539;措置方法
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
機序・危険因子
相手薬剤が肝代謝酵素CYP2D6を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
4. 薬剤名等
シメチジン
キニジン硫酸塩水和物
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が上昇することがある。
機序・危険因子
相手薬剤のチトクロームP450阻害作用に基づく。
5. 薬剤名等
フェニトイン
フェノバルビタール
カルバマゼピン
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が低下することがある。
機序・危険因子
相手薬剤の肝薬物代謝酵素誘導作用に基づく。
6. 薬剤名等
アミオダロン塩酸塩
臨床症状・措置方法
本剤の血中濃度が1.5倍に上昇するとの報告があるので、本剤を2/3に減量すること。
機序・危険因子
機序不明
7. 薬剤名等
Ca拮抗剤
ベラパミル塩酸塩等
臨床症状・措置方法
心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある。
機序・危険因子
本剤並びにCa拮抗剤(ベラパミル等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する。
8. 薬剤名等
塩酸リドカイン
プロカインアミド塩酸塩
臨床症状・措置方法
実験的不整脈モデルにおいて抗不整脈活性あるいは毒性症状が増強するとの報告がある。
機序・危険因子
機序不明
副作用
副作用等発現状況の概要
*○頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)
臨床試験において、総症例268例中、53例(19.78%)の副作用が報告されている。(承認時)
効能・効果追加に伴い実施した調査552例中、85例(15.40%)の副作用が報告されている。(調査終了時)
*○頻脈性不整脈(心室性)
臨床試験および使用成績調査において、総症例2,929例中、265例(9.05%)の副作用が報告されている。(再審査終了時)
重大な副作用
1. *循環器
心室頻拍(torsades de pointesを含む)(0.1~5%未満)、心室細動(0.1%未満)、心房粗動(0.1~5%未満)、高度房室ブロック(0.1~5%未満)、一過性心停止(0.1%未満)、洞停止(又は洞房ブロック)(0.1~5%未満)、心不全の悪化(0.1~5%未満)、Adams-Stokes発作(0.1%未満)があらわれることがある。
このような場合には、本剤の投与を中止し、次の処置法を考慮すること(「過量投与」の項参照)。
(1)
消化器から未吸収薬の除去
(2)
ドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の強心薬投与
(3)
IABP等の補助循環
(4)
ペーシングや電気的除細動
2. 肝機能障害、黄疸
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害(頻度不明)や黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. *循環器注1)
0.1~5%未満
PQ・QRS・QTの延長、胸部不快感、動悸、その他の徐脈、心房細動、血圧上昇、浮腫
2. 循環器注1)
0.1%未満
血圧低下、胸痛
3. 精神神経系
0.1~5%未満
めまい、ふらつき、頭痛、頭重、振戦、眠気、手足のしびれ感
4. 精神神経系
0.1%未満
耳鳴
5. 消化器
0.1~5%未満
悪心、嘔吐、腹痛、腹部膨満感、口渇、食欲不振、下痢、便秘、消化不良
6. 消化器
0.1%未満
口内炎
7. 呼吸器
0.1~5%未満
呼吸困難
8. 視覚器
0.1~5%未満
複視、羞明、視力異常
9. 視覚器
0.1%未満
霧視
10. 肝臓
0.1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、LDH、総ビリルビン値の上昇等
11. 腎臓
0.1~5%未満
BUN、血清クレアチニン値の上昇等
12. 過敏症注2)
0.1~5%未満
そう痒、発疹
13. 血液
0.1~5%未満
白血球増多、ヘモグロビン・ヘマトクリット値増加
14. *その他
0.1~5%未満
けん怠感、舌のしびれ感、苦味感・味覚異常、顔面潮紅、発汗
15. その他
0.1%未満
頻尿等の排尿障害
その他の副作用の注意
注1)定期的に心電図検査を行い、異常な変動が観察された場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注2)このような症状があらわれた場合には、投与を中止すること。
*発現頻度は頻脈性不整脈(発作性心房細動・粗動)承認時までの臨床試験及び効能・効果追加に伴い実施した調査終了時、頻脈性不整脈(心室性)承認時までの臨床試験及び使用成績調査の結果をあわせて算出した。
高齢者への投与
高齢者では、肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすいので慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
〔動物実験(ラット)において催奇形性が認められている。〕
2.
授乳婦への投与は避け、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。
〔ヒトにおいて乳汁中へ移行することが報告されている。〕
過量投与
1. 徴候・症状
過量投与時に心電図諸計測値の延長、心拍数や心収縮性の減少、伝導障害、致死的不整脈、痙攣、低血圧、呼吸不全による死亡等の報告がある。
2. 処置
現状で本剤の過量投与に対する特別な処置法はない。なお、次の処置法を考慮すること。
(1)
消化器から未吸収薬の除去
(2)
ドパミン、ドブタミン、イソプレナリン等の強心薬投与
(3)
IABP等の補助循環
(4)
ペーシングや電気的除細動
本剤は半減期が長いので、上記の処置はできるだけ長時間持続する必要がある。
なお、血液透析は無効である。