適用上の注意
1. 投与経路
本剤は皮下注射にのみ使用すること。
2.
以下の手順に従い調製を行うこと。
(1) 調製方法
添付の日本薬局方「注射用水」0.7mLを泡立てないように添加し、澄明になるまで静かに円を描くように回して十分に溶解させ(振り混ぜないこと)、しばらく静置して消泡した後、必要量を抜き取ること。1バイアルあたり投与できる最大の液量は0.5mLである。
(2)
用時調製し、溶解後は速やかに使用すること。なお、やむを得ず保存を必要とする場合でも2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること。また残液は廃棄すること。
(3)
凍結乾燥製剤と溶解液を混和した際、溶液が変色していたり、浮遊物がある場合には使用しないこと。
3. 投与時
(1)
注射部位は上腕、大腿、腹部、臀部等の皮下とする。注射部位反応(紅斑、そう痒等)が報告されているので、同一部位への反復注射は行わないこと。
(2)
注射針を刺入したとき激痛を訴えたり、血液の逆流を見た場合は直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
その他の注意
本剤に対する中和抗体が出現することがある。(海外臨床試験)
薬物動態
*ペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)(以下:PEG-IFNα-2b)は、インターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)(以下:IFNα-2b)を平均分子量約12,000の直鎖ポリエチレングリコール(PEG)で修飾した高分子医薬品である(分子量約32,000)。PEG-IFNα-2bの生物活性は分子内のIFNα-2b部分に由来している。また、IFNα-2bと比較して、PEG修飾によって代謝及び排泄が抑制されるため、生体内での保持時間が長く持続的な体内動態を示す特性を有している。
(1) *血中濃度
1) 単回投与1)
健康成人男性(1群6例)に本剤の0.5、0.7、1.0、1.5又は2.0μg/kg注)を単回皮下投与したとき、血清中濃度のtmaxは投与後22~37時間、消失半減期は28~37時間であり、それぞれIFNα-2bの4~9倍及び6~7倍に遅延又は延長していた。また、PEG-IFNα-2bの平均滞留時間(MRT)はIFNα-2bの6~8倍に延長し、見かけの全身クリアランス(CL/F)は約1/10に低下していた。Cmax及びAUC0-tは用量に比例して上昇し、体内動態の線形性が認められた。
2) 反復投与2)
C型慢性肝炎患者(15例)に本剤の1.5μg/kgを、リバビリン400mg(800mg/日)の1日2回経口投与との併用により、週1回48週間反復皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下の図表1に示した。血清中濃度は反復投与開始後8週目までにほぼ定常状態に到達し、AUC0~168hrに基づく累積係数は1.12であった。
C型慢性肝炎患者における反復投与時の血清中濃度推移
悪性黒色腫患者(9例)に本剤の6μg/kgを週1回8週間反復皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下の図表2に示した。AUC0~168hrに基づく累積係数は1.78であった。
悪性黒色腫患者における反復投与時の血清中濃度推移
3) 高齢者3)
高齢者(外国人18例、65~80歳)に本剤の1.0μg/kgを単回皮下投与したとき、血清中濃度のCmax及びAUC0-tは、非高齢者(外国人6例、20~45歳)とほぼ同様の値を示し、年齢層の違いによる一定の変動傾向は認められなかった。tmaxは高齢者において僅かに遅延したが有意な変化ではなく、また、t1/2、CL/F及びVd/Fについても年齢層の違いによる一定の変動傾向を認めなかった。
4) *腎機能障害患者4)
腎機能障害患者(外国人13例)に本剤の1.0μg/kgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータを表3に示した。中等度腎障害患者(CLcr:30~49mL/min)及び高度腎障害患者(CLcr:10~29mL/min)において、腎障害の程度に応じたCmax及びAUC0-tの上昇、t1/2の延長並びにCL/Fの低下が認められた。
また、腎機能障害患者(外国人12例)に本剤の4.5μg/kg注)を単回皮下投与したときの薬物動態パラメータを表4に示した。中等度腎障害患者(CLcr:30~50mL/min)及び高度腎障害患者(CLcr:<30mL/min)において、腎障害の程度に応じたCmax及びAUC0-tの上昇、t1/2の延長並びにCL/Fの低下が認められた。(〈用法・用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
血液透析依存の腎障害患者(外国人6例、CLcr:<15mL/min)に本剤1.0μg/kgを単回皮下投与後12~16時間に血液透析を行ったとき、血液透析を行わない場合と比較して、血清中濃度に明らかな変化は認められず、PEG-IFNα-2bは血液透析によってほとんど除去されないことが確認された。
(2) 分布5)
(参考)ラットに125I-PEG-IFNα-2b又は125I-IFNα-2bを単回皮下投与したとき、放射能は脳を除く各組織に広範に分布し、腎臓における放射能濃度が最も高かった。125I-IFNα-2b投与では投与後1~4時間に最高濃度を示し、24時間にはほとんど放射能が消失していたのに対して、125I-PEG-IFNα-2b投与での最高濃度は4~24時間に認められ、その後の消失も緩慢であり、72時間においても放射能が認められた。
(3) *代謝6)
PEG-IFNα-2bのヒト血清中存在形態についてゲルろ過クロマトグラフィにより検討した結果、PEG-IFNα-2b画分、IFNα-2b画分及び両者の中間分子量に相当する画分のいずれにおいても、抗IFNα-2b抗体反応性薬物及び抗ウイルス活性の存在が認められた。
(4) 排泄7)
(参考)カニクイザルに125I-PEG-IFNα-2bを単回皮下投与したときの放射能の主排泄経路は腎排泄であり、投与後168時間までに放射能の約93%が尿中に回収されたが、尿中放射能の大部分は低分子量のペプチド、アミノ酸又は遊離の125Iであった。
(5) *薬物相互作用
1) 薬物代謝酵素系への影響8)
健康成人(外国人13例)を対象に、各CYP分子種(CYP1A2、2C9、2D6及び3A4)の基質となる薬剤を用いて、本剤(3μg/kg注))が各CYP基質の薬物動態に及ぼす影響を検討した結果を表5に示した。
2) リバビリン併用の影響9)
C型慢性肝炎患者(外国人72例)に本剤の0.35、0.7