、2型糖尿病患者を対象に1日1回グリメピリド1mg又は3mgの4週間反復投与時と1日1回ピオグリタゾン/グリメピリドとして15mg/1mg又は30mg/3mg配合錠の2週間反復投与時のグリメピリド血漿中トラフ濃度を比較したところ、ピオグリタゾンはグリメピリドの薬物動態に影響を与えないと考えられた。6)(表2)
2. 食事の影響(外国人データ)
健康成人(24例)を対象としたクロスオーバー試験で、ピオグリタゾン/グリメピリドとして45mg/4mg配合錠を高脂肪食摂取開始の約30分後に投与した時、絶食下投与と比較してピオグリタゾン未変化体のAUC及びCmax、グリメピリド未変化体のAUCのそれぞれの幾何平均比(高脂肪食摂取後投与/絶食下投与)90%信頼区間は0.8~1.25の範囲内であったが、グリメピリド未変化体のCmaxの幾何平均比(高脂肪食摂取後投与/絶食下投与)90%信頼区間は1.12~1.33であった。7)
(本剤の国内承認用量は15mg/1mg及び30mg/3mgである。)
2. 蛋白結合率
[14C]ピオグリタゾンをヒトの血清、4%ヒト血清アルブミン溶液に添加した時の蛋白結合率は、いずれも98%以上であった(in vitro)。1)
3. 代謝
ピオグリタゾンは主にCYP2C8で代謝され、他に1A1、1A2、2C9、2C19、2D6、3A4の複数の分子種が代謝に関与しエーテル部の開裂、エチレン部分の酸化、エチル基の酸化などを受けてM-I~IVに代謝される。8)また、ピオグリタゾンはCYP1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4にほとんど影響を与えなかった(in vitro)。9)
グリメピリドは主にCYP2C9の関与により、シクロヘキシル環メチル基の水酸化を受ける。10)
参考:ラット肝細胞分画を用いて代謝酵素を検討した結果、グリメピリドは主にCYP2Cサブファミリーの関与によりシクロヘキシル環メチル基の水酸化を受け、引き続いてサイトゾールの酵素によってカルボン酸体に変換されることが示唆されている。11)
4. 尿中排泄
(1)
健康成人(14例)に空腹時にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、尿中には主としてM-IV~VIが排泄され、投与後48時間までの累積尿中排泄率は約30%であった。12)
(2)
健康成人男子6例にグリメピリド1mgを朝食直前に単回経口投与した時、尿中にはグリメピリド代謝物のみが検出された。この代謝物は、シクロヘキシル環のメチル基の水酸化体及びカルボン酸体で、投与後24時間までに投与量の44.9%が尿中に排泄された。13)
表1 30mg/3mg配合剤投与時の薬物動態学的パラメータ
測定物質 |
Cmax
(ng/mL) |
Tmax
(h) |
AUC0-inf
(ng・h/mL) |
T1/2
(h) |
ピオグリタゾン |
1,183.2±364.4 |
2.6±1.4 |
11,842.2±3,607.7 |
8.9±9.3 |
M-II |
37.3±15.4 |
6.8±2.2 |
1,075.1±465.4 |
15.5±9.2 |
M-III |
254.4±84.9 |
12.6±4.8 |
12,757.7±4,104.0 |
28.3±10.2 |
M-IV |
508.3±136.9 |
13.3±6.3 |
28,422.2±6,984.2 |
27.3±9.0 |
グリメピリド |
222.5±64.7 |
2.2±0.7 |
1,269.7±426.1 |
7.5±5.5 |
(平均値±標準偏差)
表2 血漿中グリメピリド未変化体トラフ濃度(ng/mL)
グリメピリド単独投与時 |
グリメピリド単独投与時 |
配合錠投与時 |
配合錠投与時 |
1mg投与 |
7.01±19.71 |
15mg/1mg錠投与 |
6.18±19.87 |
3mg投与 |
18.07±46.87 |
30mg/3mg錠投与 |
13.22±27.90 |
(平均値±標準偏差)
臨床成績
グリメピリド使用中の2型糖尿病患者を対象に、グリメピリドに代えて1日1回ピオグリタゾン/グリメピリドとして15mg/1mg配合錠(31例)又は30mg/3mg配合錠(31例)を朝食前又は朝食後に8週間経口投与した結果、HbA1c及び空腹時血糖値の投与前からの変化量は、両群ともに有意な差が認められた。6)(表3)
表3 配合錠投与前からの変化量(8週間投与)