で、慎重に投与すること。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので用量に注意すること。
その他の注意
経管栄養処置を受けている成人患者、低出生体重児及び新生児発育不全において、胃石・食道結石がみられたとの報告があるので、観察を十分に行い、これらが疑われた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
臨床成績
国内のべ659施設、2,026例で実施した胃潰瘍1)、十二指腸潰瘍2)に対する内視鏡判定を主体にした一般臨床試験、及び急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期3)の二重盲検試験成績は次の通りである。
臨床成績の表
表1
対象 |
胃潰瘍 |
十二指腸潰瘍 |
施設数 |
354施設 |
224施設 |
総症例数 |
1,216例 |
667例 |
内視鏡判定を主体にした治癒率(%):4週後 |
270/913例
(29.6) |
321/667例
(48.1) |
内視鏡判定を主体にした治癒率(%):8週後 |
541/752例
(71.9) |
535/667例
(80.2) |
表2
対象 |
急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期 |
施設数 |
81施設 |
総症例数 |
143例 |
内視鏡総合改善度(%):2週後 |
68/98例
(69.4) |
内視鏡総合改善度(%):4週後 |
73/91例
(80.2) |
薬効薬理
1. 基質蛋白保護作用(胃粘膜保護作用)
ラット酢酸胃潰瘍及び十二指腸潰瘍実験において経口投与した14C‐スクラルファート水和物は、正常胃粘膜部位に比較して胃及び十二指腸潰瘍部位に選択的に結合し、かつ保護層を形成することによって治癒を促進させた4)。同様に、エタノール及びアスピリン胃炎ラットにおいても14C‐スクラルファート水和物の胃炎病巣への選択的結合・付着が確かめられた5)。消化性潰瘍及び胃炎患者に本剤を経口投与した際にも、本剤が潰瘍部位ないし胃炎病巣へ強固に結合していることが確認されており、本剤は炎症部位ないし潰瘍底の白苔中の蛋白成分と強力に結合し、保護層を形成することによって胃液の消化力から病変部を化学的に保護し、治癒を促進するものと考えられる6-8)。
2. 胃液ペプシン活性抑制作用9‐12)
ラットの実験により、攻撃因子である胃液中のペプシン活性を抑制することが認められている。
3. 制酸作用11,12)
ラットの実験により、制酸作用を有することが認められている。
4. 再生粘膜の発育促進及び血管増生13,14)
ラットのクランピング‐コルチゾン潰瘍実験の結果、再生粘膜の発育や血管増生が認められ、潰瘍の治癒が促進された。
5. 抗潰瘍及び潰瘍治癒効果9‐11,14‐18)
モルモットあるいはラットのストレス、ヒスタミン、ステロイド、レセルピン、アスピリン等の実験潰瘍において抗潰瘍効果が、またクランピング‐コルチゾン潰瘍、焼灼潰瘍、酢酸潰瘍等の実験潰瘍において潰瘍治癒効果が認められている。
6. 胃炎モデルへの効果
本剤の前投与により、ラットのアスピリン及びエタノール胃炎の発生を有意に抑制した19)。また、タウロコール酸による実験びらん性胃炎に対する治療効果が認められている20)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
スクラルファート水和物
(Sucralfate Hydrate)(JAN)
化学名
Basic aluminum sucrose sulfate
構造式
分子式
C12H30Al8O51S8・xAl(OH)3・yH2O
性 状
白色の粉末で、におい及び味はない。水、熱湯、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。希塩酸又は硫酸・水酸化ナトリウム試液に溶ける。
包装
**500g(500g×1)
**1kg(1kg×1)
**,*1g×210包(3包×10シート×7束)
**1g×1200包(3包×10シート×40束)
**,*1g×3150包(3包×7シート×150束)
**1g×3600包(3包×10シート×120束)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
崎田隆夫:診療と新薬, 19(2):251 (1982)
2)
崎田隆夫, 他:診療と新薬, 21(4):623 (1984)
3)
三好秋馬, 他:内科宝函, 33(9):301 (1986)
4)
Nagashima, R. et al.:Arzneim. Forsch., Drug Res., 30(1) (S‐I):84 (1980)
5)
日野原好和, 他:薬理と治療, 10(5):2493 (1982)
6)
Nakazawa, S. et al.:Dig. Dis. Sci., 26(4):297 (1981)
7)
石森 章, 他:医学と薬学, 9(1):25 (1983)
8)
Sasaki, H. et al.:Scand. J. Gastroenterol., 18(S‐83):13 (1983)
9)
行方正也, 他:薬学雑誌, 87(4):376 (1967)
10)
行方正也, 他:薬学雑誌, 87(7):778 (1967)
11)
行方正也, 他:薬学雑誌, 87(8):889 (1967)
12)
清水正洋, 他:基礎と臨床, 2(5):365