高齢者及び腎機能障害者の薬物動態
健康閉経後女性24例にバゼドキシフェン20mgを単回経口投与したときのバゼドキシフェンのAUCは、51~64歳の女性8例では59.2ng・h/mL、65~74歳の女性8例では87.4ng・h/mL、75歳以上の女性8例では157ng・h/mLであった。
中等度の腎機能障害のある患者5例(CrCl<50mL/min)にバゼドキシフェン20mgを単回経口投与したときのバゼドキシフェンのAUCは49.9~192.4ng・h/mLであった。また、尿中へのバゼドキシフェンの排泄はほとんどなかった。
(2) 肝機能障害者の薬物動態
肝機能障害のある患者18例と健康閉経後女性18例にバゼドキシフェン20mgを単回経口投与したとき、肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類でグレードCに相当する)のAUCは健康閉経後女性と比較して平均4.3倍であった。
(表2参照)
7. 薬物間相互作用(外国人における成績)6)
健康閉経後女性を対象に本剤と制酸剤、イブプロフェン、アジスロマイシン又はアトルバスタチンを併用したときの薬物間相互作用について評価したところ、本剤や併用薬の薬物動態に臨床上意義のある変動は認められなかった。
表1 日本人健康閉経後女性8例にバゼドキシフェン20mgを単回投与したときのバゼドキシフェンの薬物動態パラメータ
Cmax
(ng/mL) |
tmax
(h) |
t1/2
(h) |
AUC
(ng・h/mL) |
CL/F
(L/h/kg) |
Vz/F
(L/kg) |
20mg |
4.0±1.3 |
3.0±3.1 |
23±6 |
79±23 |
5.6±1.9 |
182±46 |
平均値±標準偏差
表2 肝機能障害のある患者にバゼドキシフェン20mgを単回投与したときのバゼドキシフェンの薬物動態パラメータ
|
Cmax
(ng/mL) |
tmax
(h) |
t1/2
(h) |
AUC
(ng・h/mL) |
CL/F
(L/h/kg) |
Child-Pugh A(n=6) |
6.2±2.9 |
1.1±0.2 |
38±25 |
205±221 |
2.9±2.1 |
Child-Pugh B(n=6) |
4.8±1.7 |
2.6±2.7 |
35±2 |
118±40 |
3.2±2.0 |
Child-Pugh C(n=6) |
5.4±5.5 |
2.8±1.8 |
50±6 |
241±202 |
1.7±1.0 |
健康閉経後女性(n=18) |
3.8±1.6 |
1.9±1.4 |
32±9 |
56±19 |
5.9±2.0 |
平均値±標準偏差
臨床成績
1. 日本人における成績7)
日本人の閉経後骨粗鬆症患者423例に本剤20mg、40mg注1)又はプラセボを投与した二重盲検用量反応比較試験を実施した。この試験で、バゼドキシフェン20mg/日の2年間投与により、有効性の主要評価項目である腰椎骨密度(L1~L4)に関して、プラセボ投与群に比較し有意な増加が認められた。また、有効性の副次評価項目である腰椎骨密度(L2~L4)、大腿骨骨密度、及び骨代謝マーカーに関して、プラセボ投与群に比較し骨密度の有意な増加と骨代謝マーカーの有意な減少が認められた(全ての患者がカルシウム610mg/日、ビタミンD3 400IU/日及びマグネシウム30mg/日を摂取)。
(表3参照)
2. 外国人における成績
外国人の閉経後骨粗鬆症患者7,492例に本剤20mg、40mg注)、実薬対照又はプラセボを投与した二重盲検比較試験を実施した。この試験で、バゼドキシフェン20mg/日を3年間投与した(全ての患者がカルシウム1,200mg/日及びビタミンD 400IU/日を摂取)。有効性の主要評価項目である投与3年後の新規椎体骨折(T4~L4)の発現頻度に関して、プラセボ投与群(4.07%)に対して、バゼドキシフェン20mg投与群(2.34%)で、有意な減少が認められた(相対リスク減少=42%、p=0.015、ログランク検定)8)。
腰椎骨密度(L1~L4)の投与前値からの変化率は、6カ月後に有意な増加が認められ(プラセボ投与群:0.51%、バゼドキシフェン20mg投与群:1.53%)、3年後まで継続した(プラセボ投与群:0.88%、バゼドキシフェン20mg投与群:2.21%)。
注:本剤の1日承認用量は20mgである。
表3 バゼドキシフェン20mg/日の2年間投与後の投与前値からの平均変化率(%)