Viread Tab(Tenofovir Disoproxil Fumarate)ビリアード錠300mg(八)
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試験開始前の本剤感受性注16) |
HIV-1 RNA量の変化注17)(例数) |
≦1 |
-0.74(35) |
1<~≦3 |
-0.56(49) |
3<~≦4 |
-0.3(7) |
≦4 |
-0.61(91) |
>4 |
-0.12(9) |
注16)野生型からの感受性変化(倍数)
注17)試験開始時から24週までのHIV-1 RNA量時間加重平均の変化をlog10copies/mLで示した。
薬効薬理
1. 作用機序
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は,アデノシン一リン酸の非環状ヌクレオシド・ホスホン酸ジエステル誘導体である。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルへの変換には,ジエステルの加水分解が必要であり,その後細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5'- 三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い。
2. 抗ウイルス作用(in vitro)
HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビルの抗ウイルス活性を,ヒトリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ初代培養細胞及び末梢血リンパ球において評価した。テノホビルのIC50値は,0.04μM~8.5μMの範囲であった。
3. 薬剤耐性
テノホビルに対する感受性が低下したHIV-1分離株をin vitro試験により選択した結果,これらのウイルスは逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現しており,テノホビルに対する感受性が3~4倍低下していた。
本剤を他の抗レトロウイルス薬と併用した患者から,テノホビルに対して感受性が低下したHIV-1株が分離された。抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者に対する本剤+ラミブジン+エファビレンツの3剤併用療法では,試験開始後144週までのウイルス学的失敗例47例のうち,8例からテノホビル耐性株が確認された。また,治療を経験した患者では,本剤による試験開始後96週までのウイルス学的失敗例304例のうち14例からテノホビル耐性株が認められた。分離された耐性株を遺伝子型解析したところ,HIV-1逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現していた。
4. 交差耐性4)
テノホビルで選択されるK65R変異は,アバカビル,ジダノシン及びザルシタビンにより治療された症例から分離したHIV-1株でも認められている。この変異株はエムトリシタビンやラミブジンに対する感受性も低下していたことから,K65R変異を持つウイルスを有する患者では,これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。
ジドブジン関連変異(M41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV-1分離株に対するテノホビルの活性をin vitroで評価した。20例から分離した複数(平均3ヵ所)のジドブジン関連変異を有するHIV-1臨床分離株において,テノホビルに対する感受性は3.1倍低下していた。また,T69S変異の後に二アミノ酸が挿入される変異を持つ多剤耐性株においても,テノホビルに対する感受性は低下していた。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
Tenofovir Disoproxil Fumarate
化学名
Bis(isopropoxycarbonyloxymethyl){[(1R)-2-(6-amino-9H-purin-9-yl)-1- methylethoxy]methyl}phosphonate monofumarate
分子式
C19H30N5O10P・C4H4O4
分子量
635.51
構造式
性状
白色~帯黄白色の結晶性の粉末であり,メタノール, エタノール(95)にやや溶けやすく,アセトン,水にやや溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
114~118℃
分配係数
1.25(1-オクタノール/pH6.5のリン酸塩緩衝液)
承認条件
1.
日本人における薬物動態試験を実施し,試験終了次第,可及的速やかに試験成績,解析結果を提出すること。その際,肝機能障害患者における薬物動態についても併せて検討を行うこと。
2.
実施中の臨床試験については,定期的に試験成績を報告し,試験終了次第,可及的速やかに試験成績,解析結果を提出すること。
3.
今後,再審査期間の終了までは,国内で使用される症例に関しては,可能な限り重点調査施設の全投与症例を市販後調査の対象とし,患者背景,臨床効果,副作用,薬物相互作用等に関してデータの収集を行い,再審査の申請資料として提出すること。
4.
市販後,本剤の使用実態について詳細に調査を行い,他剤との併用における本剤の安全性,有効性に関する情報収集を実施し,定期的に報告すること。
5.
治療にあたっては,薬剤に関する科学的なデータを収集中であること等,患者に十分な説明を行い,インフォームド・コンセントを得るよう医師に対して要請すること。
包装
ビリアード錠300mg 30錠/瓶
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
*Benaboud S. et al.:Antimicrob Agents Chemother. 55 (3) 1315-1317, 2011
2)
中道昇 : 新薬と臨牀 54 (8), 941, 2005
3)
Squires K. et al. : Ann. Intern. Med. 139 (5) 313, 2003
4)
Miller M. D. et al. : Nucleosides Nucleotides Nucleic Acids. 20 (4-7) 1025, 2001
文献請求先
鳥居薬品株式会社 お客様相談室
〒103-8439 東京都中央区日本橋本町3-4-1
TEL 0120-316-834
FAX 03-3231-6890
日本たばこ産業株式会社 医薬事業部 医薬情報部
**〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-4- |