イプ1b、2a、3a及び4a由来NS5Bポリメラーゼに対する50%阻害濃度(IC50値)は0.36~3.3μmol/Lであった19)。活性代謝物はヒトDNA及びRNAポリメラーゼを阻害せず、ミトコンドリア生合成も阻害しない20)。
2. In vitro抗HCV活性
HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞に対するレジパスビルの50%有効濃度(EC50値)の平均値はそれぞれ0.031及び0.004nmol/Lであった21)。HCVジェノタイプ1a(30例)及び1b(3例)臨床分離株由来のNS5A領域含有レプリコン細胞に対するレジパスビルのEC50値(中央値)は、それぞれ0.018及び0.006nmol/Lであった22)。また、レジパスビルはジェノタイプ2~6レプリコン細胞に対しても抗ウイルス活性を示し、そのEC50値は0.15~530nmol/Lであった21)。40%ヒト血清存在下で、HCVジェノタイプ1aレプリコン細胞に対するレジパスビルの活性は約1/12に低下した23)。
ソホスブビルは、HCVジェノタイプ1~6のレプリコン細胞におけるRNA複製を阻害した。HCVジェノタイプ1~6レプリコン細胞に対するソホスブビルのEC50値(平均値)は0.014~0.11μmol/Lであった24)。また、HCVジェノタイプ1a(67例)、1b(29例)、2(15例)及び3a(106例)臨床分離株由来のNS5B領域含有レプリコン細胞に対するソホスブビルのEC50値(中央値)は、それぞれ0.062、0.10、0.029及び0.081μmol/Lであった25)。
ソホスブビル/レジパスビル併用により、HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞に対する相加的な抗ウイルス作用が認められた26, 27)。
3. 薬剤耐性
HCVジェノタイプ1a及び1bレプリコン細胞を用いたレジパスビルのin vitro耐性発現試験において、Y93Hが主な耐性変異として検出され、レジパスビルに対する強い耐性を示した。また、HCVジェノタイプ1aではQ30E耐性変異も検出された28)。一方、ソホスブビルの主な耐性変異S282Tを含め、報告されているNS3プロテアーゼ阻害剤(PI)並びに核酸型NS5B阻害剤及び非核酸型NS5B阻害剤関連耐性変異は、いずれもレジパスビルに対して交差耐性を示さなかった29-31)。
HCVジェノタイプ1~6レプリコン細胞を用いたソホスブビルのin vitro耐性発現試験において、全てのジェノタイプレプリコン細胞株でNS5B領域のS282T変異が認められた30)。S282T変異を導入したすべてのジェノタイプレプリコン細胞でソホスブビルに対する感受性が低下し、対応する野生型と比較した場合、S282T変異型に対するEC50値は2.4~18.1倍増加した31)。また、リバビリン、非核酸型NS5B阻害剤、NS3プロテアーゼ阻害剤又はNS5A阻害剤の耐性に関連した変異を含むレプリコン細胞において、ソホスブビルの活性は保持された31, 32)。
国内第3相臨床試験では、23.3%(74/318例)の患者でベースライン時にNS5A耐性変異が検出された(本剤単独投与群41例、本剤とリバビリンの併用投与群33例)。これら74例の患者のうち本剤単独投与群では41例全ての患者がSVR12を達成し、本剤とリバビリンの併用投与群では33例中32例がSVR12を達成した。本試験で本剤とリバビリンの併用投与により再燃に至った1例では、ベースライン時及びウイルス学的治療不成功が認められた時点で、Y93HのNS5A耐性変異が検出されたが、ソホスブビルに対する耐性と関連するNS5B変異の出現は認められなかった8)。
有効成分に関する理化学的知見
レジパスビル
一般名
レジパスビル アセトン付加物
Ledipasvir Acetonate(JAN)
化学名
Methyl{(1S)-1-[(1R,3S,4S)-3-(5-{9,9-difluoro-7-[2-((6S)-5-{(2S)-2-[(methoxycarbonyl)amino]-3-methylbutanoyl}-5-azaspiro[2.4]hept-6-yl)-1H-imidazol-4-yl]-9H-fluoren-2-yl}-1H-benzimidazol-2-yl)-2-azabicyclo[2.2.1]heptane-2-carbonyl]-2-methylpropyl}carbamate monoacetonate
分子式
C49H54F2N8O6・C3H6O
分子量
947.08
構造式
性状
白色~わずかに着色した粉末
溶解性
ジメチルスルホキシド、エタノール(99.5)、メタノールに溶けやすく、アセトンに溶けにくい。
融点
融解する前に脱溶媒和する。
分配係数
log P=6.9(1-オクタノール/pH 7.4の緩衝液)
ソホスブビル
一般名
ソホスブビル
Sofosbuvir(JAN)
化学名
1-Methylethyl N-[(S)-{[(2R,3R,4R,5R)-5-(2,4-dioxo-3,4-dihydropyrimidin-1(2H)-yl)-4-fluoro-3-hydroxy-4-methyltetrahydrofuran-2-yl]methoxy}phenoxyphosphoryl]-L-alaninate
分子式
C22H29FN3O9P
分子量
529.45
構造式
性状
白色から微黄白色の粉末
溶解性
メタノール、アセトン、アセトニトリル又はエタノール(99.5)に溶けやすく、2-プロパノールにやや溶けやすく、酢酸エチルにやや溶けにくく、トルエン、ジクロロメタン又はヘプタンにほとんど溶けない。
融点
約125℃
分配係数
log P=1.62(1-オクタノール/0.15mol/L 塩化カリウム溶液)
承認条件
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
包装
ハーボニー配合錠:28錠瓶
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料(レジパスビルの出生前及び出生後の発生並びに母体機能に関する試験:TX-256-2020)
2)
社内資料(ソホスブビルの胎盤通過及び乳汁移行に関する試験:SA-PSI-7977-11-0008)
3)
社内資料(レジパスビルのQTcに対する影響及び臨床用量を超える用量の影響を検討した試験:GS-US-344-0109)
4)
社内資料(ソホスブビルのQTcに対する影響及び臨床用量を超える用量の影響を検討した試験:P7977-0613)
5)
社内資料(ソホスブビルの腎機能障害患者における薬