
本剤の過量投与時の解毒剤は知られていない。本剤の過量投与が疑われた場合は、適切な対症療法を行うこと。
適用上の注意
1. 投与経路
本剤は静脈内にのみ投与すること。
2. 投与時
(1)
本剤は希釈せずに使用すること。
(2)
本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚、眼、粘膜に薬液が付着した場合には、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
その他の注意
1.
本剤のがん原性試験は実施していないが、L5178Y/TKマウスリンパ腫細胞を用いた検討において、代謝活性化の有無にかかわらず、遺伝子突然変異誘発作用を示すことが報告されている。また、類薬において二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
2.
本剤の性腺に対する影響については不明であるが、類薬では動物実験において精巣毒性が認められているので、小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
薬物動態
1. *血中濃度
(1) 日本人における成績2)
再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病ならびにT細胞リンパ芽球性リンパ腫の成人患者7例注)にネララビンを隔日(1、3、5日目)に2時間かけて静脈内投与した時の血漿中ネララビン及びara-Gの薬物動態パラメータを表-1に、濃度推移を図-1に示す。また、再発又は難治性のT細胞急性リンパ性白血病の小児患者4例にネララビンを5日間連日1時間かけて静脈内投与した時の血漿中ネララビン及びara-Gの薬物動態パラメータを表-2に、濃度推移を図-2に示す。
注)T細胞急性リンパ性白血病患者4例、T細胞リンパ芽球性リンパ腫患者3例

図-1 成人における血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

図-2 小児における血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
(2) 外国人における成績
血漿中ara-GのCmaxは概して、1時間又は2時間かけたネララビンの持続静注の終了時に認められ、ネララビンのCmaxよりも高かったことから、ネララビンからara-Gへの迅速かつ高度な変換が示された。成人患者に本剤1500mg/m2を2時間かけて持続静注したときの血漿中ネララビン及びara-GのCmax(幾何平均)は、各々13.9μM及び115μMであった。1500mg/m2の投与1日目における血漿中ara-GのAUC0-tは535μM・hrであり、血漿中ネララビンのAUC0-t(17.8μM・hr)よりも30倍高かった。
ネララビンの連日投与又は1、3、5日目の隔日投与後の血漿中に、ネララビン又はara-Gの蓄積は認められなかった。
ネララビン及びara-Gは血漿中から速やかに消失し、半減期は各々30分未満及び2~3時間であった。本剤104~2900mg/m2を投与した第I相臨床試験全体の成人患者の成績では、試験1日目のネララビンのクリアランスは138L/hr/m2であり、ara-Gの見かけのクリアランスは9.5L/hr/m2であった。
ネララビン及びara-Gは体内に広範に分布し、成人患者におけるネララビンの定常状態での分布容積は約115L/m2、ara-Gの定常状態での見かけの分布容積は約45L/m2であった。
本剤104~2900mg/m2を投与した第I相臨床試験全体の小児患者の成績では、ネララビンの定常状態での分布容積は約89L/m2、ara-Gの定常状態での見かけの分布容積は約32L/m2であった。小児患者における試験1日目のネララビンのクリアランスは125L/hr/m2であり、ara-Gの見かけのクリアランスは10.8L/hr/m2であった。
2. *分布(外国人における成績)
1500mg/m2の投与1日目における白血病芽球内のara-Gの活性5’-三リン酸化体(細胞内ara-GTP)のCmaxは、投与後3~25時間の間に認められ、細胞内ara-GTPのAUC0-tは2214μM・hrで血漿中ネララビンのAUCよりも124倍高く、血漿中ara-GのAUCよりも4倍高かった。
白血病芽球の細胞内ara-GTP濃度は、長時間にわたって定量可能であった。ネララビンの反復投与により細胞内ara-GTPが蓄積し、1、3、5日目の隔日投与試験における試験3日目の細胞内ara-GTPのCmax及びAUC0-tは、試験1日目の値よりも各々約50%及び約30%高かった。
ネララビン及びara-Gのin vitroでのヒト血漿中蛋白結合率は低く(25%未満)、600μM以下の濃度ではネララビン又はara-Gの濃度に依存しなかった。
3. *代謝(外国人における成績)
ネララビンの主要代謝経路はara-Gを生成するアデノシンデアミナーゼによるO-脱メチル化であり、ara-Gは加水分解されてグアニンに代謝される。また、ネララビンの一部は加水分解されてメチルグアニンとなり、さらにO-脱メチル化によってグアニンに代謝される。グアニンはN-脱アミノ化によってキサンチンとなり、さらに酸化されて尿酸に代謝される。
4. *排泄(外国人における成績)
ネララビン及びara-Gの一部は腎を経由して排泄された。成人患者における試験1日目のネララビン投与後24時間のネララビン及びara-Gの尿中排泄率は各々投与量の約5%及び約23%であり、ネララビン及びara-Gの腎クリアランスは各々16.4L/hr及び4.9L/hrであった。
5. *特別な患者集団における薬物動態(外国人における成績)
(1) 性差
ネララビン及びara-Gの薬物動態に関して性差は認められなかった。
(2) 高齢者
ネララビン及びara-Gの薬物動態に及ぼす年齢の影響は認められなかったが、高齢者では腎機能の低下している場合が多いためara-Gのクリアランスが減少する可能性がある。
(3) 腎機能障害患者
腎機能障害患者又は血液透析患者を対象としたネララビン及びara-Gの薬物動態試験は実施されていない。ネララビンの腎からの排泄率は低く(投与量の約5%)、ara-Gとしての腎からの排泄率はこれより高い(ネララビン投与量の約23%)。なお、第I相臨床試験で薬物動態を検討した成人及び小児患者をクレアチニンクリアランス(CLcr)概算値に基づいて、腎機能正常の患者(CLcr>80mL/分、n=55)、軽度のCLcr低下患者(CLcr=50~80mL/分、n=11)及び中等度のCLcr低下患者(CLcr<50mL/分、n=2)に三区分すると、腎機能正常の患者と比べて、ara-Gの見かけのクリアランスが、軽度のCLcr低下患者では約7%低く、中等度のCLcr低下患者では約20~40%低かった。なお、CLcrが50mL/分未満の腎機能障害患者への推奨用量のデータは十分に得られていない。
(4) 肝機能障害患者
肝機能障害患者におけるネララ |