5件であった。その主なものは、出血性の副作用43件(2.55%)、ALT(GPT)上昇7件(0.42%)、肝機能障害6件(0.36%)、AST(GOT)上昇5件(0.30%)等であった。(承認時までの調査及び市販後の使用成績調査の集計)
重大な副作用
1. ショック・アナフィラキシー様症状(頻度不明注))
ショックが起こることがある。呼吸困難、浮腫等のアナフィラキシー様症状を伴うことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
2. 出血(0.85%)
頭蓋内出血(0.08%)、消化管出血(0.27%)、後腹膜出血(頻度不明注))等の重篤な出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、出血又は出血の悪化等異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。血液凝固能が著しく低下し、抗凝血作用を急速に中和する場合は、硫酸プロタミンを投与すること。
3. 血小板減少(0.01%)
血小板減少があらわれることがあるので血小板数を測定し、著明な減少が認められた場合には投与を中止すること。
4. 血栓症(頻度不明注))
著明な血小板減少とそれに伴う血栓症の発現が報告されている。ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)の場合は、著明な血小板減少と脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓症やシャント閉塞、回路内閉塞を伴う。本剤投与後は血小板数を測定し、著明な減少や血栓症を疑わせる異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注:自発報告のため頻度不明。
その他の副作用
次のような症状があらわれた場合には、必要に応じ、減量、投与中止等の適切な処置を行うこと。
1. 過敏症注1)(0.1%未満)
そう痒感、発熱
2. 過敏症注1)(頻度不明注2))
発疹
3. 肝臓(0.1~5%未満)
ALT(GPT)の上昇
4. 肝臓(0.1%未満)
AST(GOT)、Al-Pの上昇
5. 消化器(0.1%未満)
嘔気、食欲不振
6. 皮膚(頻度不明注2))
脱毛
7. *その他(頻度不明注2))
骨粗鬆症注3)
注1:このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
注2:自発報告のため頻度不明。
*注3:類薬(ヘパリン等)の長期投与で報告がある。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2. 授乳婦
投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが確認されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(低出生体重児、新生児、乳児又は幼児に対しては使用経験がない。小児には使用経験が少ない)。
適用上の注意
1. 調製時
本剤は、抗ヒスタミン剤と混合すると反応し沈殿を生じるおそれがあるので、混注は避けること。
2. 使用後
保存剤を添加していないので、残液を保存使用しないこと。
その他の注意
1. 動物実験での反復投与試験(ラット)において高用量で対照薬(ヘパリン)に比べて軽度の骨多孔症がみられたとの報告がある。
2. 外来透析患者では、穿刺部の止血を確認してから帰宅させること。
3. ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)はヘパリン-血小板第4因子複合体に対する自己抗体(HIT抗体)の出現による免疫学的機序を介した病態であり、重篤な血栓症(脳梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等)を伴うことがある。HIT発現時に出現するHIT抗体は100日程度で消失~低下するとの報告がある[「原則禁忌」の項参照]。また、投与終了数週間後に、HITが遅延して発現したとの報告もある。
4. 本剤は未分画ヘパリンや他の低分子量ヘパリン又は合成多糖類と製造工程、分子量の分布が異なり、同一単位(抗第Xa因子活性)でも他のヘパリン類とは必ずしも互換性がないため、投与量の設定の際には本剤の用法・用量に従うこと。
薬物動態
健康成人に本剤を25国際単位/kg単回投与した場合、投与直後及び2時間後の血中濃度は0.50及び0.21国際単位/mLであり、半減期は1.53時間であった。また、本剤を15国際単位/kg/時間の速度で3時間静脈内持続投与した場合、血中濃度は徐々に上昇し3時間後には0.49国際単位/mLに達した。投与終了後の半減期は1.78時間であった。なお、25国際単位/kg単回投与後の尿中排泄を、抗第Xa因子活性として測定したところ、投与6時間後までの尿中累積排泄率は3.11%であった。
血液透析患者に本剤を体外循環開始時約1,000国際単位単回投与し、体外循環開始後毎時約500国際単位の速度で5時間持続注入した場合、血中濃度は0.29~0.44国際単位/mLであった。
汎発性血管内血液凝固症患者に本剤の1日量約3,900国際単位を5日間静脈内持続投与した場合、0.09~0.11国際単位/mLの血中濃度が維持された。1~3)
臨床成績
1. 血液体外循環時の灌流血液の凝固防止(血液透析)2~12)
(1) 出血性病変又は出血傾向を有しない患者
1) 出血性病変又は出血傾向を有しない患者を対象とした二重盲検比較試験において、血液透析時の抗凝固剤としての有用性が認められている。
2) 出血性病変又は出血傾向を有しない患者を対象とした二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤の体外循環路内の血液凝固防止効果は97.1%(364/375例)であった。
(2) 出血性病変又は出血傾向を有する患者
1) 出血性病変又は出血傾向を有する患者を対象とした比較試験において、血液透析時の抗凝固剤としての有用性が認められている。
2) 出血性病変又は出血傾向を有する患者を対象とした比較臨床試験を含む臨床試験において、本剤の体外循環路内の血液凝固防止効果は92.3%(180/195例)であった。
2. 汎発性血管内血液凝固症(DIC)2~12)
二重盲検比較試験を含む臨床試験において、本剤は出血症状、臓器症状ならびに凝血学的検査値を改善し、総合効果は「中等度改善」以上で48.0%(47/98例)、「軽度改善」以上で77.6%(76/98例)であった。
薬効薬理
1. 血液凝固阻止作用13~20)
ダルテパリンナトリウムは、ヒト血漿において血漿カルシウム再加時間、第Xa因子凝固時間などを用量依存的に延長する(in vitro)。
2. 実験的透析モデルにおける抗凝固作用13~2