ンにて上昇。その後入院期間中の血圧は正常になり、初期の嗜眠や全身脱力感の消失後は、他の症状の発現はなかった1)。
2.
処置:
低血圧-生理食塩液の点滴静注による体液量増加が、血圧の回復のために採るべき処置である。カプトプリルは、血液透析により成人の循環系から除去されるが、新生児又は小児に対しては、有効性のデータは不十分である。
腹膜透析はカプトプリルを除去するのに有効ではない2)。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
1.
カプトリル錠(非持効性製剤)投与中に高度の蛋白尿が認められた患者について腎生検を行ったところ、膜性腎症がみられたとの報告がある。
2.
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
薬物動態
1. 血中濃度
(1)
健康成人8例にカプトリル-R(持効性製剤)を1回25mg食後30分に経口投与(交叉法)した場合、カプトリル-R(25mg/カプセル)はカプトリル錠(25mg/錠)に比べ投与後4時間以降の濃度は有意に高く、投与後8時間でも遊離カプトプリルの存在を確認できた。
また、生物学的半減期は2.13時間、平均体内滞留時間は3.59時間といずれもカプトリル錠の2~3.5倍の値を示している。(血中濃度の表参照)
これらの実験より得られた薬物速度論的パラメータを用い、さらに線形性が成立するという仮定の下にカプトリル-Rとカプトリル錠との多回投与時の血漿中濃度をシミュレートした結果は図のとおりである3)。
カプトリル-Rとカプトリル錠との多回投与時の血漿中濃度シミュレーション
(2)
本態性高血圧症患者(WHO病期分類I~II期)10例にカプトリル-R、1カプセル(18.75mg)を朝食後30分に1回投与した結果、急性降圧効果は8~12時間持続することが示され、また血漿中遊離カプトプリル濃度、血漿ACE阻害活性でも持効性が認められ、製剤の持効化に伴うBioavailabilityの低下はなかった4)5)。
2. 排泄
健康成人8例にカプトリル-Rを1回25mg食後30分に経口投与(交叉法)した場合、24時間までの尿中排泄率は遊離カプトプリルでは25.7%、トータルカプトプリルでは42.5%であり、カプトリル錠とほぼ同等である3)。
3. 腎障害患者への適用
腎障害患者に14C-カプトプリルを1回100mg経口投与し、総放射能の血中半減期を求め、腎障害患者におけるカプトプリルの用法・用量について検討した(外国人)。その結果に基づく腎障害患者の投与量・投与間隔の例を次表に示す。
(1) 投与間隔による調節
投与間隔による調節の表参照
(2) 投与量による調節
投与量による調節の表参照
薬物動態の表
血中濃度
パラメータ |
カプトリル-R |
カプトリル錠 |
Cmax(ng/mL) |
73.7 |
121.0 |
Tmax(hr) |
1.25 |
1.13 |
t1/2(hr) |
2.13 |
0.62 |
〔AUC〕∞0(ng・hr/mL) |
238.5 |
250.5 |
MRT(hr) |
3.59 |
1.75 |
MRT:Mean residence time
投与間隔による調節
Ccr(mL/min) |
>75 |
75~35 |
34~20 |
19~8 |
7~5 |
投与間隔(hr) |
8 |
12~24 |
24~48 |
48~72 |
72~108 |
投与量による調節
Ccr(mL/min) |
投与間隔(hr) |
投与量(mg) |
30 |
24 |
100 |
25 |
24 |
90 |
20 |
24 |
80 |
15 |
24 |
70 |
10 |
24 |
55 |
5 |
24 |
35 |
臨床成績
1. 一般臨床試験6)
カプトリル-Rの一般臨床試験は27施設、総症例55例の本態性高血圧症患者を対象に実施され、そのうち判定不能2例を除く53例について効果判定が行われ、69.8%(37/53)の有効率が得られた。
2. 二重盲検比較試験7)
本態性高血圧症患者を対象に、カプトリル-R(37.5~75mg、1日2回分服)の有用性をカプトリル錠(37.5~75mg、1日3回分服)を対照薬として二重盲検