2.
本剤の使用にあたっては、出血症状の観察・凝血学的検査を十分に行い、本剤によると考えられる出血症状の発現・増悪がみられた場合には投与を中止すること。
3.
本剤投与中に重篤な腎機能障害が認められた際は、次のことに注意すること。
(1)
重篤な腎機能障害に伴い出血症状の発現・増悪がみられた場合には投与を中止すること。
(2)
本剤投与により有効性が認められた場合には、血小板数、凝固・線溶系マーカー、出血症状に注意しながら、本剤を130U/kgまで減量することを考慮すること。[本剤は主として腎臓から排泄されるため。]
(3)
本剤投与による有効性が評価できていない場合には、他の薬剤に変更することも検討すること。[本剤130U/kgを重篤な腎機能障害患者に投与した経験は少ない。]
4.
他の血液凝固阻害剤で、脊椎・硬膜外麻酔あるいは腰椎穿刺等の併用により、穿刺部位に血腫が生じ、神経の圧迫により麻痺に至ったとの報告がある。このような場合に本剤を使用するときには、患者の神経障害の徴候及び症状を十分観察し、異常がみられた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
プロテインC濃度が高度に低下している可能性が高い患者に本剤を投与する場合は、可能な限り本剤投与前、又は投与開始後早期にプロテインC濃度を測定し、10%以下の低値であり、かつDICの改善がみられない場合は速やかに他剤での治療に切り替えること。[プロテインCの濃度が検出限界以下(10%以下)に低下した患者では薬効が減じるおそれがある。第3相臨床試験において、プロテインC濃度が10%以下に低下した患者4例はいずれも本剤投与後DICから非離脱であった。]
6.
本剤は蛋白製剤であり、ショック、アナフィラキシー様症状等があらわれる可能性があるので、観察を十分に行い、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
7.
DICの再発時には他剤の使用なども考慮し、本剤の再投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ行うこと。また、本剤を再投与する場合には、出血傾向の増悪、凝血能の変動、アレルギー症状等について注意深く観察すること。[本剤再投与の経験は少なく、有効性及び安全性は確立されていない。また、本剤に対する抗体が出現することがある。]
相互作用
他の薬剤との相互作用は、可能な全ての組み合わせについて検討されているわけではないので、本剤の投与中に新たに他剤を併用したり、休薬する場合には、凝血能の変動に注意すること。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
抗凝固剤(未分画ヘパリン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、ガベキサートメシル酸塩、ナファモスタットメシル酸塩、乾燥濃縮人アンチトロンビンIII等)
臨床症状・措置方法
本剤の作用が増強するおそれがある。他の抗凝固剤と本剤との併用の安全性は明らかになっておらず、併用に際しては慎重に投与の判断を行うこと。
これらの薬剤が単独投与で効果が不十分な場合にのみ併用を検討すること。併用にあたっては、出血症状・凝血学的検査値の変動に十分注意すること。
機序・危険因子
併用により、抗凝固作用が相加的に作用する2~6)。
2. 薬剤名等
血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤等)
臨床症状・措置方法
他の抗凝固剤(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。
機序・危険因子
本剤の抗凝固作用とこれら薬剤のフィブリン溶解作用により出血傾向が増強するおそれがある。
3. 薬剤名等
血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン塩酸塩、非ステロイド系抗炎症剤等)
臨床症状・措置方法
他の抗凝固剤(ヘパリン)でその作用を増強することが報告されている。
機序・危険因子
本剤の抗凝固作用とこれら薬剤の血小板凝集抑制作用により出血傾向が増強するおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤の承認時までの副作用発現状況は以下のとおりである。
国内における臨床試験での安全性評価対象症例279例中36例(12.9%)に副作用が認められた。血清AST(GOT)上昇10例(3.6%)、血清ALT(GPT)上昇8例(2.9%)、カテーテル留置部位出血7例(2.5%)、尿沈渣赤血球5例(1.8%)等であった。なお、出血に関連する副作用は15例(5.4%)で認められた。(承認時)
使用成績調査の安全性評価対象症例4062例中288例(7.1%)に副作用が認められた。その主なものは、血清ALT(GPT)上昇25例(0.6%)、血清AST(GOT)上昇23例(0.6%)、皮下出血17例(0.4%)、血管穿刺部位出血、鼻出血が各16例(0.4%)、メレナ、胃腸出血が各14例(0.3%)等であった。なお、出血に関連する副作用は223例(5.5%)で認められた。また、小児等への投与例では、270例中15例(5.6%)に副作用が認められた。(第5回安全性定期報告時)
重大な副作用
出血
頭蓋内出血(0.5%)、肺出血(0.4%)、消化管出血(0.8%)等の重篤な出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、徴候がみられた場合には画像診断等により確認し、投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 出血障害
0.1~5%未満
消化管出血(下血、便潜血陽性)、カテーテル留置部位出血、血管穿刺部位出血、皮下出血、鼻出血、口内出血、血尿、血腫、紫斑(病)
2. 皮膚・皮膚付属器障害
0.1~5%未満
発疹
3. 皮膚・皮膚付属器障害
0.1%未満
多形滲出性紅斑様皮疹、丘疹
4. 消化管障害
0.1%未満
胃潰瘍
5. 肝臓・胆管系障害
0.1~5%未満
血清AST(GOT)上昇、血清ALT(GPT)上昇、ビリルビン血症
6. 肝臓・胆管系障害
0.1%未満
黄疸
7. 代謝・栄養障害
0.1~5%未満
アルカリフォスファターゼ上昇
8. 代謝・栄養障害
0.1%未満
LDH上昇、高コレステロール血症、低カリウム血症、高カリウム血症、低クロール血症、高クロール血症、低血糖、低コレステロール血症、高ナトリウム血症、糖尿、コリンエステラーゼ低下、血中尿酸低下、高トリグリセライド