酵素阻害剤(プラバスタチン10mg/日又はシンバスタチン5mg/日)とエパデール1,800mg/日の併用による治療(エパデール群)又はHMG-CoA還元酵素阻害剤のみによる治療(対照群)に無作為に割り付けた。非盲検下で平均4.6年追跡した有効性評価対象18,645例(エパデール群:9,326例、対照群:9,319例)において、心血管イベント(突然心臓死、致死性及び非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、心血管再建術)は、エパデール群で262例(2.8%)、対照群で324例(3.5%)に認められ、ハザード比は0.81(95%信頼区間:0.69-0.95、以下同様)であり、エパデール群で有意に減少した。心血管死(突然心臓死又は致死性心筋梗塞)は、エパデール群で29例(0.3%)、対照群で31例(0.3%)、ハザード比は0.94(0.57-1.56)、総死亡は、エパデール群で286例(3.1%)、対照群で265例(2.8%)、ハザード比は1.09(0.92-1.28)であり、いずれも有意差は認められなかった15)。
薬効薬理
1. 血清脂質低下作用
(1)
高脂血症患者の血清総コレステロール及び血清トリグリセリドを有意に低下させる9~14,16)。
(2)
高コレステロール飼料飼育誘発高脂血症動物(ラット、ウサギ)、カゼイン含有飼料誘発あるいはトライトン誘発高脂血症ラット、更には、普通食飼育動物(ラット、ハムスター)において血中脂質低下作用を示す17~19)。
(3)
ラットに経口投与すると、リポ蛋白中EPA含量が増加し、また、リポ蛋白の血中からの消失が促進される20,21)。
(4)
コレステロールの腸管からの吸収抑制、肝での生合成活性抑制、胆汁中への異化排泄促進などの作用を示す(ラット)20)。
(5)
トリグリセリドの腸管からの吸収抑制や肝での生合成活性抑制及び肝からの分泌抑制、更には、血漿リポ蛋白リパーゼ(LPL)活性亢進などの作用を示す(ラット)21,22)。
2. 抗血小板作用
(1)
各種血栓性、動脈硬化性疾患患者において、種々の凝集惹起剤による血小板凝集を抑制し、血小板粘着能も同様に抑制する16)。
(2)
主として血小板膜リン脂質中のEPA含量を増加させ、血小板膜からのアラキドン酸代謝を競合的に阻害することによりトロンボキサンA2産生を抑制し、血小板凝集を抑制すると考えられる23)。
(3)
コラーゲンによる血小板凝集を抑制する(ウサギ、ex vivo)23)。
(4)
ラット、ウサギ及びヒトにおいて、コラーゲン、ADP、アラキドン酸による血小板凝集を抑制する(in vitro)23)。
(5)
ラット胸部大動脈血管壁でのプロスタサイクリン様物質産生の不変ないし増加が認められている24)。
3. 動脈の伸展性保持作用
(1)
高コレステロール食飼育ウサギにおける摘出大動脈の伸展性の低下に対して抑制作用を示し、普通食飼育ウサギの大動脈と同等の伸展性を保つ25)。
(2)
高コレステロール食飼育ウサギの胸部大動脈及び大腿動脈の脈波速度(PWV)の増大を抑制し、そのPWV値は普通食飼育ウサギとほぼ同程度である26)。
(3)
高コレステロール食飼育ウサギ大動脈の中膜平滑筋細胞密度及びエラスチン含量の低下、並びに平滑筋中の遊離コレステロールの蓄積を抑制し26)、更に、内膜平滑筋細胞の増殖を抑制する。
4. 各種動脈閉塞性病態モデルに及ぼす作用
経口投与により、アラキドン酸静注による血栓形成に基づく突然死(ラット)27)を抑制し、動静脈シャントの血栓性閉塞(ラット)27)、エラジン酸誘発血栓(ウサギ)28)に対し、血栓形成を抑制する。また、ラウリン酸誘発末梢壊疽(ラット)28)の進行を抑制する。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
イコサペント酸エチル(Ethyl Icosapentate)
化学名
Ethyl(5Z,8Z,11Z,14Z,17Z)-icosa-5,8,11,14,17-pentaenoate
構造式
分子式
C22H34O2
分子量
330.50
性状
イコサペント酸エチルは無色~微黄色の澄明な液で、わずかに特異なにおいがある。本品はエタノール(99.5)、酢酸(100)、ヘキサンと混和する。水又はエチレングリコールにほとんど溶けない。
**包装
300mg:84包、420包
600mg:84包、420包
900mg:56包、84包、420包
主要文献及び文献請求先
*主要文献
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