0,500,750,1,000mg(各々6名)を食後単回投与した場合,未変化体の血漿中濃度は投与約3~5時間後に最高濃度に達し,消失半減期は約2~5時間であった。
(表1)
また,投与後24時間までの未変化体の平均尿中排泄率はいずれの投与量においても0.2%以下であった。
一方,健康成人男子(6名)に本剤750mgを1日3回7日間食後経口投与した場合,未変化体のトラフ値(毎朝第1回目投与直前の血漿中濃度)は初日投与後から4日目まで減少したが,それ以降はほぼ定常状態となった。なお,定常状態における平均のトラフ値は約3μg/mLであった。
また,未変化体の累積尿中排泄率は単回投与時と同様に微量であり,投与後48時間までに総投与量の0.26%が排泄された。
(2) 食事の影響1)
健康成人男子に本剤500mg注4)を空腹時単回投与した場合のCmax及びAUCは,食後単回投与時と比べそれぞれ51%,41%に減少した。
また,未変化体の平均尿中排泄量も食後投与時の約1/2に減少した。
注4) 本剤の承認された1回用量は1,250mg又は750mgである。
<外国人における成績(参考)>
(1) 血中濃度
HIV陽性患者を対象に,本剤1,250mg 1日2回又は750mg 1日3回を反復投与した場合の,投与28日目の薬物動態パラメータを下表に示した。
(表2)
(2) 食事の影響
健康成人に本剤1,250mgを投与した場合の熱量及び脂肪含有率における薬物動態パラメータを下表に示した。
(表3)
また,健康成人に本剤1,250mgを投与した場合の食事の脂肪含有率における薬物動態パラメータを下表に示した。
(表4)
(3) タンパク結合率・血球移行率(in vitro)
本剤はin vitro試験において,1.0~21.5μg/mLの濃度範囲で98.7~99.3%がヒト血清タンパクと結合し,そのタンパクは主にアルブミン,α1-酸性糖タンパクであった。また,本剤の血球移行率は4.3μg/mLの添加濃度で12.5%であった。
(4) 代謝3)
健康成人男子に14C標識ネルフィナビルメシル酸塩を単回経口投与し,糞中及び血漿中の代謝物を検索した結果,糞中では,ネルフィナビルは主にt-ブチル基の水酸化,デカヒドロイソキノリン環上の水酸化,ベンゾイル環上の水酸化(カテコールの生成),カテコールのメチル化等の代謝物が検出された。血漿中の主要代謝物はt-ブチル基の水酸化物であり,抗ウイルス活性(in vitro)は未変化体と同程度であった。
In vitroの試験において,本剤は肝ミクロソームにより酸化的な代謝反応を受け,その代謝はチトクロームP450(CYP)3A4の阻害剤で最も大きく阻害された。
(5) 排泄
健康成人男子(4名)に750mgの14C標識ネルフィナビルメシル酸塩を単回経口投与した場合,投与後120時間までに投与した放射能の78.2%が糞便中に,1.6%が尿中にそれぞれ排泄された。
(6) 薬物相互作用4)
ヒトチトクロームP450アイソザイム(CYP3A4,CYP2C19,CYP2D6,CYP2C9,CYP1A2及びCYP2E1)に対するネルフィナビルの阻害活性をin vitro試験により検討した結果,ネルフィナビルが治療的薬効域において,CYP3A4を阻害した。
抗HIV剤を含む主な薬剤との併用による血中濃度(AUC,Cmax)への影響を以下に示す。
(表5)
(表6)
薬物動態の表
表1
投与量注4)
(mg) |
例数 |
Tmax
(h) |
Cmax
(μg/mL) |
T1/2
(h) |
AUC
(μg・h/mL) |
250 |
6 |
3.3±0.8 |
0.59±0.15 |
2.1±0.1 |
3.10±1.17 |
500 |
6 |
3.5±0.5 |
1.91±0.64 |
3.4±0.9 |
16.30±6.44 |
750 |
6 |
4.7±1.0 |
4.86±0.71 |
4.8±0.9 |
47.91±10.75 |
1,000 |
6 |
4.5±1.2 |
6.66±2.33 |
4.1±0.8 |
65.53±24.82 |
平均値±S.D.
注4) 本剤の承認された1回用量は1,250mg又は750mgである。
表2 薬物動態パラメータ
用法・用量 |
例数 |
AUC24注5)
(μg・h/mL) |
Cmax
(μg/mL) |
Ctrough1注6)
(μg/mL) |
Ctrough2注7)
(μg/mL) |
1,250mg
1日2回投与 |
10 |
52.8±15.7 |
4.0±0.8 |
2.2±1.3 |
0.7±0.4& |