通常、1個を直腸内に注入する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
消化管に瘻孔又はその疑いのある患者[穿孔を生じ、消化管外に漏れるおそれがある。]
2.
穿孔を生ずるおそれのある患者(胃・十二指腸潰瘍、虫垂炎、憩室炎、潰瘍性大腸炎、腸重積症、腫瘍、寄生虫感染、生体組織検査後間もない患者等)
3.
消化管の狭窄又はその疑いのある患者[腸閉塞、穿孔等を生ずるおそれがある。]
4.
**腸管憩室のある患者[穿孔、憩室炎を生ずるおそれがある。]
重要な基本的注意
1.
**他の医薬品に対し過敏症の既往歴のある患者、喘息、アトピー性皮膚炎等、過敏症反応を起こしやすい体質を有する患者では、ショック、アナフィラキシーがあらわれるおそれがあるので、投与に際しては問診を行い、観察を十分に行うこと。
2.
**消化管内に硫酸バリウムが停留することにより、まれに消化管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎、バリウム虫垂炎等を引き起こすことが報告されており、特に高齢者においては、より重篤な転帰をたどることがあるので、次の点に留意すること。
(1)
患者の日常の排便状況に応じた下剤投与を行うこと。
(2)
迅速に硫酸バリウムを排出する必要があるため、十分な水分の摂取を患者に指導すること。
(3)
患者に排便状況を確認させ、持続する排便困難、腹痛等の消化器症状があらわれた場合には、直ちに医療機関を受診するよう指導すること。
(4)
腹痛等の消化器症状があらわれた場合には、腹部の診察や画像検査(単純X線、超音波、CT等)を実施し、適切な処置を行うこと。
3.
心臓に基礎疾患を有する患者、高齢者では、不整脈・心電図異常があらわれることが報告されているので、観察に留意すること。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は、使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
1. **ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、顔面蒼白、四肢冷感、血圧低下、チアノーゼ、意識消失、潮紅、蕁麻疹、顔面浮腫、喉頭浮腫、呼吸困難等があらわれた場合には、適切な処置を行うこと。
2. **消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎(頻度不明)
消化管穿孔、腸閉塞、腹膜炎を起こすことがある。また、大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎、バリウム虫垂炎等から消化管穿孔に至るおそれもあるので、観察を十分に行い、検査後、腹痛等の異常が認められた場合には、腹部の診察や画像検査(単純X線、超音波、CT等)を実施し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
頻度不明 |
消化器 |
排便困難、便秘、一過性の下痢・腹痛、肛門部痛・出血、悪心、嘔吐 |
過敏症 |
発疹、そう痒感、蕁麻疹 |
高齢者への投与
高齢者では消化管運動機能が低下していることが多いため、硫酸バリウムの停留により、消化管穿孔が起こりやすく、また、起こした場合には、より重篤な転帰をたどることがあるので、検査後の硫酸バリウムの排泄については十分に留意すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、本剤投与の際にはX線照射を伴うので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。
小児等への投与
新生児、低出生体重児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。また、本剤投与の際にはX線照射を伴うので、小児等には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。
適用上の注意
1. 投与前の処置
(1)
レクタルチューブを肛門に挿入する際には、あらかじめ直腸の触診を行い、慎重に挿入すること。
(2)
レクタルチューブには、あらかじめ潤滑剤(オリーブ油、ワセリン、グリセリン等)をぬり、慎重に挿入すること。
2. 投与後の処置
(1)
注腸造影中の体位変換は腸壁を傷つけないように慎重に行うこと。
(2)
排便困難や便秘を防ぐため検査後、水分の摂取・下剤投与等の処置をすること。
その他の注意
硫酸バリウム製剤が消化管損傷部等を介して組織内(腹腔、腸管等)に停留した場合、肉芽腫を形成することがあるとの報告がある。
臨床成績
1.
バリエネマの有用性と簡便性を検討するため、20施設で内科、外科、放射線科の外来、または入院患者の220例を対象に、大腸スクリーニング検査法を試みた。本試験において、大腸癌、潰瘍性大腸炎の診断、大腸ポリープの発見も可能である事が証明され、総合判定では、有用以上が主治医判定で75%、判定委員会判定で79%となり、やや有用まで含めるとそれぞれ91%、95%であった。1)
2.
13施設714例(スクリーニング分野89例、一般診療分野625例)を対象にバリエネマを使用して大腸二重造影検査の造影試験を行った。総合評価は、有用以上が72%、やや有用以上が94%であった。また、スクリーニング分野は、検査所要時間の短縮を図ることができ、診断の確実性は良好であった。2)
3.
高齢者の注腸造影時におけるバリウムの量不足、上行結腸起始部の描出不足の難点の解消を目的として、バリエネマ300を使用して5施設100例を対象に臨床検討を行った。造影範囲は98%が上行結腸起始部に、また85%が回腸末端部にバリウムが到達していた。総合評価は、有用以上が主治医判定で90%、判定委員会判定で99%となり満足しうる成績であった。3)
4.
高付着性低濃度造影剤の注腸X線検査における有用性を検討するため、バリエネマLCを使用して5施設100例を対象に臨床試験を行った。造影範囲については、上行結腸まで造影できたのが98%、回盲部までは95%であった。総合評価は、有用以上が99%と極めて高率であり、注腸X線検査用造影剤として満足できる成績であった。
また、30w/v%と低濃度のため透見性が優れ、腸管の重なり部分やバリウムの溜まり部分も診断能の高いX線写真が得られた。4)
5.
バリエネマHD75%は、医療ニーズの多様化に対応していくために、従来品の規格に加え開発された高濃度の注腸造影剤である。バリエネマHD75%