に100、150、200、250、500、750又は1,000mg/m2を単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度のCmax及びAUCは用量に比例して上昇し、体内動態の線形性が認められた。
(3) 肝機能障害患者9)
軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害患者(肝細胞癌患者13名、外国人)にカプセル剤の150mg/m2を単回経口投与したとき、血漿中未変化体及びMTIC濃度は肝機能正常患者と差を認めなかった。なお、重度の肝機能障害患者での薬物動態については十分な検討が実施されてない。
(4) 腎機能障害患者10)
各種進行性癌患者(外国人)を対象としたカプセル剤の第I相及び第II相試験で得られた総計445名の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスとクレアチニンクリアランスの間には関連性が認められなかった。なお、重度の腎機能障害患者並びに血液透析が必要な患者における薬物動態の検討は実施されていない。
(5) 小児における薬物動態7、11)
小児の進行性癌患者(年齢:3~17歳、19名、外国人)にカプセル剤の100、120、160、200又は240mg/m2を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したとき、投与5日目の血漿中未変化体濃度のtmaxは1.3~1.9時間、t1/2λzは1.4~1.8時間であり、Cmax及びAUCはいずれも投与量に比例して上昇した。200mg/m2投与群のAUCについて同用量投与時の成人と比較すると、小児で成人の約1.4倍高値を示した。
(6) クリアランスに及ぼす生体側の影響因子12)
各種進行性癌患者(外国人)を対象としたカプセル剤の第I相及び第II相試験で得られた総計359名の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスは、体のサイズ(体表面積、体重)及び性別(女性は男性より5%程度クリアランスが低下した)による影響を受けるが、年齢(19~78歳)、喫煙、総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、Al-P、AST(GOT)、ALT(GPT)及びクレアチニンクリアランスによる影響を受けなかった。
2. 分布
(1) 血漿蛋白結合13)
ヒトに14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、放射能の血漿蛋白結合率(in vivo)は12%~16%であった。
(2) 脳脊髄液中への移行14、15)
神経膠腫患者(外国人)にカプセル剤の75mg/m2を放射線治療との併用により1日1回42~49日間反復経口投与したとき(23名)及び200mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき(32名)、脳脊髄液中への未変化体の移行が認められ、脳脊髄液/血漿のAUC比はそれぞれ20.6%及び20.3%であった。また、脳転移を有する悪性黒色腫患者(1名、外国人)にカプセル剤の150mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき、脳脊髄液中未変化体濃度は血漿中濃度とほぼ平行して推移し、脳脊髄液/血漿のAUC比は約30%であった。
3. 代謝13、16)
テモゾロミドの主要な生体内変換は、テトラジン環の4位のカルボニル基におけるpH依存的な加水分解と脱炭酸によるMTICへの変換と、続いて起こるAIC(5-amino-1H-imidazole-4-carboxamide)への分解であり、このMTICからAICへの分解過程でDNAのアルキル化分子であるメチルジアゾニウムイオンが産生される。これら一連の反応は薬物代謝酵素に依存しない化学反応である。
4. 排泄13)
進行性癌患者(6名、外国人)に14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、投与後7日間で尿及び糞中にそれぞれ投与した放射線量の約38%及び約0.8%が回収された。
5. 薬物相互作用
(1) クリアランスに及ぼす併用薬の影響12)
各種進行性癌患者(外国人)を対象としたカプセル剤の第I相及び第II相試験で得られた総計359名の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、バルプロ酸との併用ではクリアランスが約4.7%低下したが、デキサメタゾン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、H2受容体拮抗薬、オンダンセトロン又はプロクロルペラジンとの併用により影響を受けなかった。
薬物動態の表
表1
中枢神経系悪性腫瘍患者におけるテモゾロミドの薬物動態パラメータ
テモゾロミド
製剤
(投与経路) tmax
(hr) Cmax
(μg/mL) t1/2
(hr) AUC0-t
(μg・hr/mL)
注射剤
(静脈内) 1.50
(0.92-2.00) 7.44
(21) 1.81
(12) 23.4
(18)
カプセル剤
(経口) 1.00
(0.25-2.00) 7.68
(19) 1.91
(13) 22.0
(14)
点推定値(%)a)
(90%信頼区間) - 97
(91-102) - 106
(103-109)
平均値(%CV、n=19)〔但しtmaxは中央値(範囲)〕
a:注射剤(静脈内投与)/カプセル剤(経口投与)
表2
中枢神経系悪性腫瘍患者におけるMTICの薬物動態パラメータ
MTIC
製剤
(投与経路) tmax
(hr) Cmax
(ng/mL) t1/2
(hr) AUC0-t
(ng・hr/mL)
注射剤
(静脈内) 1.50
(1.25-1.75) 320
(61) 1.80
(16) 941
(53)
カプセル剤
(経口) 1.00
(0.25-2.00) 333
(62) 1.77
(11) 944
(60)
点推定値(%)a)
(90%信頼区間) - 98
(91-105) - 103
(98-108)
平均値(%CV、n=19)〔但しtmaxは中央値(範囲)〕
a:注射剤(静脈内投与)/カプセル剤(経口投与)
表3
悪性神経膠腫の再発患者におけるカプセル剤の薬物動態パラメータ
分析対象 投与量
(mg/m2) 投与
(日) tmax
(hr) Cmax
(μg/mL) t1/2λ