験を有する患者を対象として,本剤投与前におけるウイルス遺伝子型が本剤のウイルス学的効果に及ぼす影響を検討した(N=222)。本剤投与開始前の患者から分離したHIV-1株の94%に1ヵ所以上のNRTI変異が検出され,また,評価した患者の大部分において,プロテアーゼ阻害薬又は非核酸系逆転写酵素阻害薬に関連した変異が認められた。特定の変異あるいは変異数とHIV-1 RNA量の変化との関係を表6に示した。
本剤投与により,M41L又はL210Wを含む3個以上のジドブジン関連変異を伴う場合にウイルス学的効果は低下したが,プラセボと比較した場合には効果が認められた。
一方,M184V(ラミブジン/エムトリシタビン/アバカビル関連変異)の変異は本剤のウイルス学的効果に影響を与えず,M184V変異があってもジドブジン関連変異が無ければ,プラセボ群と比較し0.84log10copies/mL減少した。また,K65Rの変異により本剤のウイルス学的効果が減少する傾向が認められた。
2) 抗レトロウイルス療法経験例における抗ウイルス作用(表現型解析)
治療経験を有する患者を対象に,本剤投与前におけるウイルス表現型が本剤投与のウイルス学的効果に及ぼす影響を検討した(N=100)。本剤投与開始前の患者から分離したHIV-1株の本剤に対する感受性と本剤のウイルス学的効果とには相関が見られ,その関係を表7に示した。
3) 抗レトロウイルス療法未経験例における薬剤耐性
903試験におけるウイルス学的失敗例から分離したHIV-1株では,エファビレンツ関連変異及びラミブジン関連変異が最も高頻度に認められ,本剤投与群とサニルブジン投与群との間に差は認められなかった。K65R変異は試験開始後144週までに本剤投与群の8例及びサニルブジン投与群の2例から分離したHIV-1株に認められたが,本剤投与群の8例のうち,7例では48週までに,1例では96週までに発現した。K65R以外にテノホビル耐性に関連する変異は認められなかった。
臨床成績の表
表5 903試験臨床試験結果
結果 |
48週評価
本剤投与群
(N=299) |
48週評価
サニルブジン投与群
(N=301) |
144週評価
本剤投与群
(N=299) |
144週評価
サニルブジン投与群
(N=301) |
有効例注11) |
79% |
82% |
68% |
62% |
無効例注12) |
6% |
4% |
10% |
8% |
再上昇例 |
5% |
3% |
8% |
7% |
無反応例 |
0% |
1% |
0% |
0% |
他剤追加例 |
1% |
1% |
2% |
1% |
死亡例 |
<1% |
1% |
<1% |
2% |
有害事象による中止例 |
6% |
6% |
8% |
13% |
その他の理由による中止例注13) |
8% |
7% |
14% |
15% |
注11)血漿中HIV-1 RNA量が<400copies/mLに至り試験開始後48週及び144週まで維持していた症例
注12)血漿中HIV-1 RNA量が<400copies/mLに至らなかった症例及び至った後に再上昇した症例
注13)患者追跡不能例,患者申出による脱落例,服薬不良例,プロトコール不遵守例など
表6 ジドブジン関連耐性変異数ごとの試験開始後24週のHIV-1 RNA量の変化
試験開始前のジドブジン関連変異数注14) |
HIV-1 RNA量の変化注15) (例数)
本剤300mg |
HIV-1 RNA量の変化注15) (例数)
プラセボ |
なし |
-0.80(68) |
-0.11(29) |
あり |
-0.50(154) |
0(81) |
1-2 |
-0.66(55) |
-0.04(33) |
M41LあるいはL210Wを含む3個以上の変異 |
-0.21(57) |
+0.01(29) |
M41LあるいはL210W以外の3個以上の変異 |
-0.67(42) |
+0.07(19) |
注14)逆転写酵素のM41L,D67N,K70R,L210W,T215Y/F又はK219Q/E/N変異
注15)試験開始時から24週までのHIV-1 RNA量時間加重平均の変化をlog10copies/mLで示した。
表7 試験開始前の本剤感受性と試験開始後24週のHIV-1 RNA量の変化