上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。〕
2.
高齢者〔「高齢者への投与」の項参照〕
3.
刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者
〔本剤は房室伝導、洞房伝導等を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。〕
4.
著明な洞性徐脈のある患者
〔本剤は洞結節機能を抑制することがある。〕
5.
うっ血性心不全の既往歴のある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。〕
6.
肝機能障害のある患者
〔本剤は肝臓で代謝されるため、このような患者では過量投与になるおそれがある。〕
7.
重篤な腎機能障害のある患者
〔本剤は腎臓から排泄されるため、このような患者では過量投与になるおそれがある。〕
8.
血清カリウム低下のある患者
〔このような患者では催不整脈作用が生じやすく、高度の不整脈に発展するおそれがある。〕
重要な基本的注意
1.
本剤は他の抗不整脈薬が使用できないか又は無効の場合にのみ適用を考慮すること。
2.
本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。特に、次の患者又は場合には、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。 なお、本剤の投与により、torsades de pointes、Adams‐Stokes発作が認められている。
(1)
基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)があり、心不全を来すおそれのある患者
〔本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。また、心室性不整脈患者に投与する場合には、心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高いので、開始後1~2週間は入院させること。〕
(2)
高齢者
〔副作用が発現しやすいので、十分に注意すること。また、心室性不整脈患者に投与する場合には、入院させて開始することが望ましい。「高齢者への投与」の項参照〕
(3)
他の抗不整脈薬との併用
〔有効性、安全性が確立していない。〕
(4)
腎機能障害のある患者
〔本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすい。「薬物動態」の項参照。〕
3.
重篤な腎障害(クレアチニンクリアランスが20mL/min以下)をともなう患者では、血漿中濃度が予測以上に上昇する可能性があるので、1日量として100mg(1回50mg、1日2回)を超えないことが望ましい。
4.
本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性があるので、恒久的ペースメーカー使用中、あるいは一時的ペーシング中の患者に対しては十分注意して投与すること。また、ペースメーカー使用中の患者に投与する場合は適当な間隔でペーシング閾値を測定すること。異常が認められた場合には直ちに減量又は投与を中止すること。
5.
1日用量200mgを超えて投与する場合、血漿中濃度が予測以上に上昇し副作用発現の可能性が増大するので注意すること。
6.
本剤による催不整脈は投与初期や増量時にあらわれることが多いので、十分に注意すること。
7.
発作性心房細動・粗動患者に投与する場合には、発作停止時に洞停止、洞不全症候群の誘発の危険性が高くなるので、十分に注意すること。
8.
本剤の投与中に、めまい、ふらつき等の精神神経系症状が発現し、増悪する傾向にある場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。
9.
本剤でBrugada症候群に特徴的な心電図変化(右脚ブロック及び右側胸部誘導(V1~V3)のST上昇)が顕在化したとの報告があるので、それに伴う心室細動、心室頻拍、心室性期外収縮等の発現に注意すること。
10.
母乳及び乳製品の摂取により、本薬の吸収が抑制され、有効性が低下するおそれがあるので、特に乳幼児に使用する場合には十分注意すること。また、母乳及び乳製品の摂取中止時には、本薬の血中濃度の上昇に十分注意すること。
〔「薬物動態」の項参照〕
相互作用
相互作用の概略
本剤は、主として肝代謝酵素CYP2D6で代謝される。(「薬物動態」の項参照)
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
リトナビル
(ノービア)
臨床症状・措置方法
不整脈、血液障害、痙攣等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
機序・危険因子
リトナビルのチトクロームP450に対する競合的阻害作用により、併用した場合、本剤の血中濃度が大幅に上昇することが予測される。
2.
薬剤名等
*ミラベグロン
(ベタニス)
臨床症状・措置方法
QTが延長し、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等を起こすおそれがある。
機序・危険因子
本剤並びにミラベグロンは催不整脈作用を有する。また、ミラベグロンのチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
3.
薬剤名等
**テラプレビル
(テラビック)
臨床症状・措置方法
QTが延長し、心室性不整脈(torsades de pointesを含む)等を起こすおそれがある。
機序・危険因子
本剤並びにテラプレビルはQT延長作用を有する。
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
ジギタリス配糖体
ジゴキシン
ジギトキシン
デスラノシド等
臨床症状・措置方法
相手薬剤の血中濃度が上昇することがある。
機序・危険因子
機序不明
2. 薬剤名等
β遮断剤
プロプラノロール塩酸塩等
臨床症状・措置方法
心機能低下や房室ブロックがあらわれることがある。また、プロプラノロールとの併用においては、本剤並びにプロプラノロールの血中濃度が上昇することがある。
機序・危険因子
本剤並びにβ遮断剤(プロプラノロール等)は相互に陰性変力作用と房室伝導抑制作用を有する。また、本剤並びにプロプラノロールはともにCYP2D6の基質であるため、相手薬剤の代謝を競合的に阻害する。
3. 薬剤名等
パロキセチン塩酸塩水和物
臨床症状