群間比較法により検討した結果、カプトリル-Rは1日2回の服用にてカプトリル錠と同等の降圧効果及び安全性が認められた。
3. 長期投与試験8)
本態性高血圧症患者65例を対象に症例登録制下カプトリル-Rの長期投与(12ヵ月以上-22例、6ヵ月以上-39例、6ヵ月未満-4例)を行なった結果、本剤の有効率は83%(54/65)であった。
4.
重症高血圧症患者39例及び腎性高血圧症患者30例に対しカプトリル-Rを1回1~2カプセル、1日1~2回投与した結果、重症群では59%(23/39)、腎性群では80%(24/30)の有効率が得られ、本剤の有効性及び安全性が認められた9)。
薬効薬理
カプトプリルはアンジオテンシン変換酵素を抑制して、アンジオテンシンIIの生成を抑えることにより、末梢血管を拡張して、総末梢血管抵抗を下げて降圧作用をあらわすと共に、アルドステロンの分泌を抑え、軽度のナトリウム排泄作用をあらわす。
(1) アンジオテンシン変換酵素抑制作用
カプトプリルはウサギ肺より精製したアンジオテンシン変換酵素を競合的に抑制し10)、また経口投与によりアンジオテンシンIによる血圧上昇を抑制する11)ことが明らかにされている。
(2) 降圧作用
1)
カプトプリルは経口投与により、高血圧自然発症ラット及び腎血管性高血圧ラットの血圧を下降させるが、正常ラットの血圧には影響を及ぼさない12)。
2)
カプトプリルを長期間連続経口投与しても降圧作用に耐薬性を生じていない(ラット)13)。また連続投与後に休薬しても血圧はもとのレベルに戻るだけで、リバウンド現象はみられない(ラット)14)。
3)
カプトプリルは用量に応じた血圧の下降及び心拍出量の増大をもたらし、総末梢抵抗を低下させるが、心拍数には有意の変動はみられていない。また血圧下降時にも臓器血流を減少させることはなく、逆に腎・脳血流を有意に増加する(ラット)13)。
4)
カプトプリルは長期投与により高血圧による心肥大を改善し15)、延命効果をもたらす(ラット)14)16)。
(3) 血圧日内変動に及ぼす影響
本態性高血圧症患者において、カプトリル-R、1カプセルを1日1回投与した場合、投与4時間後に最大降圧効果を示し、10~12時間後まで効果の持続がみられる17)。また、最大、最小血圧とも有意に降圧し、血圧の標準偏差及び日内最大変動幅に及ぼす影響は少ない18)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
カプトプリル(Captopril)
化学名
(2S )-1-[(2S )-2-Methyl-3-sulfanylpropanoyl]pyrrolidine-2-carboxylic acid
分子式
C9H15NO3S
分子量
217.29
構造式
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。
メタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)に溶けやすく、水にやや溶けやすい。
分配係数
分配係数の表参照
有効成分に関する理化学的知見の表
分配係数
pH 2.0 3.0 4.0 7.4
分配係数(log Pow) -0.72 -0.77 -1.52 -2.00
Pow=(n-オクタノール相のカプトプリル濃度/水相のカプトプリル濃度)
包装
カプトリル-Rカプセル18.75mg
(PTP)100カプセル 1,000カプセル
(瓶) 500カプセル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
Augenstein WL, et al.:JAMA 1988;259(22):3302-3305
2)
Physicians' Desk Reference 49th ed. 1995;710-714
3)
西村憲治ほか:臨床医薬 1986;2(6):819-826
4)
塩之入洋ほか:日本腎臓学会誌 1986;28(1):73-78
5)
塩之入洋ほか:臨床医薬 1986;2(6):827-833
6)
金子好宏ほか:臨床医薬 1986;2(6):857-867
7)
金子好宏ほか:臨床医薬 1987;3(1):21-63
8)
蔵本 築ほか:臨床医薬 1986;2(11):1525-1548
9)
阿部圭志ほか:臨床医薬 1988;4(5):815-837
10)
Cushman DW, et al.:Prog Cardiovasc Dis 1978;21(3):176-182
11)
Rubin B, et al.:J Pharmacol Exp Ther 1978;204(2):271-280
12)
Laffan RJ, et al.: J Pharmacol Exp Ther 1978;204(2):281-288
13)
Koike H, et al.:Hypertension 1980;2(3):299-303
14)
Rubin B, et al.:Eur J Pharmacol 1978;51(4):377-388
15)
Antonaccio MJ, et al.:Jpn J Pharmacol 1979;29(2):285-294
16)
Horovitz ZP, et al.:Br J Clin Pharmacol 1979;7(Suppl 2):243S-248S
17)
金子好宏ほか:臨床医薬 1986;2(6):835-843
18)
金子好宏ほか:臨床医薬 1986;2(6):845-856
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