プリム:160mg、スルファメトキサゾール:800mg)を単回経口投与したときの血中濃度は以下のとおりであった。
図 単回投与後の血中濃度(健康成人男子)
(表1)
<外国人における成績(参考)>
(2) *腎機能障害患者への投与
<経口投与時の成績>
クレアチニン・クリアランスが4mL/分以下の尿毒症患者4例にバクトラミン配合錠2錠(トリメトプリム:160mg、スルファメトキサゾール:800mg)を経口投与したときトリメトプリムとスルファメトキサゾールの平均血清中半減期は非透析時には各々22.8時間、28.4時間であり、透析時には各々9.4時間、11.1時間であった。3)
また、腎機能障害のある患者では血清中半減期が延長するので、クレアチニン・クリアランス値を指標として適宜用量を調節する。4,5)
なお、クレアチニン・クリアランス値に応じた用量は、<用法・用量に関連する使用上の注意>を参考にすること。
(3) 血液透析患者への投与
<点滴静注時の成績>
血液透析患者16例にバクトラミン注2アンプル(トリメトプリム:160mg、スルファメトキサゾール:800mg)を45分間かけて点滴静注したところ、いずれの成分も血液透析により排泄が促進された(半減期トリメトプリム:6.0時間、スルファメトキサゾール:3.1時間)。また、血液透析中に、トリメトプリムは投与量の44%、スルファメトキサゾールは投与量の57%が排泄された。6)
(4) 腹膜透析患者への投与
<点滴静注時の成績>
腹膜透析患者10例にバクトラミン注4アンプル(トリメトプリム:320mg、スルファメトキサゾール:1,600mg)を30分間かけて点滴静注したところ、トリメトプリムの半減期の延長が認められた(半減期トリメトプリム:28.6時間、スルファメトキサゾール:13.0時間)。また、腹膜透析中に、トリメトプリムは投与量の3%未満、スルファメトキサゾールは投与量の6%未満が排泄されたに過ぎなかった。7)
2. 排泄2)
健康成人男子6例にバクトラミン配合錠2錠(トリメトプリム:160mg、スルファメトキサゾール:800mg)を経口投与したときの尿中濃度は内服後3~6時間でトリメトプリム約150μg/mL、スルファメトキサゾール約300μg/mL、9~12時間では、それぞれ約100μg/mL、約200μg/mLであった。
また、内服後48時間の尿中排泄率はトリメトプリム約80%、スルファメトキサゾール約85%であった。
薬物動態の表
表1
投与量 |
例数 |
Cmax
(μg/mL) |
t1/2
(hr) |
SMX |
2錠 |
4 |
50.2 |
9 |
TMP |
2錠 |
4 |
1.9 |
9 |
薬効薬理
1. 試験管内抗菌作用8-10)
緑膿菌を除くグラム陽性菌・陰性菌のほとんどに抗菌力を示す。グラム陽性菌、グラム陰性菌(大腸菌、クレブシェラ、エンテロバクター、プロテウス、インフルエンザ菌、赤痢菌、チフス菌)の臨床分離株に感受性を示す。
2. 作用機序8-10)
本剤の配合2成分は細菌の葉酸代謝経路の連続した2ヵ所をそれぞれ阻害する。すなわち、スルファメトキサゾールはパラアミノ安息香酸と競合してジヒドロ葉酸の合成を阻害し、トリメトプリムはジヒドロ葉酸からテトラヒドロ葉酸への還元過程を阻害する。この結果、本剤は成分単独で作用させた場合に比べて、相乗的な抗菌作用の増大が認められる。
有効成分に関する理化学的知見
1. 一般名
トリメトプリム(Trimethoprim)(JAN)
略 名
TMP
化学名
2,4-Diamino-5-(3,4,5-trimethoxybenzyl)-pyrimidine
構造式
分子式
C14H18N4O3
分子量
290.32
性 状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。
酢酸(100)に溶けやすく、希酢酸、メタノール又はクロロホルムにやや溶けにくく、エタノール(95)又はアセトンに溶けにくく、水に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融 点
199~203℃
2. 一般名
スルファメトキサゾール(Sulfamethoxazole)(JAN)
略 名
SMX
化学名
4-Amino-N-(5-methylisoxazol-3-yl)benzenesulfonamide
構造式
分子式
C10H11N3O3S
分子量
253.28
性 状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。N,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水に極めて溶けにくい。水酸化ナトリウム試液に溶ける。光によって徐々に着色する。
融 点
169~172℃
包装
バクトラミン配合錠:100錠(PTP)
バクトラミン配合顆粒:100g(缶)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性過敏症症候群
2)
大久保一衛,他:Chemotherapy 21:241,1973
3)
Craig,W.A.,et al.:Ann.Intern.Med.78:491,1973
4)
Rieder,J.,et al.:Antibiot.Chemother.18:148,1974
5)
T.T.Yoshikawa:JAGS 38:1353,1990
6)
Nissenson,A.R.,et al.:Am.J.Nephrol.7:270,1987
7)
Walker,S.E.,et al.:Perit.Dial.Int.9:51,1989
8)
五島瑳智子,他:Chemotherapy 21:77,1973
9)
中澤昭三,他:Chemotherapy 21:88,1973