痛患者を対象に,オキシコドン塩酸塩散2.5mg,5mgを食後単回経口投与したときの,オキシコドン及びノルオキシコドンの血漿中濃度及び薬物動態パラメータを図1,2,表1に示す1)。
表1 薬物動態パラメータ参照
(2) 食事の影響
健康成人22例においてオキシコドン塩酸塩内用液剤20mgを単回経口投与したときの食事の影響について評価したところ,空腹時に比べ高脂肪食摂取後でCmaxは約80%に低下し,AUCは約1.2倍に増大した2)。(外国人によるデータ)
(3) バイオアベイラビリティ
オキシコドン塩酸塩の健康成人9例でのバイオアベイラビリティは約60%であった3)。また,癌患者12例でのバイオアベイラビリティは平均87%であった4)。(外国人によるデータ)
(4) 男女差
健康成人男女各14例にオキシコドン塩酸塩徐放錠20mgを空腹時単回経口投与したとき,女性では,Cmax並びにAUCが,いずれも男性より約1.4倍高かった5)。(外国人によるデータ)
(5) 高齢者
健康高齢者(65~79歳),健康非高齢者(21~45歳)各14例にオキシコドン塩酸塩徐放錠20mgを空腹時単回経口投与したとき,薬物動態に関しては高齢者と非高齢者との間に差は認められなかった5)。(外国人によるデータ)
(6) 肝障害者
肝障害者12例にオキシコドン塩酸塩徐放錠20mgを空腹時単回経口投与したとき,AUC並びにCmaxはそれぞれ健康成人の約2倍及び約1.5倍と有意に高く,薬力学的評価項目を増強させる傾向がみられた6)。(外国人によるデータ)
(7) 腎障害者
腎障害者12例(クレアチニンクリアランス:60mL/min未満)にオキシコドン塩酸塩徐放錠20mgを空腹時単回経口投与したとき,AUC並びにCmaxはそれぞれ健康成人の約1.6倍及び1.4倍であった。腎障害者の鎮静作用は健康成人に比べて増加傾向を示した7)。(外国人によるデータ)
2. 分布
(1) 体組織への移行(参考)
[3H]-オキシコドン塩酸塩水和物をラットに投与したとき,速やかに全身に分布し,ほとんどの組織で投与約1時間後に最高濃度を示し,その後速やかに低下した。作用部位である脳内における消失は,他の組織に比べて緩やかであった。なお,投与72時間後すべての組織において残留することはなかった8)。
(2) 母乳中への移行
オキシコドン塩酸塩とアセトアミノフェンの合剤を授乳婦に経口投与したとき,母乳への移行が認められ,そのときの投与0.25~12時間後におけるオキシコドン塩酸塩濃度の乳汁/血漿中濃度の平均比率は3.4であった9)。(外国人によるデータ)
3. 代謝
(1) ヒトにおけるオキシコドンの主代謝経路は,N-脱メチル化反応によるノルオキシコドンへの代謝であり,O-脱メチル化反応によるオキシモルフォンへの代謝及びグルクロン酸抱合代謝を受けることが知られている10)。
(2) オキシコドンの代謝についてヒト肝ミクロソームを用いて検討した結果,ノルオキシコドンへの代謝についてはCYP3A4が,オキシモルフォンへの代謝についてはCYP2D6が主に関与していることが確認された10)。
4. 排泄
健康成人にオキシコドン塩酸塩0.28mg/kgを経口投与したとき,投与後24時間までの尿中に投与量の5.5±2.5%(mean±S.D.)が未変化体として,また,2.3±5.5%がオキシコドンの抱合体として排泄された。また,尿中にはノルオキシコドンとオキシモルフォン抱合体も排泄された3)。(外国人によるデータ)
5. 薬物相互作用
(1) ボリコナゾール(100~200mg/日,経口投与)とオキシコドン塩酸塩(24~48mg/日,持続皮下投与)を4日間併用した症例(1例)の定常状態時におけるオキシコドンの血漿中濃度は,測定した全症例の平均の3.57倍であった11)。(国内におけるオキシコドン注射剤の臨床試験成績)
また,ボリコナゾール〔400mg/日(2日目のみ600mg/日)〕の経口投与中にオキシコドン塩酸塩(10mg)を単回経口投与した場合,オキシコドンのCmaxが1.72倍,AUCが3.61倍上昇したとの報告がある12)。(外国人によるデータ)
(2) リトナビル(600mg/日)の経口投与中にオキシコドン塩酸塩(10mg)を単回経口投与した場合,オキシコドンのCmaxが1.74倍,AUCが2.95倍上昇したとの報告がある13)。(外国人によるデータ)
(3) クラリスロマイシン(1000mg/日:承認外用量)の経口投与中にオキシコドン塩酸塩(10mg)を単回経口投与した場合,若年者群(19~25歳)のオキシコドンのCmaxが1.45倍,AUCが2.02倍上昇し,また,高齢者群(70~77歳)のオキシコドンのCmaxが1.68倍,AUCが2.31倍上昇したとの報告がある14)。(外国人によるデータ)
(4) リファンピシン(600mg/日)の経口投与中にオキシコドン塩酸塩を単回静脈内投与(0.1mg/kg)した場合でAUCが1/2.2に,単回経口投与(15mg)した場合でAUCが1/7.1に減少したとの報告がある15)。(外国人によるデータ)
薬物動態の表
表1 薬物動態パラメータ
投与量
(mg) |
|
n |
Cmax
(ng/mL) |
Tmax
(hr) |
AUC0-6
(ng・hr/mL) |
T1/2
(hr) |
2.5 |
オキシコドン |
18 |
6.80±1.89 |
1.9±1.4 |
28.3±6.4 |
6.0±3.9 |
2.5 |
ノルオキシコドン |
18 |
2.32±1.18 |
2.1±1.4 |
9.59±5.26 |
- |
5 |
オキシコドン |
16注1 |
13.7±4.8 |