法・用量
通常,成人にはオキシコドン塩酸塩(無水物)として1日10~80mgを4回に分割経口投与する。
なお,症状に応じて適宜増減する。
用法・用量に関連する使用上の注意
1. 臨時追加投与(レスキュードーズ)として本剤を使用する場合
疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は,直ちに本剤の臨時追加投与を行い鎮痛を図ること。本剤の1回量は定時投与中のオキシコドン塩酸塩経口製剤の1日量の1/8~1/4を経口投与すること。
2. 定時投与時
1日量を4分割して使用する場合には,6時間ごとの定時に経口投与すること。
(1) 初回投与
本剤の投与開始前のオピオイド系鎮痛薬による治療の有無を考慮して初回投与量を設定することとし,既に治療されている場合にはその投与量及び鎮痛効果の持続を考慮して副作用の発現に注意しながら適宜投与量を調節すること。
1) オピオイド系鎮痛薬を使用していない患者には,疼痛の程度に応じてオキシコドン塩酸塩として10~20mgを1日投与量とすることが望ましい。
2) モルヒネ製剤の経口投与を本剤に変更する場合には,モルヒネ製剤1日投与量の2/3量を1日投与量の目安とすることが望ましい。
3) 経皮フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には,経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから,剥離直後の本剤の使用は避け,本剤の使用を開始するまでに,フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに,本剤の低用量から投与することを考慮すること。
(2) 増量
本剤投与開始後は患者の状態を観察し,適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調整を行うこと。2.5mgから5mgへの増量の場合を除き増量の目安は,使用量の25~50%増とする。
(3) 減量
連用中における急激な減量は,退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は,患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
(4) 投与の中止
本剤の投与を必要としなくなった場合には,退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
**使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1. 心機能障害あるいは低血圧のある患者[循環不全を増強するおそれがある。]
2. 呼吸機能障害のある患者[呼吸抑制を増強するおそれがある。]
3. 肝・腎機能障害のある患者[代謝・排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。(「薬物動態」の項参照)]
4. 脳に器質的障害のある患者[呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。]
5. ショック状態にある患者[循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。]
6. 代謝性アシドーシスのある患者[呼吸抑制を起こしたときアシドーシスを増悪させるおそれがある。]
7. 甲状腺機能低下症(粘液水腫等)の患者[呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。]
8. 副腎皮質機能低下症(アジソン病等)の患者[呼吸抑制作用に対し,感受性が高くなっている。]
9. 薬物・アルコール依存又はその既往歴のある患者[依存性を生じやすい。]
10. 薬物,アルコール等による精神障害のある患者[症状が増悪するおそれがある。]
11. 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
12. 衰弱者[呼吸抑制作用に対し,感受性が高くなっている。]
13. 前立腺肥大による排尿障害,尿道狭窄,尿路手術術後の患者[排尿障害を増悪することがある。]
14. 器質的幽門狭窄又は最近消化管手術を行った患者[消化管運動を抑制する。]
15. 痙攣の既往歴のある患者[痙攣を誘発するおそれがある。]
16. 胆嚢障害,胆石症又は膵炎の患者[オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。]
17. 重篤な炎症性腸疾患のある患者[連用した場合,巨大結腸症を起こすおそれがある。]
重要な基本的注意
1. 連用により薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,慎重に投与すること。[「副作用」の項参照]
2. 眠気,眩暈が起こることがあるので,本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
3. 本剤を投与する場合には,便秘に対する対策として緩下剤,嘔気・嘔吐に対する対策として制吐剤の併用を,また,鎮痛効果が得られている患者で通常とは異なる強い眠気がある場合には,過量投与の可能性を念頭において本剤の減量を考慮するなど,本剤投与時の副作用に十分注意すること。
4. 本剤を増量する場合には,副作用に十分注意すること。
5. 本剤の医療目的外使用を防止するため,適切な処方を行い,保管に留意するとともに,患者等に対して適切な指導を行うこと。[「適用上の注意」の項参照]
相互作用
相互作用の概略
本剤は,主として薬物代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2D6で代謝される。[「薬物動態」の項参照]
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体,バルビツール酸誘導体等
吸入麻酔剤
MAO阻害剤
三環系抗うつ剤
β遮断剤
アルコール
臨床症状・措置方法
臨床症状:呼吸抑制,低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。
措置方法:減量するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
相加的に中枢神経抑制作用を増強させる。
2. 薬剤名等
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
臨床症状・措置方法
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがあるので投与量を調節するなど慎重に投与すること。
機序・危険因子
機序は不明
3. 薬剤名等
抗コリン作用を有する薬剤
臨床症状・措置方法
臨床症状:麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こることがある。
機序・危険因子
相加的に抗コリン作用を増強させる。
4. 薬剤名等
ブプレノルフィン,
ペンタゾシン等
臨床症状・措置方法
本剤の鎮痛作用を減弱させることがある。また,退薬症候を起こすことがある。
機序・危険因子
ブプレノルフィン,ペンタゾシン等は本剤の作用するμ受容体の部分アゴニストである。
5. 薬剤名等
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
ボリコナゾール,イトラコナゾール,フルコナゾール,リトナビル,クラリスロマイシン等
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇し,副作用が発現するおそれがあるので,観察を十分