可能性がある。]
4.
閉塞隅角緑内障のある患者又はその素因(狭隅角等)のある患者[本剤はアセチルコリンの放出抑制作用を有するため、症状を悪化させる可能性がある。]
5.
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重要な基本的注意
1.
*本剤は眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症及び斜視の適応のみに使用する製剤のため、眉間の表情皺に対しては、ボトックスビスタ注用50単位を用い添付文書を熟読して使用すること。これら以外の適応には安全性が確立していないので絶対使用しないこと。
2.
本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用する。
(1)
本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素である。
(2)
*本剤の投与は対症療法であり、その効果は、眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸、上肢痙縮、下肢痙縮、2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足及び斜視では通常3~4ヵ月、重度の原発性腋窩多汗症では通常4~9ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。
(3)
本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体の産生により、効果が認められなくなることがある。
(4)
日常生活を制限されていた患者は、本剤投与後、過度の筋収縮を伴う労作を避け、活動を徐々に再開する。
(5)
痙性斜頸に対する本剤の、特に初回及び2回目の投与後1、2週間は、嚥下障害、声質の変化、息苦しい等の発現に留意するとともに、発現が認められた場合には、直ちに専門医の診療を受ける。
(6)
痙性斜頸に対する本剤投与後、姿勢の変化により今まで緊張していなかった筋が緊張することがある。
(7)
本剤投与後、3~4ヵ月の間に呼吸困難、脱力感等の体調の変化があらわれた場合には、直ちに医師に申し出る。
(8)
妊娠する可能性のある婦人は、投与中及び最終投与後2回の月経を経るまでは避妊する。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
(9)
男性は、投与中及び最終投与後少なくとも3ヵ月は避妊する。[精子形成期間に投与されることを避けるため。]
(10)
上肢痙縮及び下肢痙縮患者においては、本剤投与に伴う活動性の上昇や筋力バランスの変化により、転倒等が起こりやすくなる可能性がある。
(11)
他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る。
3.
本剤投与後、抗体が産生されることにより、耐性が生じる可能性がある。効果の減弱がみられる場合には、抗体検査を実施する。抗体産生がみられない場合は、追加投与することができる。抗体が産生された場合には、投与を中止すること。
4.
*本剤を眼輪筋又は外眼筋へ投与する場合は、以下の点に注意すること。
(1)
投与時ごとに視力検査を実施することが望ましい。[「その他の注意2.」の項参照]
(2)
眼科的観察を併せて実施し、特に眼球を傷害しないように眼球の保護に十分注意すること。また、経過観察を十分に行い、眼科的異常があらわれた場合には、直ちに精密検査を受けさせること。
5.
本剤の眼瞼深部への投与により、本剤が眼筋に作用することによって複視があらわれることがあるので、投与部位に十分注意し、慎重に投与すること。
6.
*本剤による斜視治療中に外眼筋への投与により、眼窩に針が穿通することによって網膜循環が傷つけられ、球後出血がみられるおそれがあるので、適切な検査や眼窩減圧の処置を行うことが望ましい。また、眼球を針で穿通した場合には、検眼鏡による診断を行うこと。
7.
本剤は、低用量でも閉瞼不全等の副作用発現がみられることがあるので、観察を十分に行いながら慎重に投与すること。
8.
ボツリヌス毒素の投与により、投与部位以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用があらわれることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱等に伴う死亡例も報告されている。神経学的障害のある患者(嚥下困難等を有する患者、脳性麻痺等重度の障害を有する小児患者、痙縮患者等)では、この副作用のリスクが増加するため特に注意すること。[「副作用」及び「小児等への投与」の項参照]
9.
本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。(「副作用」の項参照)
10.
本剤はできるだけ少量(「用法・用量」の初回投与量又は承認用量の下限を参照)から投与を開始することが望ましい。なお、疾患の重症度に応じて高用量を投与しても、効果は期待できない場合がある。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
筋弛緩剤
ツボクラリン塩化物塩酸塩水和物
ダントロレンナトリウム水和物等
臨床症状・措置方法
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。
機序・危険因子
筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。
2. 薬剤名等
筋弛緩作用を有する薬剤
スペクチノマイシン塩酸塩水和物
アミノグリコシド系抗生物質
ゲンタマイシン硫酸塩、フラジオマイシン硫酸塩等
ポリペプチド系抗生物質
ポリミキシンB硫酸塩等
テトラサイクリン系抗生物質
リンコマイシン系抗生物質
抗痙縮剤
バクロフェン等
抗コリン剤
ブチルスコポラミン臭化物、トリヘキシフェニジル塩酸塩等
ベンゾジアゼピン系薬剤及び類薬
ジアゼパム、エチゾラム等
ベンザミド系薬剤
チアプリド塩酸塩、スルピリド等
臨床症状・措置方法
閉瞼不全、頸部筋脱力等の過剰な筋弛緩があらわれるおそれがある。嚥下障害の発現が高まるおそれがある。
機序・危険因子
筋弛緩作用が増強されることがある。併用薬の抗コリン作用による口渇、嚥下困難等が出現するため、嚥下障害が増強されることがある。
3. 薬剤名等
他のボツリヌス毒素製剤
臨床症状・措置方法
過剰な筋弛緩があらわれることがあり、呼吸困難、嚥下障害等を発現するリスクが高まるおそれがあるため、本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。
機序・危険因子
本剤及びこれらの薬剤は、ともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。
副作