における下肢痙縮に伴う尖足、重度の原発性腋窩多汗症、斜視
効能又は効果に関連する使用上の注意
1.
本剤を上肢痙縮、下肢痙縮及び2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足に対して投与する場合は、以下の点に注意すること。
(1)
本剤は理学療法、作業療法等の標準的治療の代替とはならないため、これらの治療と併用して使用すること。
(2)
本剤は非可逆的拘縮状態となった関節の可動域の改善に対しては効果を有しない。
(3)
上肢痙縮、下肢痙縮については、痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うこと。
2.
原発性腋窩多汗症の診断及び本剤による治療は、国内外のガイドライン1)等の情報を参考にして慎重に行うこと。
3.
*本剤を斜視に対して投与する場合は、以下の点に注意すること。
(1)
*陳旧性の麻痺性斜視の改善に対しては効果を有しない(外科的手術の施行時に拮抗筋の拘縮を緩和する場合を除く)。
(2)
*50プリズムジオプトリーを超える斜視、拘束型斜視、外直筋の弱化を伴うデュアン症候群、過去の後転術による過矯正から生じた二次性斜視に対する安全性及び有効性は確立されていないことから、これらの患者に本剤を使用する場合には、その必要性を慎重に検討すること。
用法及び用量
眼瞼痙攣
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として初回1.25~2.5単位/部位を、1眼当たり眼輪筋6部位の筋肉内に注射する。また、眼輪筋切除術施行後の患者に投与する場合には、筋電計を用いて注意深く目標とする部位を同定すること。効果は通常3~4ヵ月間持続するが、症状再発の場合には再投与する。ただし、2ヵ月以内の再投与は避けること。また、再投与は初回投与量の2倍までの用量を用いることができるが、本剤の薬理作用である筋麻痺作用が予想以上に強く発現した結果と見られる閉瞼不全、眼瞼下垂等の副作用が現れた場合には、再投与時の用量を適宜減量すること。
また、1ヵ月間に累積で45単位を超える投与は避けること。
<注射部位>
片側顔面痙攣
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を痙攣筋※に筋肉内注射する。痙攣筋が複数ある場合は、分割して投与する。
・初回投与の場合には合計で10単位を投与する。
・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計20単位を上限として投与することができる。
・症状再発の場合には、合計で30単位を上限として再投与することができる。ただし、2ヵ月以内の再投与は避けること。
※痙攣筋
眼輪筋、皺眉筋、前頭筋、口輪筋、大頬骨筋、小頬骨筋、笑筋、広頸筋、オトガイ筋等
痙性斜頸
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を緊張筋※に筋肉内注射する。緊張筋が複数ある場合は、分割して投与する。
・初回投与の場合には合計で30~60単位を投与する。
・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で合計180単位を上限として投与することができる。
・症状再発の場合には、合計で240単位を上限として再投与することができる。ただし、2ヵ月以内の再投与は避けること。
※緊張筋
胸鎖乳突筋、僧帽筋、板状筋、斜角筋、僧帽筋前縁、肩甲挙筋、傍脊柱筋、広頸筋等
上肢痙縮
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計240単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は240単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。
※緊張筋
橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、長母指屈筋、母指内転筋等
下肢痙縮
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として複数の緊張筋※に合計300単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は300単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。
※緊張筋
腓腹筋(内側頭、外側頭)、ヒラメ筋、後脛骨筋等
2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足
通常、2歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として4単位/kgを、罹患している腓腹筋の内側頭・外側頭の各々2ヵ所に筋肉内注射する。両下肢に投与する場合は、4単位/kgを両肢に分割して投与する。初回投与以後、効果不十分な場合にはヒラメ筋、後脛骨筋等へ投与することができる。なお、症状に応じて適宜増減することができる。ただし、1回の総投与量は200単位を超えないこととし、再投与は前回の効果が消失した場合に可能であるが、3ヵ月以内の再投与は避けること。
重度の原発性腋窩多汗症
通常、成人にはA型ボツリヌス毒素として片腋窩あたり50単位を、複数の部位(10~15ヵ所)に1~2cm間隔で皮内投与する。再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、4ヵ月以内の再投与は避けること。
*斜視
通常、成人及び12歳以上の小児にはA型ボツリヌス毒素として以下の用量を外眼筋に筋肉内注射する。
・初回投与
1)
上下斜視の場合:上直筋又は下直筋に1.25~2.5単位
2)
20プリズムジオプトリー未満の水平斜視の場合:内直筋又は外直筋に1.25~2.5単位
3)
20~50プリズムジオプトリーの水平斜視の場合:内直筋又は外直筋に2.5~5.0単位
4)
1ヵ月以上持続する外転神経麻痺の場合:内直筋に1.25~2.5単位
・初回投与後4週間観察し、効果が不十分な場合には、さらに追加で初回投与量の2倍までの用量を上限として投与することができる。
・前回の効果が減弱した場合には、過去に投与された1回投与量の2倍までの用量を上限として再投与することができる。ただし、3ヵ月以内の再投与は避けること。
・1回の投与における1つの筋あたりの投与量は10単位を超えないこと。
用法及び用量に関する説明の表
表1 片側顔面痙攣
投与筋 |
1部位当たりの投与量
(単位/部位) |
投与部位数
(部位) |
初回投与
眼輪筋 |
1.25 |
4 |