)第III相無作為割付並行群間比較試験13):点滴静注用製剤
DMARDあるいは免疫抑制剤に効果不十分な関節リウマチ患者を対象とし、トシリズマブ8mg/kg/4週の点滴静注又は既存治療(DMARDあるいは免疫抑制剤の治療)を52週間継続する無作為割付群間比較試験を実施した。成績は以下のとおりであった。
関節の構造的損傷の防止
投与前から52週までの関節破壊進展を手及び足のX線スコア(Modified Sharp Score)で評価した結果を下表に示す。Totalスコアにおいて、既存治療で6.12悪化したのに対して、本剤投与群は2.34であり、有意に関節破壊の進行が抑制された(P=0.001)。
(表3)
4. 海外臨床試験(点滴静注用製剤)における悪性腫瘍発現頻度14)
海外の関節リウマチ患者を対象とした二重盲検比較試験における悪性腫瘍の発現率は、本剤投与群では1.60/100人・年(95%信頼区間:1.04-2.37、投与期間の中央値:0.5年、被験者数:2,644例、延べ投与:1,560人・年)、比較対照薬投与群(メトトレキサートあるいはDMARD)では1.48/100人・年(95%信頼区間:0.74-2.65、投与期間の中央値:0.5年、被験者数:1,454例、延べ投与:743人・年)であった。二重盲検比較試験を含む海外長期継続投与試験における悪性腫瘍の発現率は、1.62/100人・年(投与期間の中央値:4.6年、被験者数:4,009人、延べ投与:14,994人・年)であった。
表2 初回投与24週後のACR基準20%、50%及び70%改善頻度
例数 |
点滴静注群
156 |
皮下投与群
159 |
群間差注6)
[95%信頼区間] |
ACR20 |
88.5% |
79.2% |
-9.4%
[-17.6;-1.2] |
ACR50 |
67.3% |
63.5% |
-4.3%
[-14.7;6.0] |
ACR70 |
41.0% |
37.1% |
-3.8%
[-14.5;6.8] |
注6)群間差(皮下投与群―点滴静注群)は登録時の体重(60kg未満、60kg以上)と抗TNF製剤の前治療の有無を層別因子とし、Mantel-Haenszel法を用いて調整した。
表3 投与52週後のModified Sharp法による各スコアの変化量
例数
|
既存治療
143 |
トシリズマブ
157 |
P値 |
骨びらん |
3.21(1.0) |
0.85(0.0) |
<0.001 |
関節裂隙狭小化 |
2.91(1.0) |
1.49(0.0) |
0.024 |
Total |
6.12(2.5) |
2.34(0.5) |
0.001 |
( )内は中央値
薬効薬理
1.
本薬はin vitroにおいて、可溶性及び膜結合性IL-6レセプターに結合してそれらを介したIL-6の生物活性の発現を抑制した15)。
2.
本薬は、カニクイザルに投与されたヒトIL-6の活性発現を抑制した16)。
3.
本薬は、カニクイザルコラーゲン誘発関節炎において、関節炎発症前からの投与により関節腫脹の発現を抑制するとともに、関節炎発症後の投与により関節の腫脹を改善した17),18)。
4.
抗マウスIL-6レセプター抗体は、IL-6トランスジェニックマウスでの貧血状態、蛋白尿、高γグロブリン血症等の所見の発現を抑制し、生存日数を延長させた19)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
トシリズマブ(遺伝子組換え)
(Tocilizumab(Genetical Recombination))(JAN)
構造式
アミノ酸214個の軽鎖2分子とアミノ酸447、448(主成分)又は449個の重鎖2分子からなる糖蛋白質
分子式
軽鎖(C1033H1606N278O337S6)
重鎖(C2181H3398N582O672S15:主成分)
分子量
約148,000
取扱い上の注意
光曝露を避けるため、本剤は外箱に入れて保存すること。また、外箱開封後も光を遮り保存すること。
包装
**アクテムラ皮下注162mgシリンジ:0.9mL×1シリンジ
**アクテムラ皮下注162mgオートインジェクター:0.9mL×1オートインジェクター
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Abdel-Razzak Z, et al.:Mol Pharmacol:44, 707(1993)
2)
Muntane-Relat J, et al.:Hepatology:22, 1143(1995)
3)
Pascussi JM, et al.:Biochem Biophys Res Commun:274, 707(2000)
4)
社内資料:ヒト肝細胞での薬物代謝酵素発現
5)
Rivory LP, et al.:Br J Cancer:87, 277(2002)
6)
Warren GW, et al.:J Interferon Cytokine Res.:21, 821(2001)
7)
寺尾 公男,他:臨床薬理, 38 Suppl, S236(2007)
8)
Hirota H, et al.:Cell:97, 189(1999)
9)
社内資料:関節リウマチ患