などの外眼部組織に高い放射能が認められた。結膜及び角膜では、点眼後5分に最高放射能濃度を示し、点眼後24時間には最高放射能濃度の4~30%となった。
3. 代謝4,5,6)
(参考:ヒト〈in vitro〉)
ヒト血漿及びヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝反応において、ジクアホソルナトリウムは速やかに代謝を受け、UMP、ウリジン及びウラシルの生成が認められた。
(参考:ウサギ)
ウサギに3%14C-ジクアホソルナトリウム点眼液を点眼後30分の眼組織にはジクアホソルナトリウムはほとんど認められず、UTP、UDP、UMP、ウリジン及びウラシル等が検出された。
臨床成績
1. 後期第II相試験(プラセボ点眼液対照無作為化二重盲検群間比較試験)7)
ドライアイ患者を対象に実施した後期第II相試験において、本剤(シェーグレン症候群患者16例を含む93例)はプラセボ点眼液(対照薬、シェーグレン症候群患者23例を含む93例)に比較して、角膜におけるフルオレセイン染色スコア※、並びに角膜および結膜におけるローズベンガル染色スコア※を有意に低下させた。
フルオレセイン染色スコア※の比較
変化量(4週後または中止時)
本剤(n=93):-1.55±0.13
プラセボ(n=93):-0.95±0.14
群間差[95%信頼区間](本剤-プラセボ)
-0.60[-0.98~-0.22]
(平均±標準誤差)
ローズベンガル染色スコア※の比較
変化量(4週後または中止時)
本剤(n=93):-1.71±0.23
プラセボ(n=93):-0.86±0.21
群間差[95%信頼区間](本剤-プラセボ)
-0.85[-1.46~-0.24]
(平均±標準誤差)
2. 第III相試験(0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液対照無作為化二重盲検群間比較試験)8)
ドライアイ患者を対象に、0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液を対照薬として実施した第III相試験において、本剤(シェーグレン症候群患者36例を含む144例)は対照薬(シェーグレン症候群患者32例を含む142例)に比較して、同等の角膜フルオレセイン染色スコア※の低下が認められた。さらに、本剤は対照薬に比較して、角膜および結膜ローズベンガル染色スコア※を有意に低下させた。
フルオレセイン染色スコア※の比較
変化量(4週後または中止時)
本剤(n=144):-2.12±0.14
0.1%HA(n=142):-2.08±0.13
群間差[95%信頼区間](本剤-0.1%HA)
-0.03[-0.405~0.338]
0.1%HA:0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液
(平均±標準誤差)
ローズベンガル染色スコア※の比較
変化量(4週後または中止時)
本剤(n=144):-3.06±0.19
0.1%HA(n=141):-2.38±0.18
群間差[95%信頼区間](本剤-0.1%HA)
-0.67[-1.18~-0.16]
0.1%HA:0.1%精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液
(平均±標準誤差)
3. 長期点眼試験(第III相試験)9)
ドライアイ患者(シェーグレン症候群患者9例、スティーブンス・ジョンソン症候群患者2例を含む244例)を対象に実施した長期点眼試験において、本剤投与群の角膜におけるフルオレセイン染色スコア※、並びに角膜および結膜におけるローズベンガル染色スコア※は52週を通して投与開始前に比較し低下を示し、その効果は維持された。
※臨床試験でのスコアリング方法
フルオレセイン染色では角膜を上中下に3分割し、それぞれ0点から3点で障害の程度をスコア化し、合計9点満点として評価した。ローズベンガル染色では3分割した角膜の評価に加えて鼻側結膜及び耳側結膜をそれぞれ0点から3点で障害の程度をスコア化し、合計15点満点として評価した。
薬効薬理
1. 作用機序10,11,12,13)
ジクアホソルナトリウムは、結膜上皮及び杯細胞膜上のP2Y2受容体に作用し、細胞内のカルシウム濃度を上昇させることにより、水分及びムチンの分泌を促進した。
2. ムチンを含む涙液分泌促進作用13,14,15,16,17)
(1)
正常動物(ウサギ及びラット)において、ジクアホソルナトリウムの単回点眼により涙液の分泌及び結膜細胞からのムチン分泌を促進した。
(2)
ラットドライアイモデルにおいて、ジクアホソルナトリウムの単回点眼により涙液の分泌を促進した。また、反復点眼により結膜組織内のムチン量は増加した。
3. 角膜上皮障害改善18,19)
ラットドライアイモデルにおける角膜上皮障害は、ジクアホソルナトリウムの1日6回、4週間反復点眼で濃度依存的に改善され、1%以上で最大効果を示した。また、1%の2週間反復点眼において、1日6回以上で最大改善効果を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
ジクアホソルナトリウム(Diquafosol Sodium)
化学名
Tetrasodium P 1, P 4-bis(5'-uridyl)tetraphosphate
構造式

分子式
C18H22N4Na4O23P4
分子量
878.23
性状
本品は白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、ホルムアミドに溶けやすく、メタノールに極めて溶けにくく、エタノールにほとんど溶けない。
包装
プラスチック点眼容器 5mL×10本、5mL×50本
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
DE-089点眼液の第I相単回・1日頻回点眼試験,参天製薬(株)社内資料 〔62135〕
2)
DE-089点眼液の第I相連続点眼試験,参天製薬(株)社内資料 〔62136〕
3)
白色ウサギにおける3%14C-INS365点眼液単回点眼時の眼内動態,参天製薬(株)社内資料 〔62137〕
4)
ラット、ウサギ、イヌおよびヒト血漿における14C-DE-089のin vitro代謝物プロファイリング,参天製薬(株)社内資料 〔62176〕
5)
ヒト肝ミクロソームにおける14C-DE-089のin vitro代謝物プロファイリング,参天製薬(株)社内資料 〔62177〕
6)
14C-DE-089の白色ウサギにおける点眼投与後の眼組織中代謝物プロファイリング,参天製薬(株)社内資料 〔6217