塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4~6クール反復する。
・シクロホスファミド、フルオロウラシルとの併用において、標準的なエピルビシン塩酸塩の投与量及び投与方法は、エピルビシン塩酸塩として100mg(力価)/m2(体表面積)を1日1回静脈内に投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、通常4~6クール反復する。
なお、投与量は年齢、症状により適宜減量する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
肝障害のある患者〔副作用が強くあらわれるおそれがある。〕
2.
腎障害のある患者〔副作用が強くあらわれるおそれがある。〕
3.
骨髄抑制のある患者〔副作用が強くあらわれるおそれがある。〕
4.
感染症を合併している患者〔骨髄抑制により感染を増悪させるおそれがある。〕
5.
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
6.
水痘患者〔致命的な全身障害があらわれるおそれがある。〕
7.
他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者〔心筋障害があらわれるおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
骨髄抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、適宜臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
2.
アントラサイクリン系薬剤未治療例で、本剤の総投与量が900mg/m2(体表面積)を超えると、うっ血性心不全を起こすことが多くなるので注意すること。
3.
本剤の総投与量が900mg/m2以下であっても、うっ血性心不全を起こすことがある。特に、他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者及び心臓部あるいは縦隔に放射線療法を受けた患者では心機能検査を行い、慎重に投与すること。
4.
心筋障害等の心毒性については、本剤の投与終了後も発現することがあるので、長期にわたり観察すること。
5.
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)が発生することがあるので、本剤の投与終了後も長期にわたり注意すること。
6.
感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。
7.
小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。(「小児等への投与」の項参照)
8.
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
潜在的に心毒性を有する抗悪性腫瘍剤
アントラサイクリン系薬剤等
臨床症状・措置方法
これらの薬剤が過去に投与されている場合、あるいは併用療法を行う場合は、心筋障害が増強されるおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
機序・危険因子
心筋に対する蓄積毒性が増強される。
薬剤名等
投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射
臨床症状・措置方法
心筋障害が増強するおそれがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
機序・危険因子
心筋に対する蓄積毒性が増強される。
薬剤名等
抗悪性腫瘍剤
放射線照射
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。
薬剤名等
パクリタキセル
臨床症状・措置方法
本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、骨髄抑制等の副作用が増強されるおそれがあるので、併用する場合は、パクリタキセルの前に本剤を投与すること。
機序・危険因子
本剤投与前にパクリタキセルを投与すると、本剤の未変化体の血漿中濃度が上昇する。
薬剤名等
シメチジン
臨床症状・措置方法
シメチジンが本剤のAUCを増加させる。
機序・危険因子
シメチジンが本剤の代謝酵素であるP-450を阻害する。
副作用
副作用等発現状況の概要
本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
重大な副作用
心筋障害
(頻度不明)
心筋障害、更にうっ血性心不全等の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬又は投与を中止すること。特に他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療のある症例に投与する場合には十分注意すること。
骨髄抑制
(頻度不明)
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、出血傾向があらわれることがある。
なお、高度な骨髄抑制により致命的な感染症(敗血症)や消化管出血があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック
(頻度不明)
ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
萎縮膀胱
(頻度不明)
膀胱腔内注入によって萎縮膀胱があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝・胆道障害
(頻度不明)
肝動脈内投与において、肝内胆汁性嚢胞、胆管炎、胆管壊死、肝壊死等の肝・胆道障害があらわれることがあるので、造影剤等により薬剤の分布領域をよく確認し、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍
(頻度不明)
肝動脈内投与において、胃潰瘍、十二指腸潰瘍があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合