検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、精密な検査を行うこと。
なお、簡便な眼の検査としては、次のような方法がある。
1)
視力検査表による検査
2)
指を用いる視野狭窄検査
3)
中心暗点計による検査
4)
眼底検査
5)
色覚検査表による検査
(3)
本剤を高齢者に投与する場合には、視力検査を特に慎重に行うこと。
薬物動態
1. 血中濃度
エブトール125mg錠を経口投与(4錠、エタンブトール塩酸塩500mg)した結果、最高血中濃度(Cmax)は1.7μg/mL(血漿中)、最高血中濃度到達時間(Tmax)は2.8時間であった (健康成人男子、空腹時投与) 4)。
また、エタンブトール塩酸塩は血漿タンパクとはほとんど結合しない (in vitro )。なお、エタンブトール塩酸塩250mg経口投与時の血球内濃度は血清内濃度に比して高値を示した (肺結核患者) 5)。
2. 分布
エタンブトール塩酸塩0.5g経口投与後、肺組織中濃度は血清中濃度に比して同等ないしは高値を示した (肺結核患者) 6)。
25mg/kg経口投与後、喀痰中に高濃度のエタンブトール塩酸塩が認められた (肺結核患者) 7)。
3. 代謝・排泄
(外国人でのデータ)
14C-エタンブトール塩酸塩25mg/kg経口投与後の尿中累積排泄率は、24時間後54~61%、48時間後60~67%であった。糞中には48時間後までに12~19%が排泄された。
尿中代謝物の大部分が未変化体で、一部は酸化物であるアルデヒド体並びに酸であった (肺結核患者) 8)。
(注) 本剤の承認された用法・用量とは異なる (「用法・用量」の項参照)。
臨床成績
初回治療例及び再治療例に対しても他の抗結核剤との併用により喀痰中結核菌の陰性化及び胸部レ線像の改善がみられた9,10)。
薬効薬理
1.
結核菌に対して強い抗菌力を示し、人型結核菌H37Rv株に対し、1%小川培地、Dubos液体培地では2.5~5μg/mLで発育を阻止する11~13)。
2.
イソニアジド、ストレプトマイシン等の他の抗結核薬との間に交叉耐性はない11~13)。
3.
結核菌の核酸合成を阻害し、細胞分裂を抑制することが認められている11~13)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
エタンブトール塩酸塩 (Ethambutol Hydrochloride)
化学名:
2, 2'-(Ethylenediimino) bis[(2S )-butan-1-ol]dihydrochloride
分子式:
C10H24N2O2・2HCl
分子量:
277.23
融点:
200~204℃
旋光度:
[α]20D: +5.5~+6.1°(乾燥後、5g、水、50mL、200mm)
構造式:
性状:
エタンブトール塩酸塩は、白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。
水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
エタンブトール塩酸塩1.0gを水20mLに溶かした液のpHは3.4~4.0である。
包装
エブトール125mg錠:
(PTP) 100、1,000錠
(バラ) 1,000錠
エブトール250mg錠:
(PTP) 100、500錠
(バラ) 500錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
日本結核病学会非結核性抗酸菌症対策委員会: 結核 83, 731, (2008)
2)
日本結核病学会非定型抗酸菌症対策委員会: 結核 73, 599 (1998)
3)
Griffith, D. E. et al.: Am. J. Respir. Crit. Care. Med., 175, 367 (2007)
4)
丹治昭治 他: Cross-over法による変更前製剤と変更後製剤とのBioavailabilityに関する検討 (科研製薬(株)社内資料)
5)
青柳昭雄: 結核, 52, 459~468 (1977)
6)
馬場治賢 他: 日本胸部臨床, 23, 862~872 (1964)
7)
副島林造: 結核, 40, 403~405 (1965)
8)
Peets, E. A. et al.: Amer.Rev.Resp.Dis., 91, 51~58 (1965)
9)
国療化研第8次A研究: Tubercle, 47, 349~360 (1966)
10)
国療化研第13次B研究: 結核, 47, 139~144 (1972)
11)
山本和男 他: 日本胸部臨床, 22, 797~804 (1963)
12)
森山英五郎: 結核, 39, 155~161 (1964)
13)
Gale, G. R. et al.: J. Bact., 86, 749~756 (1963)
文献請求先
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