れることがあるので、投与にあたっては患者に当該副作用について十分説明するとともに、症状が見られた場合には速やかに診察を受けるよう指導すること。(「副作用 重大な副作用 4.肝機能障害」の項及び「その他の注意1.」の項参照)
III-(4)投与開始前に脱水症状が認めれた場合は、脱水症状が増悪するおそれがあるので、症状が改善してから投与を開始すること。
III-(5)高ナトリウム血症があらわれることがあるので、投与開始直後の用量漸増期においては、来院毎に血清ナトリウム濃度を測定し、その後も本剤投与中は少なくとも月1回は測定すること。異常が認められた場合は、減量又は中止すること。(「副作用 重大な副作用 3.高ナトリウム血症」の項参照)
III-(6)投与開始前に血清ナトリウム濃度を測定し、低ナトリウム血症が認められた場合は、急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症来すおそれがあるの、低ナトリウム血症の原因を明らかにするとともに、血清ナトリウム濃度を補正し、慎重に本剤投与の適否を判断した上で、投与が適切と判断された場合に限り投与を開始すること。
III-(7)本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、血清カリウム濃度を上昇させ、心室細動、心室頻拍を誘発するおそれがあるので、本剤投与中は血清カリウム濃度を測定すること。(「慎重投与II-(2)」の項参照)
III-(8)本剤の投与により腎臓における尿酸クリアランスが減少するため、血中尿酸が上昇することがあるので、本剤投与中は血中尿酸値に注意すること。
III-(9)失神、意識消失、めまい等があらわれることがあるので、転倒に注意すること。また、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
III-(10)本剤の投与により緑内障があらわれることがあるので、定期的に検査を行うことが望ましい。
相互作用
相互作用の概略
本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4によって代謝される。また、P糖蛋白の基質であるとともに、P糖蛋白への阻害作用を有する。(〔薬物動態〕の項参照)
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール、クラリスロマイシン 等
グレープフルーツジュース
臨床症状・措置方法
代謝酵素の阻害により、本剤の作用が増強するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量から開始すること。(《用法・用量に関連する使用上の注意》の項参照)
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を阻害し、本剤の血漿中濃度を上昇させる。(〔薬物動態〕の項参照)
2. 薬剤名等
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
リファンピシン 等
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、 セントジョーンズワート)含有食品
臨床症状・措置方法
代謝酵素の誘導により、本剤の作用が減弱するおそれがあるので、本剤投与時はこれらの薬剤及び食品を摂取しないことが望ましい。
機序・危険因子
本剤の代謝酵素であるCYP3A4を誘導し、本剤の血漿中濃度を低下させる。(〔薬物動態〕の項参照)
3. 薬剤名等
ジゴキシン
臨床症状・措置方法
本剤によりジゴキシンの作用が増強されるおそれがある。
機序・危険因子
本剤はP糖蛋白を阻害し、ジゴキシンの血漿中濃度を上昇させる。(〔薬物動態〕の項参照)
4. 薬剤名等
P糖蛋白阻害作用を有する薬剤
シクロスポリン 等
臨床症状・措置方法
本剤の作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
これらの薬剤がP糖蛋白を阻害することにより、本剤の排出が抑制されるため血漿中濃度が上昇するおそれがある。
5. 薬剤名等
カリウム製剤
カリウム保持性利尿薬
スピロノラクトン、トリアムテレン 等
抗アルドステロン薬
エプレレノン 等
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
エナラプリルマレイン酸塩 等
アンジオテンシンII受容体拮抗薬
ロサルタンカリウム 等
レニン阻害薬
アリスキレンフマル酸塩 等
臨床症状・措置方法
これらの薬剤と併用する場合、血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
機序・危険因子
本剤の水利尿作用により循環血漿量の減少を来し、相対的に血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
6. 薬剤名等
バソプレシン誘導体
デスモプレシン酢酸塩水和物 等
臨床症状・措置方法
本剤によりバソプレシン誘導体の止血作用が減弱するおそれがある。
機序・危険因子
本剤のバソプレシンV2-受容体拮抗作用により、血管内皮細胞からのvon Willebrand因子の放出が抑制されるおそれがある。
副作用
副作用等発現状況の概要
心不全における体液貯留の場合
国内臨床試験において、安全性解析対象症例213例中143例(67.1%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は、口渇65件(30.5%)、BUN上昇28件(13.1%)、血中尿酸上昇20件(9.4%)等であった。(承認時)
肝硬変における体液貯留の場合
国内臨床試験において、安全性解析対象症例266例中162例(60.9%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は、口渇83件(31.2%)、頻尿45件(16.9%)等であった。(効能追加時)
常染色体優性多発性のう胞腎の場合
国際共同試験において、安全性解析対象症例961例中(日本人118例を含む)851例(日本人117例)(88.6%)に臨床検査値の異常を含む副作用が認められている。主な副作用は、口渇677件(70.4%)、頻尿503件(52.3%)、多尿366件(38.1%)、頭痛135件(14.0%)、多飲症100件(10.4%)等であった。(効能追加時)
重大な副作用
1.
腎不全(1%未満):腎不全等の重度の腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2.
血栓塞栓症(1%未満):急激な利尿により血液濃縮を来した場合、血栓症及び血栓塞栓症を誘発するおそれがあるため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
高ナトリウム血症(1~5%未満):本剤の水利尿作用により血液濃縮を来し、高ナトリウム血症があらわれること