5.
長期投与における安全性は確立していない(本邦においては長期投与の経験は十分でない)。
6.
非びらん性胃食道逆流症の治療において、食道内酸逆流の高リスクである中高齢者、肥満者、裂孔ヘルニア所見ありのいずれにも該当しない場合には本剤の治療効果が得られにくいことが臨床試験により示されている。
7.
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発リスクは、ヘリコバクター・ピロリ感染陽性及び加齢により高まる可能性のあることが臨床試験により示唆されている。
8.
海外における複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターによる治療において骨粗鬆症に伴う股関節骨折、手関節骨折、脊椎骨折のリスク増加が報告されている。特に、高用量及び長期間(1年以上)の治療を受けた患者で、骨折のリスクが増加した。
9.
海外における主に入院患者を対象とした複数の観察研究で、プロトンポンプインヒビターを投与した患者においてクロストリジウム・ディフィシルによる胃腸感染のリスク増加が報告されている。
10.
ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意
ランソプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物、クラリスロマイシン等の抗生物質及びメトロニダゾールの服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
薬物動態
1. 血中濃度
健康成人24例にタケプロンOD錠15あるいはタケプロンカプセル15を、また、別の健康成人24例にタケプロンOD錠30あるいはタケプロンカプセル30をそれぞれクロスオーバー法にて、朝絶食下に単回経口投与した場合、血中にはランソプラゾールの未変化体が主として検出され、未変化体の血中濃度は図及び表1のとおりであり、OD錠とカプセルは生物学的に同等であることが確認されている。
また、ランソプラゾールとスクラルファート、又は水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウムを同時に服用すると、ランソプラゾールの血中濃度が低下することが外国で報告されている。5)
2. 尿中排泄4)
健康成人(6例)に1回30mg(カプセル剤)を絶食下又は食後に、また、1回15mg(カプセル剤)を絶食下に経口投与した場合、尿中にはランソプラゾールの未変化体は検出されず、すべて代謝物であり、投与後24時間までの尿中排泄率は13.1~23.0%である。
3. 反復投与時の薬物動態4)
健康成人(6例)に1回30mg又は15mg(いずれもカプセル剤)を1日1回7日間朝絶食下に反復経口投与した時の血中濃度の推移、尿中排泄率からみて、体内蓄積性はないものと考えられる。
4. ランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン併用時の薬物動態
健康成人(6例)にランソプラゾールとして1回30mg(カプセル剤)、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回400mg(力価)の3剤を同時に経口投与した場合注5)、ランソプラゾールの未変化体の薬物動態学的パラメータは表2のとおりである。
なお、3剤投与時の3剤各々の血中濃度は単独投与時の血中濃度とほぼ同様の推移を示す。
また、健康成人(7例)に3剤を同様の用量で同時に1日2回7日間反復経口投与した時の薬物動態からみて、蓄積性に問題はないと考えられる。
注5)ヘリコバクター・ピロリ感染に対する承認用法・用量と異なる。(【用法・用量】の項参照)
表1 タケプロンOD錠あるいはタケプロンカプセル投与時の薬物動態学的パラメータ
投与量(mg) |
AUC0-24(ng・h/mL) |
Cmax(ng/mL) |
OD錠15 |
15 |
1,105.3±1,101.40 |
474.1±254.04 |
カプセル15 |
15 |
1,136.2±1,186.29 |
442.7±231.71 |
OD錠30 |
30 |
2,216.5±1,270.16 |
992.8±384.34 |
カプセル30 |
30 |
2,223.6±1,203.07 |
949.2±361.68 |
各々24例の平均値±標準偏差
表2 3剤投与時のランソプラゾールの未変化体の薬物動態学的パラメータ
|
絶食下 |
Tmax |
1.7±0.5h |
Cmax |
1,104±481ng/mL |
T1/2 |
1.88±1.88h |
AUC |
5,218±6,284ng・h/mL |
6例の平均値±標準偏差
臨床成績
1. 臨床効果6~28)
(1) 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群
上記患者を対象に、1日1回30mgを一般臨床試験では主として2~8週間、二重盲検比較対照試験では8週間(胃潰瘍)及び6週間(十二指腸潰瘍)経口投与した臨床試験において、最終内視鏡判定が行われた1,137例の疾患別治癒率は表3のとおりである。
なお、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者を対象とした二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が認められている。
また、1日1回30mgを8週間経口投与することにより治癒と判