ど適切な処置を行うこと。
発現頻度は承認時までの臨床試験及び使用成績調査の結果を合わせて算出した。
高齢者への投与
1.
高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)ので、低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
2.
高齢者の薬物動態試験で、本剤の血漿中濃度が非高齢者に比べて高くなることが認められている。(【薬物動態】の項参照)
3.
臨床試験では65歳以上の高齢者と65歳未満の非高齢者において本剤の効果、安全性に差は認められていない。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。〔本剤を含むアンジオテンシンII受容体拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、妊娠中期~末期に投与された患者に胎児・新生児死亡、羊水過少症、胎児・新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳、頭蓋顔面の奇形、肺の発育形成不全等があらわれたとの報告がある。1,2)また、海外で実施されたアンジオテンシン変換酵素阻害剤におけるレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。3)〕
2.
授乳中の婦人への投与を避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラットの授乳期経口投与)の3mg/kg/日で、乳汁中へ移行するとの報告がある。また、動物実験(ラットの周産期及び授乳期経口投与)の600mg/kg/日で出生児の低体重及び生存率の低下が認められており、200mg/kg/日以上で外表分化の遅延が認められている。〕
小児等への投与
1.
低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
2.
糸球体濾過量(GFR)が30mL/min/1.73m2未満もしくは透析を受けている小児等に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
3.
小児等の高血圧では腎機能異常を伴うことが多いため、腎機能及び血清カリウム値を注意深く観察すること。特に、腎機能に影響を及ぼす状態(発熱、脱水)の患者に本剤を投与する場合や血清カリウム値を上昇させる可能性がある他の薬剤と併用する場合は注意すること。(「慎重投与」3.、「相互作用」の項参照)
過量投与
徴候、症状
本剤の過量投与により、著しい血圧低下が生じ、意識レベルの低下、循環虚脱に至るおそれがある。
処置
通常、次のような処置を行う。
(1)
催吐及び活性炭投与
(2)
著しい低血圧の場合には、患者を仰臥位にし、速やかに生理食塩液等の静脈注射など適切な処置を行う。
注意
バルサルタンの血漿タンパクとの結合率は93%以上であり、血液透析によって除去できない。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている)
薬物動態
1. 血中濃度
健康成人男子にバルサルタン20、40、80及び160mg(80mg×2)を単回経口投与した場合、速やかに吸収され、血漿中の未変化体は投与後2~3時間で最高濃度に到達した。また、Cmax及びAUCは160mg投与まで投与量の増加に比例して増大し、消失半減期は4~6時間であった。4)
投与量20mg
Tmax(h※):2
Cmax(μg/mL):0.86±0.53
AUC(μg・h/mL):5.2±3.1
T1/2(h):3.7±0.8
投与量40mg
Tmax(h※):3
Cmax(μg/mL):1.37±0.53
AUC(μg・h/mL):8.9±4.0
T1/2(h):4.0±1.3
投与量80mg
Tmax(h※):3
Cmax(μg/mL):2.83±0.92
AUC(μg・h/mL):18.0±5.8
T1/2(h):3.9±0.6
投与量160mg
Tmax(h※):3
Cmax(μg/mL):5.26±2.30
AUC(μg・h/mL):33.9±18.9
T1/2(h):5.7±1.8
n=6、平均±標準偏差
※:中央値
体重が35kg未満又は35kg以上の小児患者(7から14歳の高血圧症、慢性腎臓病、もしくはネフローゼ症候群の患者)にそれぞれ20mg又は40mgのバルサルタンを単回投与したときのCmax及びAUCは以下のとおりであった。5)
投与量20mg
体重(kg):26.1±4.9
Cmax(μg/mL):2.45±0.86
AUC(μg・h/mL):12.0±3.9
投与量40mg
体重(kg):48.4±8.4
Cmax(μg/mL):2.11±0.84
AUC(μg・h/mL):11.3±6.1
n=6、平均±標準偏差
2. 代謝
健康成人男子に14Cバルサルタン80mgを空腹時単回経口投与8時間後の血漿中には、主として未変化体が存在し、その他に代謝物として4-ヒドロキシ体が認められ6)、in vitroの試験において主としてCYP2C9の関与が示唆されている。7)(外国人のデータ)
3. 排泄
(1)
健康成人男子に14Cバルサルタン80mgを空腹時単回経口投与した後の排泄率は以下のとおりであった。6)(外国人のデータ)
総排泄率
糞中:86%(168時間値)
尿中:13%(168時間値)
未変化体
糞中:71%(12~72時間値)
尿中:10%(48時間値)
4-ヒドロキシ体
糞中:8%(12~72時間値)
尿中:1%(48時間値)
(2)
健康成人男子にバルサルタン20、40、80及び160mg(80mg×2)を空腹時単回経口投与した際、投与後48時間までに投与量