の非外傷性椎体骨折発生頻度の生命表法による推定値(95%信頼区間)は、本剤1mg群(イバンドロン酸として1mgを1カ月に1回静脈内投与、381例うち男性28例)及び対照群(リセドロン酸ナトリウムとして2.5mgを連日経口投与、375例うち男性32例)で、それぞれ16.07%(12.19~19.94%)及び17.58%(13.55~21.62%)であった。非外傷性椎体骨折発生頻度の層別Cox回帰分析による対照群に対する本剤1mg群のハザード比(90%信頼区間)は0.88(0.65~1.20)であり、本剤の対照薬に対する非劣性が証明された(非劣性限界値1.55)。
3年後の腰椎骨密度変化率の平均値(95%信頼区間)は、本剤1mg群9.02%(8.32~9.72%)及び対照群7.61%(6.92~8.30%)で、3年後の大腿骨近位部骨密度変化率の平均値(95%信頼区間)は、本剤1mg群3.09%(2.68~3.51%)及び対照群2.02%(1.58~2.45%)であった。9)
薬効薬理
1. 薬理作用
(1) 骨吸収抑制作用10)
ウサギ破骨細胞培養系において、破骨細胞が象牙切片に形成する吸収窩を減少させる(in vitro)。
(2) 骨粗鬆症モデル動物における作用
1)
ラット卵巣摘除モデルにおいて、12カ月間連日皮下投与したとき、骨密度及び骨強度の低下を用量依存的に抑制した11)。また、12カ月間間欠(25日に1回)皮下投与したときにも、骨密度及び骨強度の低下を抑制した11)。
2)
カニクイザル卵巣摘除モデルにおいて、16カ月間間欠(30日に1回)静脈内投与したとき、骨密度及び骨強度の低下を抑制し、骨密度と骨強度には正の相関が認められた。また、血清・尿中の骨代謝マーカー(血清骨型アルカリホスファターゼ、血清オステオカルシン、尿中I型コラーゲン架橋N-テロペプチド、尿中デオキシピリジノリン)の上昇を抑制した12,13)。
(3) 骨石灰化に及ぼす影響
1)
成長期ラットにおいて、7日間連日皮下投与したとき、イバンドロン酸として4780μg/kg(1000μgP/kg注6):骨量増加作用を示す用量の約100倍)の用量まで、骨石灰化過程の障害は認められなかった注7),14)。
2)
イヌ卵巣・子宮摘除モデルにおいて、イバンドロン酸として100μg/kg(骨量減少抑制作用を示す用量の約100倍)の用量まで、類骨幅の増加や石灰化速度の低下は認められなかった注8),15)。
3)
カニクイザル卵巣摘除モデルにおいて、骨量減少抑制作用を示す30及び150μg/kg(イバンドロン酸としての用量:16カ月間間欠(30日に1回)静脈内投与)では、類骨幅の増加は認められなかった12)。
注6)分子内に含まれるリン原子の重量をもとにした重量表示
注7)4780μg/kgの用量では、脛骨骨幹端の成長板直下に骨基質添加の抑制に基づくと考えられる低石灰化領域が認められた。
注8)投与前値との比較
(4) 骨折修復に及ぼす影響16)
骨髄除去及び骨欠損孔作製イヌ骨折モデルに、イバンドロン酸として1μg/kgの用量を36週間連日皮下投与したとき、骨髄除去大腿骨皮質骨における骨単位数及び脛骨骨欠損孔における仮骨形成に影響は認められなかった。
2. 作用機序
イバンドロン酸は、骨基質であるハイドロキシアパタイトに対する高い親和性を有しており17)、投与後骨に分布する18)。破骨細胞に取り込まれた後ファルネシルピロリン酸合成酵素を阻害し19)、これにより破骨細胞の機能を抑制することで骨吸収抑制作用を示すと考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
イバンドロン酸ナトリウム水和物
(Ibandronate Sodium Hydrate)(JAN)
化学名
Monosodium
[1-hydroxy-3-(methylpentylamino)propane-1,1-diyl]diphosphonate monohydrate
構造式
分子式
C9H22NNaO7P2・H2O
分子量
359.23
性 状
白色~黄白色の粉末である。水に溶けやすく、メタノール、エタノール及びジメチルホルムアミドにほとんど溶けない。
融 点
171℃付近で融け始め、198℃付近で分解する。
取扱い上の注意
苛酷試験(光)においてわずかに類縁物質の増加が認められたため、外箱開封後は光を避けて保存すること。
包装
ボンビバ静注1mgシリンジ:1、10シリンジ
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
社内資料:毒性試験<イヌ6カ月間静脈内投与毒性試験>
2)
社内資料:毒性試験<イヌ1年間経口投与毒性試験>
3)
社内資料:健康成人男性での単回投与試験
4)
社内資料:閉経後骨減少女性での反復投与試験
5)
社内資料:薬物動態試験<代謝プロファイル(in vitro)>
6)
社内資料:薬物動態試験<酵素阻害(in vitro)>
7)
社内資料:薬物動態試験<血清蛋白結合性(in vitro)>
8)
社内資料:臨床薬理試験(腎障害時の薬物動態)
9)
社内資料:無作為化二重盲検群間比較試験(第II/III相試験)
10)
社内資料:薬理試験<骨吸収抑制作用(in vitro)>
11)
Bauss F, et al.:J Rheumatol, 29:2200(2002)
12)
Smith SY, et al.:Bone, 32:45(2003)
13)
Muller R, et al.:J Bone Miner Res, 19:1787(2004)
14)
Muhlbauer RC, et al.:J Bone Miner Res, 6:1003(1991)
15)
Monier-Faugere MC, et al.:J Bone Miner Res, 8:1345(1993)
16)
Bauss F, et al.:J Pharmacol Toxicol Methods, 50:25(2004)
17)
Nancollas GH, et al.:Bone, 38:617(2006)
18)
社内資料:薬物動態試験<骨中濃度(反復投与)>
19)
Dunford JE, et al.:J Pharmacol Exp Ther, 296:235(2001)
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。
中外製薬株式会社 医薬情報センター
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