**臨床症状・措置方法
本剤の投与を受けた者は,生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので,生ワクチンの接種は本剤投与後3ヵ月以上延期すること.また,生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は,投与後3ヵ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい.なお,特発性血小板減少性紫斑病(ITP),川崎病,多発性筋炎・皮膚筋炎,多巣性運動ニューロパチー(MMN)を含む慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP),全身型重症筋無力症に対する大量療法(200mg/kg以上)後に生ワクチンを接種する場合は,原則として生ワクチンの接種を6ヵ月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11ヵ月以上)延期すること.
機序・危険因子
本剤の主成分は免疫抗体であるため,中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある.
副作用
副作用等発現状況の概要
**総症例数2,486例(使用対象疾患:川崎病2,355例,多発性筋炎・皮膚筋炎 52例,低並びに無ガンマグロブリン血症※15例,重症感染症26例,特発性血小板減少性紫斑病15例,全身型重症筋無力症 23例)中285例(11.46%)540件の副作用が報告されている.主な症状としては,肝障害142件(5.71%),悪寒・戦慄77件(3.10%),発熱39件(1.57%),チアノーゼ27件(1.09%),振戦23件(0.93%)等であった.〔全身型重症筋無力症の効能・効果追加承認時〕
※「通常,成人に対しては,1回人免疫グロブリンGとして2,500~5,000mg(50~100mL)を,小児に対しては,1回人免疫グロブリンGとして100~150mg(2~3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する.症状によって適宜増量する.」に従って投与された.
なお,川崎病の急性期を対象とした使用成績調査における副作用の発現率は10.96%(224例/2,044例)で,そのうちショック0.78%(16例18件),ショック又はショックが疑われる症状(チアノーゼ,血圧低下等)2.74%(56例67件)であり,重篤な副作用の発現率は2.89%(59例84件)であった.また,川崎病の急性期の再審査期間中に報告された自発報告において,出荷量あたりの重篤な副作用の発現例数は53例/1,000kg(222例268件)で,そのうちショック17例/1,000kg(72例79件),ショック又はショックが疑われる症状(チアノーゼ,血圧低下等)26例/1,000kg(111例130件)であった.
重大な副作用
1. ショック,アナフィラキシー様症状(0.1~ 5 %未満):
ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,頻脈,喘鳴,喘息様症状,胸内苦悶,血圧低下,脈拍微弱,チアノーゼ等が認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
2. 肝機能障害(0.1~5%未満),黄疸(頻度不明):
AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP,LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと.
3. 無菌性髄膜炎(0.1~5%未満):
大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直,発熱,頭痛,悪心・嘔吐あるいは意識混濁等)があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
4. 急性腎不全(頻度不明):
急性腎不全があらわれることがあるので,投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに,観察を十分に行い,腎機能検査値(BUN,血清クレアチニン等)の悪化,尿量減少が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,急性腎不全の危険性の高い患者においては,適宜減量し,できるだけゆっくりと投与することが望ましい.
5. 血小板減少(頻度不明):
血小板減少を起こすことがあるので,観察を十分に行い,このような場合には,適切な処置を行うこと.
6. 肺水腫(頻度不明):
肺水腫があらわれることがあるので,呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
7. 血栓塞栓症(頻度不明):
大量投与例で,血液粘度の上昇等により,脳梗塞,心筋梗塞,肺塞栓症,深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,中枢神経症状(めまい,意識障害,四肢麻痺等),胸痛,突然の呼吸困難,息切れ,下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,血栓塞栓症の危険性の高い患者においては,適宜減量し,できるだけゆっくりと投与することが望ましい.〔「慎重投与」(3)(4)及び「高齢者への投与」(2)の項参照〕
8. 心不全(頻度不明):
主として川崎病への大量投与例で,循環血液量過多により心不全を発症又は悪化させることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,心雑音,心機能低下,浮腫,尿量減少等が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,心機能の低下している患者においては,適宜減量し,できるだけゆっくりと投与することが望ましい.〔「慎重投与」(7)の項参照〕
その他の副作用
1. 過敏症注)
0.1~5%未満
発疹,蕁麻疹
2. 過敏症注)
0.1%未満
顔面潮紅,局所性浮腫
3. 過敏症注)
頻度不明
そう痒感,全身発赤等
4. 精神神経系注)
0.1~5%未満
振戦,痙攣
5. 精神神経系注)
0.1%未満
傾眠
6. 精神神経系注)
頻度不明
意識障害,不穏
7. 循環器注)
0.1~5%未満
顔色不良,四肢冷感
8. 循環器注)
0.1%未満
血圧上昇,徐脈
**9. 肝臓
5%以上
肝機能検査値の異常〔AST (GOT) ,ALT (GPT) ,γ- GTP,Al-Pの上昇等〕
10. 呼吸器
0.1%未満
咳嗽
11. 呼吸器
頻度不明
喘息様症状,低酸素血症
12. 消化器
0.1~5%未満
悪心,嘔吐,下痢
13. 消化器
0.1%未満
腹痛
14. 血液
0.1%未満
好中球減少
**15. 血液
頻度不明
白血球減少,好酸球増多,溶血性貧血
**16. その他
0.1~5%未満
頭痛,発熱,悪寒・戦慄,体温低下