連する使用上の注意
1.
急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある(低・無ガンマグロブリン血症の患者には注意すること).
2. 投与速度:
ショック等の副作用は初日の投与開始1時間以内,また投与速度を上げた際に起こる可能性があるので,これらの時間帯については特に注意すること.
(1)初日の投与開始から1時間は0.01mL/kg/分で投与し,副作用等の異常所見が認められなければ,徐々に速度を上げてもよい.ただし,0.03mL/kg/分を超えないこと.2日目以降は,前日に耐容した速度で投与する.
(2)川崎病の患者に対し,2,000mg(40mL)/kgを1回で投与する場合は,基本的には(1)の投与速度を遵守することとするが,急激な循環血液量の増大に注意し,20時間以上かけて点滴静注すること.
3.
低並びに無ガンマグロブリン血症の用法・用量は,血清IgGトラフ値を参考に,基礎疾患や感染症などの臨床症状に応じて,投与量,投与間隔を調節する必要があることを考慮すること.
**4.
多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の治療及び全身型重症筋無力症の治療において,少なくとも本剤投与後4週間は本剤の再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない).
*5.
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)における筋力低下の改善は,本剤投与終了1カ月後に認められることがあるので,投与後の経過を十分に観察し,本剤投与終了後1カ月間においては本剤の追加投与は行わないこと.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
IgA欠損症の患者〔抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある.〕
2.
腎障害のある患者〔腎機能を悪化させるおそれがある.〕
3.
脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者〔大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある.〕
4.
血栓塞栓症の危険性の高い患者〔大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある.〕
5.
溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
6.
免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕
7.
心機能の低下している患者〔大量投与による急激な循環血液量の増大等によりうっ血性心不全を起こすおそれがある.〕
重要な基本的注意
患者への説明:本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
1.
本剤の原材料となる献血者の血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体及び抗HTLV-I抗体陰性で,かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している.更に,プールした試験血漿については,HIV-1,HBV及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分からポリエチレングリコール4000処理,DEAEセファデックス処理等により人免疫グロブリンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程において60℃,10時間の液状加熱処理,ウイルス除去膜によるろ過処理及びpH3.9~4.4の条件下での液状インキュベーション処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
(1)
血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
(2)
現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.
2.
ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので,注意して使用し,経過を十分観察すること.特に小児等に使用する場合には投与速度に注意するとともに,経過を十分に観察すること.(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)
3.
本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する.したがって,血液型がO型以外の患者に大量投与したとき,まれに溶血性貧血を起こすことがある.
4.
本剤による特発性血小板減少性紫斑病の治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること.
5.
小児の急性特発性血小板減少性紫斑病は多くの場合自然寛解するものであることを考慮すること.
6.
川崎病の患者では特に1歳未満の乳幼児群に投与した場合,AST(GOT),ALT(GPT)上昇等の肝機能障害発現率が高い傾向が認められているので,投与後の観察を十分に行うこと.
7.
川崎病の患者における追加投与は,本剤投与による効果が不十分(発熱の持続等)で,症状の改善がみられないなど必要と判断される場合にのみ行うこと.〔本剤追加投与の有効性及び安全性は確立していない.〕
**8.
多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下及び全身型重症筋無力症において,本剤投与後に明らかな臨床症状の悪化が認められた場合には,治療上の有益性と危険性を十分に考慮した上で,本剤の再投与を判断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない).
*9.
本剤による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の治療は原因療法ではなく対症療法であること及び反復投与による有効性,安全性は確立していないことに留意すること.
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
薬剤名等
非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン,おたふくかぜワクチン,風疹ワクチン,これら混合ワクチン,水痘ワクチン等)