。なお、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドとの併用経験はない。(「重要な基本的注意I-(1)、II-(3)」の項参照)
II.常染色体優性多発性のう胞腎の場合
II-1.以下のいずれにも該当する場合に適用すること
II-1)両側総腎容積が750mL以上であること。
II-2)腎容積増大速度が概ね5%/年以上であること。[臨床試験には、両側腎容積750mL以上で、腎容積の増加が速いと推定される患者を組み入れた。](〔臨床成績〕の項参照)
II-2.投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min未満の患者における有効性及び安全性は確立していない。[臨床試験には、投与開始時のクレアチニンクリアランスが60mL/min以上の患者を組み入れた。](〔臨床成績〕の項参照)
用法・用量
●心不全における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして15mgを1日1回経口投与する。
●肝硬変における体液貯留の場合
通常、成人にはトルバプタンとして7.5mgを1日1回経口投与する。
●常染色体優性多発性のう胞腎の進行抑制の場合
通常、成人にはトルバプタンとして1日60mgを2回(朝45mg、夕方15mg)に分けて経口投与を開始する。1日60mgの用量で1週間以上投与し、忍容性がある場合には、1日90mg(朝60mg、夕方30mg)、1日120mg(朝90mg、夕方30mg)と1週間以上の間隔を空けて段階的に増量する。なお、忍容性に応じて適宜増減するが、最高用量は1日120mgまでとする。
<参考>
用法及び用量の表
用法・用量 |
投与方法 |
投与量 |
心不全における体液貯留 |
1日1回 |
15mg |
肝硬変における体液貯留 |
1日1回 |
7.5mg |
常染色体優性多発性のう胞腎 |
1日2回 |
開始用量1日60mg(朝45mg、夕方15mg)
↓1日90mg(朝60mg、夕方30mg)
(漸増)1日120mg(朝90mg、夕方30mg) |
用法・用量に関連する使用上の注意
I.心不全における体液貯留の場合
I-(1)体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。[症状消失後の維持に関する有効性は確認されていない。]
I-(2)目標体重(体液貯留状態が良好にコントロールされているときの体重)に戻った場合は、漫然と投与を継続しないこと。[国内臨床試験において2週間を超える使用経験はない。]
I-(3)体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。(〔臨床成績〕の項参照)
I-(4)血清ナトリウム濃度が125mEq/L未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に投与する場合は、半量(7.5mg)から開始することが望ましい。(「慎重投与I-(1)、I- (2)」の項参照)
I-(5)口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。(「重要な基本的注意I-(3)」の項参照)
I-(6)CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始などを考慮すること。[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。](「相互作用」の項及び〔薬物動態〕の項参照)
I-(7)夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
II.肝硬変における体液貯留の場合
II-(1)体液貯留所見が消失した際には投与を中止すること。[症状消失後の維持に関する有効性は確認されていない。]
II-(2)本剤の投与により、重篤な肝機能障害があらわれることがあること、国内臨床試験において2週間を超える使用経験はないことから、体重、腹囲、下肢浮腫などの患者の状態を観察し、体液貯留が改善した場合は、漫然と投与を継続せず、必要最小限の期間の使用にとどめること。
II-(3)体液貯留状態が改善しない場合は、漫然と投与を継続しないこと。(〔臨床成績〕の項参照)
II-(4)血清ナトリウム濃度が125mEq/L 未満の患者、急激な循環血漿量の減少が好ましくないと判断される患者に投与する場合は、半量(3.75mg)から開始することが望ましい。(「慎重投与I-(1)、I-(2)」の項参照)
II-(5)口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。(「重要な基本的注意II-(5)」の項参照)
II-(6)CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、本剤の減量あるいは低用量からの開始などを考慮すること。[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。](「相互作用」の項及び〔薬物動態〕の項参照)
II-(7)夜間の排尿を避けるため、午前中に投与することが望ましい。
III.常染色体優性多発性のう胞腎の場合
III-(1)夜間頻尿を避けるため、夕方の投与は就寝前4時間以上空けることが望ましい。
III-(2)口渇感が持続する場合には、減量を考慮すること。(「重要な基本的注意III-(1)」の項参照)
III-(3)CYP3A4阻害剤との併用は避けることが望ましい。やむを得ず併用する場合は、下表を参照し、本剤の用量調節を行うこと。[本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。](「相互作用」の項及び〔薬物動態〕の項参照)
III-(4)重度の腎機能障害のある患者では減量すること。[クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の患者で本剤の血漿中濃度が増加する。](〔薬物動態〕の項参照)
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
I.心不全及び肝硬変における体液貯留の場合
I-(1)血清ナトリウム濃度125mEq/L未満の患者[急激な血清ナトリウム濃度の上昇により、橋中心髄鞘崩壊症を来すおそれがある。](「重要な基本的注意I-(5) 、II-(7)」の項参照)
I-(2)重篤な冠動脈疾患又は脳血管疾患のある患者及び高齢者[急激な利尿があらわれた場合、急速な循環血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある。](「副作用 重大な副作用 2.血栓塞栓症」の項及び「高齢者への投与」の項参照)
I-(3)高カリウム血症の患者[本