圧
23. 腎及び尿路障害
5%未満
尿失禁
24. 心臓障害
5%未満
頻脈、不整脈
25. 心臓障害
頻度不明
徐脈
26. 耳及び迷路障害
5%未満
耳痛
27. 生殖系及び乳房障害
頻度不明
乳房痛
※※注3)頻度は胃癌の国内第II相試験、非小細胞肺癌の国際共同第III相試験、乳癌の使用成績調査、膵癌の国内第I/II相試験及び膵癌の海外第III相試験に基づき記載し、それら以外の情報は頻度不明とした。
高齢者への投与
高齢者では一般に生理機能が低下していることが多く骨髄抑制等があらわれやすいので、用量並びに投与間隔に留意し、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなどして注意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット)で催奇形性作用が報告されている。]
2.
授乳中の婦人には、授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が類薬にて報告されている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤の過量投与時の解毒剤は知られていない。過量投与時に予期される主な合併症は、骨髄抑制、末梢性神経毒性及び粘膜炎である。過量投与が行われた場合には、バイタルサイン等を十分に監視すること。
適用上の注意
1. 調製時
(1)
懸濁液の調製に当たっては、必ず生理食塩液を使用すること。また、本懸濁液は他の薬剤とは混注しないこと。
(2)
本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に本剤又は懸濁液が付着した場合は、直ちに多量の流水及び石けんでよく洗い流すこと。
(3)
懸濁液は調製後速やかに使用するか、又は箱に戻し、冷蔵庫(2~8℃)に遮光保存して8時間以内に使用すること。
(4)
点滴バッグ中に入れた懸濁液は速やかに使用すること。
(5)
使用前に懸濁液に未懸濁物、沈殿物が認められ、再懸濁させても沈殿物が認められた場合は使用しないこと。
(6)
※※調製時に、注射針に塗布されているシリコーン油により不溶物を生じることがある。調製後に懸濁液中に不溶物がないか目視で確認すること。不溶物が認められた場合は使用しないこと。
2. 投与経路:
必ず点滴静脈内投与とし、皮下、筋肉内には投与しないこと。
3. 投与時
(1)
静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように投与すること。また、以前に同反応を発現した注射部位とは異なる部位にパクリタキセルを再投与した場合、以前の注射部位に同反応を再発するといった、いわゆる「Recall現象」が認められたとの報告がある。
(2)
本剤投与時には、インラインフィルターは使用しないこと。
(3)
他の薬剤等との配合又は同じ静注ラインでの同時注入は避けること。
<懸濁液調製方法>
(1)
無菌的環境下にて、患者の体表面積にあわせ必要なバイアルを準備し、アルコールでゴム栓を拭う。
(2)
1バイアル当たり生理食塩液20mLをバイアルの内壁伝いに、直接、内容物にかけないよう泡立ちに注意しながらゆっくりと注入する。(この操作は、泡立ちの発生を最小限にするため重要である。)
(3)
内容物が確実に濡れるよう5分間以上バイアルを静置する。
(4)
内容物が十分に濡れたら、均一な白色ないし黄色の懸濁液になるまで、静かに円弧を描くように回したり、緩やかに上下に転倒を繰り返して混和する。(泡立ちに注意する。)
(5)
調製した懸濁液は必要量をバイアルから抜き取り、事前に用意した空の点滴バッグ等にゆっくりと注入する。
注意:懸濁液を生理食塩液に入れて希釈しないこと。
その他の注意
1.
放射線療法に関連した照射部位の皮膚異常を発現した既往のある患者にパクリタキセルを投与した場合、同部位に同様の皮膚異常を再発するといった、いわゆる「Radiation recall現象」が認められたとの報告がある。
2.
パクリタキセルと他の抗悪性腫瘍剤や放射線療法を併用した患者で、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
薬物動態
1. 血中動態1)
日本人進行固形癌患者に本剤80~300mg/m2を30分間点滴静注したときの血漿中パクリタキセル濃度は多相性の消失を示し、AUC及びCmaxは80~300mg/m2まで用量依存的な増加を示した。消失半減期は16.5~40.2時間であった。
※※なお、本剤の承認用量はA法:260mg/m2、B法:100mg/m2、C法:125mg/m2である。
2. 分布2)
(参考)ラットに本剤の3H標識体を投与した24時間後における組織内放射能濃度は、脳を除く各臓器・組織で高く、速やかに移行した。また、前立腺、肝臓、肺、精嚢、膵臓、脾臓、消化管、腎臓で血液・血漿より高かった。120時間後における放射能が高かった組織は肝臓、肺、精巣及び卵巣であった。
3. 代謝3,4)
(参考)ヒトにおいては、パクリタキセルは主にCYP2C8により6α-ヒドロキシパクリタキセルに代謝され、CYP3A4により3´-p-ヒドロキシパクリタキセルに代謝される。また、これら2種の代謝物はそれぞれCYP3A4及びCYP2C8により更に6α, 3´-p-ジヒドロキシパクリタキセルに代謝されることが知られている。
これらの代謝物は、外国人乳癌患者の尿中、糞中及び血漿中にも認められた。
4. 排泄4)
外国人乳癌患者に本剤260mg/m2を30分間点滴静注したときの未変化体パクリタキセルの尿中排泄量の平均値は約4%であり、これは腎外での消失が主な排泄経路であることを示している。代謝物である6α-ヒドロキシパクリタキセル及び3´-p-ヒドロキシパクリタキセルの尿中排泄率は総投与量の1%以下であった。糞中には総投与量の約20%が排泄された。
5. 肝機能障害患者5)
AST及びビリルビンに基づいて肝機能障害の程度を分類し、その障害の程度に応じ3用量(130mg/m2、200mg/m2、260mg/m2)を設定し、本剤の薬物動態について検討した。
(表1)
薬物動態の表
表1