;用量に関連する使用上の注意」、「薬物動態」の項参照]
8.
糖尿病又はその既往歴のある患者、あるいは糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者[血糖値が上昇することがある(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)。]
9.
高齢者[「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]
10.
小児[「小児等への投与」の項参照]
11.
薬物過敏症の患者
12.
脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者[悪性症候群が起こりやすい。]
重要な基本的注意
1.
*持効性製剤は、精神症状の再発及び再燃の予防を目的とする製剤である。そのため、本剤は、急激な精神興奮等の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には用いないこと。また、一度投与すると直ちに薬物を体外に排除する方法がないため、本剤を投与する場合は、予めその必要性について十分に検討し、副作用の予防、副作用発現時の処置、過量投与等について十分留意すること。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「副作用」、「過量投与」の項参照]
2.
増量が必要な場合には、本剤が持効性製剤であることを考慮して、患者の症状を十分観察しながら慎重に増量すること。
3.
投与初期、再投与時、増量時にα交感神経遮断作用に基づく起立性低血圧があらわれることがあるので、低血圧があらわれた場合は減量等、適切な処置を行うこと。
4.
眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
5.
興奮、誇大性、敵意等の陽性症状を悪化させる可能性があるので観察を十分に行い、悪化がみられた場合には他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。
6.
本剤の投与により、高血糖や糖尿病の悪化があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡に至ることがあるので、本剤投与中は、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意するとともに、特に糖尿病又はその既往歴あるいはその危険因子を有する患者については、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照]
7.
低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。[「重大な副作用」の項参照]
8.
本剤の投与に際し、あらかじめ上記6.及び7.の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、医師の診察を受けるよう指導すること。[「慎重投与」、「重大な副作用」の項参照]
9.
抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者に投与する場合には注意すること。[「重大な副作用」の項参照]
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
アドレナリン(ボスミン)
臨床症状・措置方法
アドレナリンの作用を逆転させ、血圧降下を起こすことがある。
機序・危険因子
アドレナリンはアドレナリン作動性α、β受容体の刺激剤であり、本剤のα受容体遮断作用によりβ受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。
2.
薬剤名等
クロザピン(クロザリル)
臨床症状・措置方法
クロザピンは原則単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は半減期が長いため、本剤が体内から消失するまでクロザピンを投与しないこと。
機序・危険因子
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体等)
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強することがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤の中枢神経抑制作用による。
2. 薬剤名等
ドパミン作動薬
臨床症状・措置方法
相互に作用を減弱することがある。
機序・危険因子
本剤はドパミン遮断作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
3. 薬剤名等
降圧薬
臨床症状・措置方法
降圧作用が増強することがある。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤の降圧作用による。
4. 薬剤名等
アルコール
臨床症状・措置方法
相互に作用を増強することがある。
機序・危険因子
アルコールは中枢神経抑制作用を有する。
5. 薬剤名等
カルバマゼピン1)
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下することがある。
機序・危険因子
本剤の排泄、代謝を促進し、吸収を低下させる可能性がある。
副作用
副作用等発現状況の概要
承認時までの国内探索的試験、国際共同二重盲検比較試験及び国内長期投与試験における安全性評価対象例492例(日本人410例を含む)中353例(71.7%)に副作用が認められた。その主なものは、高プロラクチン血症136例(27.6%)、注射部位疼痛72例(14.6%)、注射部位硬結52例(10.6%)、不眠症32例(6.5%)、精神症状31例(6.3%)、アカシジア27例(5.5%)であった。
重大な副作用
1. **悪性症候群(Syndrome malin)
頻度不明注)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡することがある。
2. **遅発性ジスキネジア
頻度不明注)
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。