(評価対象例数) %(例数) 発現率(/100人・年)
[95%信頼区間]
全体(4791例) 1.4%(65) 0.94 [0.74, 1.20]
開始~6ヵ月(4791例) 0.4%(17) 0.79[0.49, 1.26]
6ヵ月~12ヵ月(4012例) 0.3%(13) 0.72[0.42, 1.24]
12ヵ月~18ヵ月(3126例) 0.4%(13) 1.06[0.61, 1.82]
18ヵ月~24ヵ月(2054例) 0.4%(8) 1.09[0.54, 2.17]
24ヵ月~30ヵ月(941例) 0.7%(7) 1.93[0.92, 4.05]
30ヵ月~36ヵ月(672例) 0.7%(5) 1.60[0.67, 3.84]
36ヵ月~(567例) 0.4%(2) 0.67[0.17, 2.67]
注:本剤の承認用法・用量は、5mg 1日2回経口投与である。
薬効薬理
作用機序
トファシチニブは、JAKファミリーの強力な阻害薬であり、ヒトのキナーゼ群の中で高い選択性を示す。トファシチニブは、キナーゼアッセイでJAK1、JAK2、JAK3を阻害し、TyK2も軽度に阻害する。細胞内では2分子のJAKが介在してシグナル伝達が行われるが、トファシチニブはJAK3又はJAK1に会合するヘテロ二量体受容体によるシグナル伝達を強力に阻害し、その機能的選択性はJAK2に会合するホモ二量体受容体によるシグナル伝達に対する阻害よりも高い。JAK1及びJAK3の阻害により、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15及びIL-21を含む数種類の共通のγ鎖を有するサイトカイン受容体を介したシグナル伝達が遮断される。これらのサイトカインは、リンパ球の活性化、増殖及び機能発現に不可欠であることから、これらのシグナル伝達の阻害により免疫反応を様々な形で抑制できると考えられる。また、JAK1に対する阻害作用により、IL-6やI型IFNなど他の炎症誘発性サイトカインを介したシグナル伝達も抑制すると考えられる。より高用量では、JAK2ホモ二量体シグナル伝達の抑制を介したエリスロポエチンのシグナル伝達の抑制が生じる可能性がある。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トファシチニブクエン酸塩(Tofacitinib Citrate)
化学名
3-{(3R,4R)-4-Methyl-3-[methyl(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)amino]piperidin-1-yl}-3-oxopropanenitrile monocitrate
分子式
C16H20N6O・C6H8O7
分子量
504.49
構造式
性状
本品は白色の粉末である。本品はN,N-ジメチルアセトアミドに溶けやすく、水に溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
承認条件
1.
製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
2.
適切な製造販売後調査を実施し、本剤の安全性について十分に検討するとともに、感染症等の発現を含めた長期投与時の安全性及び有効性について検討すること。
包装
ゼルヤンツ錠5mg:28錠(PTP)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:生殖発生毒性試験 [L20120705046]
2)
社内資料:授乳ラットにおける組織分布 [L20120705038]
3)
社内資料:がん原性試験 [L20120705045]
4)
社内資料:単回及び反復投与毒性試験(サル) [L20120705041]
5)
Borie, D. C. et al.:Transplantation 80(12):1756, 2005 [L20110811076]
6)
**社内資料:外国第II相試験 インフルエンザワクチン及び肺炎球菌ワクチン接種後の免疫応答への影響 [L20140701001]
7)
**社内資料:外国第II/III相試験 インフルエンザワクチン及び肺炎球菌ワクチン接種後の免疫応答への影響 [L20140701002]
8)
社内資料:健康成人における薬物動態(単回及び反復投与) [L20120705067]
9)
社内資料:関節リウマチ患者におけるポピュレーションPK解析 [L20120705091]
10)
社内資料:健康成人におけるバイオアベイラビリティの検討 [L20120705064]
11)
社内資料:健康成人における食事の影響 [L20120705065]
12)
社内資料:in vitroでの血漿蛋白結合率の検討 [L20120705092]
13)
社内資料:in vitroでの各種蛋白との結合率の検討 [L20120705093]
14)
社内資料:血球への移行の検討 [L20120705094]
15)
社内資料:健康成人におけるマスバランスの検討 [L20120705066]
16)
社内資料:in vitroでの代謝の検討 [L20120705095]
17)
社内資料:代謝に関連するヒトCYP酵素の検討 [L20120705096]
18)
社内資料:ヒトの薬物代謝酵素に対する影響 [L20120705097]
19)
社内資料:P糖蛋白質の基質としての評価試験 [L20120705098]
20)
社内資料:P糖蛋白質阻害作用の検討 [L20120705099]
21)
社内資料:ヒト有機カチオントランスポーター(hOCT2)阻害作用の検討 [L20120705100]
22)
社内資料:健康成人における糸球体ろ過への影響の検討 [L20120705077]
23)
社内資料:ヒト有機アニオン輸送ポリペプチド(hOATP 1B1)阻害作用の検討 [L20120705101]
24)
社内資料:ヒト有機アニオン輸送ポリペプチド(hOATP 1B3)阻害作用の検討 [L20120705102]
25)
Giacomini, K. M. et al.:Nat Rev Drug Discov 9(3):215, 2010 [L20130325001]
26)
社内資料:メト