これらの処置の間は常に観察下におくこと。
適用上の注意
服用に際し、水、ミルクあるいは牛乳に溶解してもさしつかえない。なお、本剤を水に溶解した場合、わずかに白濁する。
その他の注意
β遮断剤服用中の患者では、他の薬剤によるアナフィラキシー反応がより重篤になることがあり、また、通常用量のアドレナリンによる治療に抵抗するとの報告がある。
薬物動態
1. 吸収2)
健康成人にカルテオロール塩酸塩を10~30mg経口投与した場合、速やかに吸収され、血中濃度は約1時間後に最高に達する。血中濃度の半減期は約5時間である。
2. 代謝・排泄2~6)
(1)
健康成人にカルテオロール塩酸塩を10~30mg経口投与した場合、その約70%が未変化体として尿中に排泄され、一部はCYP2D6により水酸化され、8-ヒドロキシカルテオロールとして排泄される2,3)。なお、代謝産物に、本剤をしのぐ薬理作用・毒性は認められていない4,5)。
(2)
患者にカルテオロール塩酸塩0.2~0.3mg/kgを経口投与した場合、健康成人と同様に未変化体と8-ヒドロキシカルテオロールが尿中に排泄されることが確認されている6)。
臨床成績
国内16施設で総計166例について実施された臨床試験の概要は次のとおりである。ファロー四徴症に対しては、139例中、「有用」以上の判定を得たものは123例(有用率88.5%)であった7~9)。また、プロプラノロール塩酸塩を対照薬とする交叉比較試験において本剤は、「チアノーゼ発作の回数と程度」及び「チアノーゼ発作の持続時間」に対する改善効果に優れ、副作用を加味した有用度においても優れることが明らかにされている。
薬効薬理
1. アドレナリン性β受容体遮断作用10~13)
カルテオロール塩酸塩は強力なアドレナリン性β受容体遮断作用を示す。これがチアノーゼ発作に対する治療薬としての本剤の主たる薬理作用である。
(1)
麻酔犬及びその摘出臓器を用いたin vitroの実験において、カルテオロール塩酸塩は心臓神経刺激あるいは体液性因子による心拍数上昇、心筋収縮力増大に拮抗する10~12)。
(2)
麻酔した幼若犬においても成熟犬と同様に、カルテオロール塩酸塩はイソプレナリンによる心拍数増大と血圧下降に対し拮抗する13)。
2. 作用持続時間14,15)
(1)
麻酔犬において、カルテオロール塩酸塩のアドレナリン性β受容体遮断作用は長時間持続する14)。
(2)
健康成人での運動負荷試験において、カルテオロール塩酸塩の心拍数上昇抑制効果は長時間持続する15)。
3. 内因性交感神経刺激様作用11,13,16,17)
(1)
麻酔開胸犬において、カルテオロール塩酸塩はアドレナリン性β受容体遮断用量での陰性変時・変力作用は弱く、大量投与で心臓興奮作用があらわれ、除神経・レセルピン処理下では低用量からそれが明確にあらわれる11,16)。
(2)
幼若犬においても、カルテオロール塩酸塩の心機能抑制作用は弱く、大量投与で心臓興奮作用があらわれることが確認されている13)。
(3)
健康成人において、カルテオロール塩酸塩は安静時の心拍数に影響を与えず、心機能抑制作用も弱いことが確認されている17)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
カルテオロール塩酸塩〔Carteolol Hydrochloride(JAN)〕
化学名
5-[(2RS)-3-(1,1-Dimethylethyl)amino-2-hydroxypropyloxy]-3,4-dihydroquinolin-2(1H)-one monohydrochloride
構造式
分子式
C16H24N2O3・HCl
分子量
328.83
性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)又は酢酸(100)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは5.0~6.0である。水溶液(1→20)は旋光性を示さない。
包装
小児用ミケラン細粒0.2%:[プラスチックボトル]100g
主要文献及び文献請求先
主要文献
-
1)
-
厚生省医薬品副作用情報 No.77,3~4,1986年2月
-
2)
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Morita,S.et al.:Arzneim.-Forsch./Drug Res.,27(II),2380-2383,1977
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3)
-
Kudo,S.et al.:Eur.J.Clin.Pharmacol.,52(6),479-485,1997
-
4)
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内多 稔ほか:薬学雑誌,96(5),571-577,1976
-
5)
-
石原高文ほか:社内資料(代謝産物の一般薬理作用),1976
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6)
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笹辺裕行ほか:社内資料(尿中代謝産物の定量),1982
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7)
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森 忠三ほか:第86回日本小児科学会発表,1983,大阪
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8)
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長嶋正實ほか:小児科臨床,36(2),415-424,1983
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9)
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石原義紀ほか:小児科診療,42(6),772-777,1979
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10)
-
Hashimoto,K.et al.:Jpn.J.Pharmacol.,26(4),504-506,1976
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11)
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Yabuuchi,Y.et al.:Jpn.J.Pharmacol.,24(6),853-861,1974
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12)
-
岳中典男ほか:日薬理誌.,71(2),221-230,1975
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13)
-
山下修司ほか:社内資料(イヌにおけるβ-遮断作用),1982
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14)
-
Nakagawa,K.et a