)において実施された一般臨床試験の有効率は下記のとおりであった10)~14)。(表1参照)
なお、ワンアルファカプセルにおいて実施された骨粗鬆症、慢性腎不全を対象とした二重盲検試験で有用性が認められた15),16)。ワンアルファ錠はワンアルファカプセルと生物学的同等性が認められている。
臨床成績の表
表1
疾患名\有効率(%) |
有効以上 |
慢性腎不全等 |
70.9%(90/127) |
骨粗鬆症 |
51.4%(95/185) |
薬効薬理
本剤は、経口投与後腸管からすみやかに血中に吸収され肝ミクロゾームの25-hydroxylaseによって側鎖の25位が水酸化されて活性発現物質1α,25-(OH)2D3となり、腸管及び骨等の標的組織に分布するレセプターに結合し腸管からのCa吸収促進作用、骨塩溶解作用及び骨形成作用等一連の生理活性を発現する。
(1) 腸管からのCa吸収ならびに血清Ca上昇作用
ビタミンD欠乏ラット及び腎摘出ラットにアルファカルシドールを投与した実験において、腸管からのCa吸収促進作用、血清Caレベル上昇作用が認められている17),18)。
(2) 骨形成促進作用
1) 骨組織培養
9日鶏卵からとりだした胎児の組織培養の研究により、正常な骨形成には1α,25-(OH)2D3が必須であることが証明された19)。
2) 腎摘ラット
腎亜全摘により、多数の骨吸収腔と類骨層、低石灰化層が著明に増加したラットに、アルファカルシドールを30日間投与した実験において、骨新生が認められている20)。
3) 骨粗鬆症モデルラット(卵巣摘出ラット)
卵巣摘出長期飼育により血中1α,25-(OH)2D3値の低下や海綿骨梁及び石灰沈着率の減少がおこるが、これらの変化はアルファカルシドール0.1μg/kg/日、6ヵ月間投与により改善した21)。
4) 骨粗鬆症モデルラット(ハイドロコーチゾン投与ラット)
ハイドロコーチゾン長期間投与により海綿骨梁、骨皮質幅、骨成分の減少がおこるが、これらの変化はアルファカルシドール0.02μg/kg/日~0.1μg/kg/日、12週間投与により改善した22)。
5) 老人性骨粗鬆症(ヒト、電顕的・光顕的観察)
ワンアルファカプセル投与前後で腸骨骨生検を実施し、電顕的・光顕的観察を行ったところ、活動性骨芽細胞・骨細胞・石灰化骨小腔の増加等、骨組織学的な改善が認められた23)。
6) Ca摂取量と骨吸収・骨形成作用
ビタミンD欠乏ラットの飼料中のCa含量を変え、アルファカルシドールを投与した実験において、Ca含量が少ない場合には骨吸収があらわれ、Ca含量が十分である場合には骨形成が顕著にあらわれた17)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
アルファカルシドール(Alfacalcidol)
化学名
(5Z,7E)-9,10-secocholesta-5,7,10(19)-triene-1α,3β-diol
化学構造式
分子式
C27H44O2
分子量
400.64
融点
137~142℃
**性状
白色の結晶又は結晶性の粉末で、メタノール、エタノール(99.5)、クロロホルム又はジクロロメタンに溶けやすく、アセトン又はジエチルエーテルにやや溶けやすく、水又はヘキサンにほとんど溶けない。空気又は光によって変化する。
取扱い上の注意
1.
**光により変色することがあるので、開封後は遮光して保存すること。
2.
**開封後は湿気を避けて保存すること。
包装
PTP 0.25μg:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、1,000錠(10錠×100)、700錠(14錠×50)
PTP 0.5μg:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、1,000錠(10錠×100)、700錠(14錠×50)
PTP 1.0μg:100錠(10錠×10)、500錠(10錠×50)、1,000錠(10錠×100)、700錠(14錠×50)
瓶 0.25μg:500錠(褐色ガラス瓶入り)
瓶 0.5μg:500錠(褐色ガラス瓶入り)
瓶 1.0μg:500錠(褐色ガラス瓶入り)
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
加藤正夫ほか:基礎と臨床,12(1)32,1978
2)
加藤正夫ほか:基礎と臨床,12(2)203,1978
3)
加藤正夫ほか:基礎と臨床,12(4)716,1978
4)
大沼規男ほか:応用薬理,15(3)459,1978
5)
社内報告:急性毒性(幼若ラット),1985
6)
社内報告:代謝(ラット肝ホモジェネート、肝還流),1978
7)
社内報告:薬物動態(健康成人),1986
8)
大沼規男ほか:応用薬理,16(6)1123,1978
9)
清木 護ほか:応用薬理,16(6)1137,1978
10)
越川昭三ほか:臨床水電解質,5(6)645,1986
11)
清野佳紀ほか:小児科臨床,39(7)1691,1986
12)
西山宗六ほか:小児科臨床,39(8)2029,1986
13)
井上哲郎ほか:新薬と臨牀,35(6)1234,1986
14)
白旗敏克ほか:新薬と臨牀,35(6)1243,1986
15)
上田 泰ほか:臨床評価,7(1)137,1979
16)
伊丹康人ほか:医学のあゆみ,123(10)958,1982
17)
川島博行ほか:日本薬理学雑誌,74(2)267,1978
18)
川島博行ほか:応用薬理,16(5)845,1978
19)
清木 護ほか:組織培養,8(3)79,1982
20)
Ueno, K. et al.:IVth WORK SHOP on Vitamin D, Berlin,1979
21)
伊沢義弘ほか:Prog. Med.,2(7)1071,1982
22)
伊沢義弘ほか:Pro