. 肝臓
頻度不明注1)、注2)
AST(GOT)上昇注2)、ALT(GPT)上昇注2)、Al-P上昇注2)、LDH上昇注2)
7. 血液
頻度不明注1)、注2)
好酸球増多注2)、ヘマトクリット低下注2)、白血球増多注2)
8. その他
頻度不明注1)、注2)
嘔気・嘔吐注1)、発熱注1)、倦怠感注2)、蛋白尿注2)、尿沈渣異常注2)、動悸注2)、ほてり注2)、総蛋白低下注2)、BUN上昇注2)
上記のような症状が認められた場合は適切な処置を行うこと。
注1)自発報告により認められている副作用のため頻度不明。
注2)関節リウマチにおける膝関節痛適用をもつ類薬により認められている副作用のため頻度不明。
注3)発現した場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[動物実験(ウサギ)では催奇形性は認められていないが、妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。]
小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。
適用上の注意
1. 注射時の注意
(1)
本剤は膝関節腔内又は肩関節内に投与するので、厳重な無菌的操作のもとに行うこと。
(2)
症状の改善が認められない場合は、5回を限度として投与を中止すること。
(3)
関節液の貯留があるときには、必要に応じ穿刺により排液すること。
2. その他
(1)
血管内へは投与しないこと。
(2)
眼科用には使用しないこと。
(3)
本剤は粘稠なため、22~23G程度の注射針を用いて投与することが望ましい。
(4)
本剤の使用は1回限りとし、開封後は速やかに使用し、使用後は廃棄すること。
(5)
本剤は、殺菌消毒剤であるベンザルコニウム塩化物等の第4級アンモニウム塩及びクロルヘキシジンにより沈殿を生じることがあるので十分注意すること。
薬物動態
(参考)動物における吸収、分布、代謝、排泄1,2)
ウサギの膝関節腔内に1%14C-ヒアルロン酸ナトリウム0.1mL/kgを単回投与した結果は以下のとおりであった。
薬物動態の表
関節液中濃度 投与後約3日間で関節液中より消失した。
関節液中半減期は約20時間であった。
血中濃度 投与後約48時間に最高値を示し、以後徐々に減少した。
関節組織内濃度 靭帯、滑膜組織に高く、次いで半月板、関節軟骨で高い分布が認められた。
肝臓、脾臓でも高い分布が認められたが、蓄積は認められなかった。
代謝 関節液中ではほとんど代謝されることなく滑膜組織にとり込まれ、そこで一部低分子化をうけ血中へ移行したのち、主に肝で代謝された。
排泄 大部分が呼気中に、一部が尿中及び糞中に排泄された。
臨床成績
国内の延べ109施設において総計557例の変形性膝関節症及び肩関節周囲炎を対象として実施された群間比較試験及び一般臨床試験の概要は次のとおりである。
(1) 変形性膝関節症
422例を対象として実施した比較試験3)及び一般臨床試験の結果、運動時痛、安静時痛、圧痛、日常生活動作等を指標とした有効率(中等度改善以上)は66.1%(279/422)であった。また、比較試験で有用性が認められている。
(2) 肩関節周囲炎
101例を対象として実施した比較試験4)及び一般臨床試験の結果、夜間時痛、運動時痛、圧痛、日常生活動作等を指標とした有効率(中等度改善以上)は70.3%(71/101)であった。また、比較試験で有用性が認められている。
薬効薬理
本剤は、関節組織を被覆・保護し、潤滑機能を改善するとともに、変性軟骨に浸みこみ、変性変化の抑制、軟骨代謝の改善をもたらす。さらに滑膜組織に浸みこみ、炎症及び変性変化を抑制する。また、発痛物質の作用を抑制して、疼痛抑制作用を発揮する。これらのことから疼痛の寛解、日常生活動作及び関節可動域の改善をもたらす。
(1) 関節組織浸透性
変性軟骨や滑膜の深部まで浸透する(モルモット5)、in vitro6))。
(2) 関節軟骨に対する作用
1)
軟骨と親和性を有し、軟骨表面を被覆、保護する(ウサギ7,8))。
2)
軟骨の変性変化を抑制する(ウサギ9,10,11,12,13)、マウス14))。
3)
軟骨破壊に関与する軟骨からの活性酸素、マトリックスメタロプロテアーゼ-1、3及び13の産生を抑制する(in vitro15,16))。
4)
軟骨マトリックスからのプロテオグリカンの遊出を抑制し、軟骨代謝を改善する(ウサギ17)、in vitro6,7,18))。
5)
関節軟骨の変性変化を抑制し、軟骨下骨の修復を促進する(ウサギ19))。
(3) 滑膜に対する作用
1)
滑膜細胞に作用し、滑膜の炎症及び変性変化を抑制する(イヌ20)、in vitro21))。
2)
滑膜細胞に作用し、インターロイキン-1βの産生を抑制し、軟骨の変性変化を抑制する(in vitro22))。
3)
コラーゲンで誘発した実験的関節炎モデルにおいて、滑膜の炎症を抑制する(ラット23))。
(4) 関節液に対する作用
1)
滑膜細胞に作用し、高分子ヒアルロン酸の合成を促進する(患者:成人男女24)、イヌ20))。
2)
病的関節液のヒアルロン酸濃度及び分子量を高め、曳糸性等を改善する(患者:成人男女24,25))。
3)
関節液中のコンドロイチン4硫酸及びコンドロイチン6硫酸、ヒアルロン酸濃度を改善する(患者:成人男女26))。
(5) 疼痛抑制作用
1)
実験的関節疼痛モデルにおいてブラジキニン単独及びブラジキニンとPGE2併用による発痛作用を抑制する(ラット27,28,29))。