plusmn;0.56
15 3.00±0.00 1657.3±274.4 4659.2±867.2 0.66±0.04
臨床成績
1. クモ膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状の改善(凍結乾燥製剤のデータ)
(1)
二重盲検比較試験において,クモ膜下出血術後の脳血管攣縮及びこれに伴う脳虚血症状に対して有用性が認められている3)。
(2)
二重盲検比較試験の成績では脳血管攣縮の発生頻度,運動麻痺レベルの推移及び脳梗塞の出現頻度について対照群との間に有意の差が認められている。なお,機能予後については効果が確認されていない3)。
(3)
二重盲検比較試験を含む臨床試験において,有効率は242例中161例(66.5%)である。
2. 脳血栓症(急性期)に伴う運動障害の改善(凍結乾燥製剤のデータ)
(1)
二重盲検比較試験において,脳血栓症急性期の運動障害に対して有用性が認められている4)。
(2)
二重盲検比較試験の成績では脳血栓症急性期の運動障害のほか神経症候,自覚症状及び日常生活動作の改善率について対照群との間に有意の差が認められている4)。
(3)
二重盲検比較試験を含む臨床試験において全般改善度は243例中120例(49.4%)である。
薬効薬理
1. 作用機序
本剤はトロンボキサン合成酵素を選択的に阻害してトロンボキサンA2の産生を抑制し,プロスタサイクリンの産生を促進して,両者のバランス異常を改善するとともに血小板凝集抑制作用を示す。さらに,脳血管攣縮及び脳血流量の低下を抑制し,脳の微小循環障害やエネルギー代謝異常を改善して,クモ膜下出血術後の脳血管攣縮およびこれに伴う脳虚血症状を改善すること並びに脳血栓症急性期に伴う運動障害を改善する。
2. 薬理作用
(1) アラキドン酸代謝酵素に対する作用
オザグレルナトリウムは,ヒト及びウサギ血小板のトロンボキサンA2(TXA2)合成酵素に対し強い阻害作用を示す5,6)。一方,シクロオキシゲナーゼ,プロスタサイクリン(PGI2)合成酵素,PGE2イソメラーゼ及び12-リポキシゲナーゼに対しては影響を及ぼさない(in vitro)5)。
(2) TXA2,PGI2の産生に対する作用
1)
健康成人及び脳血栓症患者に静脈内投与すると,TXA2産生が著明に抑制され,PGI2の産生促進が認められる1,2)。
2)
ラットの中大脳動脈閉塞・再開通モデルに閉塞後静脈内持続投与(100μg/kg/分)すると,再開通後の血漿中PGI2/TXA2濃度比の低下を抑制する7)。
(3) 血小板に対する作用
1)
ウサギ多血小板血漿におけるアラキドン酸及びコラーゲンによる凝集を10-5M~10-4Mで濃度依存的に抑制し,また,ヒト多血小板血漿におけるアラキドン酸,コラーゲン及びADPによる凝集,並びに血小板からのセロトニン遊離を抑制する(in vitro)8)。
2)
ネコ脳軟膜血管内皮傷害モデルに静脈内投与(10mg/kg)すると,脳軟膜動脈の血小板血栓形成を抑制する9)。
3)
10-4Mを添加したウサギ多血小板血漿をアラキドン酸で刺激すると,血小板中サイクリックAMPが増加する(in vitro)8)。
(4) 脳血管攣縮,脳血管径及び脳血流量に対する作用
1)
自家血を大槽内に注入したイヌのクモ膜下出血モデルに静脈内持続投与又は大槽内に直接注入すると,脳底動脈の攣縮及び局所脳血流量の低下を抑制する10,11)。
2)
高血圧自然発症ラットの両側総けい動脈閉塞・再開通モデルに閉塞前より静脈内持続投与(100μg/kg/分)すると,局所脳血流量の低下を抑制する12)。
3)
ネコ脳軟膜血管内皮傷害モデルに静脈内投与(10mg/kg)すると,脳軟膜動脈を拡張する9)。
4)
脳血栓症患者に静脈内投与すると,白質脳血流量が増加する 13)。
(5) 脳エネルギー代謝に対する作用
1)
高血圧自然発症ラットの両側総けい動脈閉塞・再開通モデルに閉塞前より静脈内持続投与(100μg/kg/分)すると,局所脳ブドウ糖代謝の低下を抑制する12)。
2)
高血圧自然発症ラット両側総けい動脈閉塞・再開通モデルに閉塞前に静脈内投与(30mg/kg)すると,脳内ATPの減少と乳酸量の増加を抑制する14)。
(6) 脳塞栓形成に対する作用
1)
アラキドン酸を持続注入したウサギの脳梗塞モデルに静脈内投与(0.3,1mg/kg)すると,脳梗塞巣の形成を抑制する5)。
2)
ラットの中大脳動脈閉塞・再開通モデルに閉塞前より静脈内持続投与(100μg/kg/分)すると,脳梗塞巣の形成を抑制する7)。
(7) 運動機能障害に対する作用
ラットの中大脳動脈閉塞・再開通モデルに閉塞後静脈内持続投与(100μg/kg/分)すると,片麻痺等の運動機能障害を改善する7)。
有効成分に関する理化学的知見
*一般名
オザグレルナトリウム (Ozagrel Sodium)
*化学名
Monosodium(2E)-3-[4-(1H-imidazol-1-ylmethyl)phenyl]prop-2-enoate
*構造式
分子式
C13H11N2NaO2
分子量
250.23
*性状
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水に溶けやすく,メタノールにやや溶けやすく,エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
取扱い上の注意
1.
アンプルを振り,首の部分に溜まっている液体を落とします。
2.
アンプル本体を持ち,上部キャップをねじって取り外します。このときに本体を強く握らないようにしてください。
3.
注射筒をアンプルに接続する前にアンプル内液と同容量以上の空気を吸っておきます。
4.
注射針を装着せずに注射筒をアンプルに接続します。アンプルを上にし,注射筒の空気を注入後,内容液を抜き取ります。1回で全量が抜き取れなかった場合には,ポンピングを繰り返し抜き取ってください。
包装
キサンボンS注射