定された逆流性食道炎の患者を対象に、さらに維持療法として1日1回15mgを24週間経口投与した二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が確認されている。
(2) 非びらん性胃食道逆流症
非びらん性胃食道逆流症患者を対象に、1日1回15mgを経口投与した二重盲検比較対照試験の結果、投与開始後4週間での胸やけの無症状日数の割合(中央値)は本剤投与群で67.9%(69例)、プラセボ群で42.9%(72例)である。
なお、食道内酸逆流の高リスクである中高齢者、肥満者、裂孔ヘルニア所見ありのいずれも該当しない患者における投与開始後4週間での胸やけの無症状日数の割合(中央値)は本剤投与群で37.5%(20例)、プラセボ群で46.4%(24例)である。
(3) 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制※
低用量アスピリン(1日81~324mg)の長期投与を必要とし、かつ胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有する患者を対象とした本剤群(1日1回15mg経口投与)と対照群との二重盲検比較対照試験の結果、中間解析時におけるKaplan-Meier法により推定した治療開始361日時点の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率は、本剤群9.5%(95%信頼区間:0.00~23.96)、対照群57.7%(95%信頼区間:29.33~85.98)であり、対照群に対するハザード比は0.0793(95%信頼区間:0.0239~0.2631)(logrank検定:p<0.00001)であった。また、最終解析時におけるKaplan-Meier法により推定した治療開始361日時点の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率は、本剤群3.7%(95%信頼区間:0.69~6.65)、対照群31.7%(95%信頼区間:23.86~39.57)であり、対照群に対するハザード比は0.0989(95%信頼区間:0.0425~0.2300)(logrank検定:p<0.0001)であった
図 最終解析時におけるKaplan-Meier法による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率。
さらに、上記試験後非盲検下で本剤を継続して、あるいは、対照群を本剤に切り替えて、1日1回15mgを24週間経口投与した長期継続投与試験において、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の発症は認められなかった。
※非ステロイド性抗炎症薬長期投与時の試験成績は含まれていない。
(4) 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
関節リウマチ、変形性関節症等の疼痛管理のために、非ステロイド性抗炎症薬の長期投与を必要とし、かつ胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有する患者を対象とした本剤群(1日1回15mg経口投与)と対照群との二重盲検比較対照試験の結果、Kaplan-Meier法により推定した治療開始361日時点の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率は、本剤群12.7%(95%信頼区間:5.85~19.59)、対照群36.9%(95%信頼区間:27.51~46.35)であり、対照群に対するハザード比は0.2510(95%信頼区間:0.1400~0.4499)(logrank検定:p<0.0001)であった。
図 Kaplan-Meier法による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率
さらに、上記試験後非盲検下で本剤を継続して、1日1回15mgを24週間経口投与した長期継続投与試験の結果、Kaplan-Meier法により推定した胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率※は、二重盲検比較対照試験の治療開始361日時点で14.4%(95%信頼区間:7.89~20.85)、631日時点で19.6%(95%信頼区間:11.10~28.05)であった。
※二重盲検比較対照試験における本剤群のうち長期継続投与試験に移行しなかった患者、及び二重盲検比較対照試験における本剤群のうち長期継続投与試験に移行した患者を合算して算出した。
(5) 胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした除菌の臨床試験(ランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与)における除菌※率は表4、表5のとおりである。
※培養法及び組織診断法の結果がいずれも陰性。
なお、米国及び英国で行われたヘリコバクター・ピロリ陽性の十二指腸潰瘍等に対する除菌の臨床試験注6)においても、同程度の成績が認められている。
注6)各薬剤の投与量、投与期間は下記とおりであり、国内の承認用法・用量と異なる。(【用法・用量】の項参照)
米国
ランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回500mg(力価)の3剤を1日2回、10日間又は14日間経口投与
英国
ランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回250mg(力価)の3剤を1日2回、7日間経口投与
2. 血清ガストリン、内分泌機能、胃粘膜の内分泌細胞に及ぼす影響24~26)
(1)
1日1回30mgを、胃潰瘍患者には8週間、十二指腸潰瘍患者には6週間経口投与した場合、血清ガストリン値の有意な上昇が認められるが、投与終了4週後に回復する。
(2)
胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者に1日1回30mgを8週間経口投与した場合、プロラクチン、コルチゾール、GH、TSH、T3、T4、LH、FSH、DHEA-S、テストステロン、エストラジオールに殆ど影響を及ぼさない。
(3)
胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者に1日1回30mgを8週間経口投与した場合、胃粘膜の内分泌細胞密度に影響を及ぼさない。
表3 疾患別治癒率
疾患名 |
例数 |
治癒例数(治癒率) |
胃潰瘍 |
604 |
535(88.6) |
十二指腸潰瘍 |
445 |
418(93.9) |
吻合部潰瘍 |
19 |
17(89.5) |
逆流性食道炎 |
66 |
61(92.4) |
Zollinger-Ellison症候群 |
3 |
3(100)&nbs |