中央値(範囲)、A:肝機能正常者、B:軽度肝機能低下患者、C:中等度肝機能低下患者、D:重度肝機能低下患者
上記とは異なる用量で投与された14例については記載を省略
臨床成績
1. **悪性軟部腫瘍
(1) 第III相臨床試験(国際共同試験)14)
アントラサイクリン系薬剤を含む前治療に対して病勢進行が認められた転移病変を有する悪性軟部腫瘍患者に本剤800mgを1日1回経口投与した時の有効性及び安全性について、プラセボを対照として評価した。本試験では、脂肪肉腫、横紋筋肉腫(多形型又は胞巣型を除く)、軟骨肉腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍/未熟神経外胚葉性腫瘍、消化管間質腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫、炎症性筋線維芽細胞肉腫、悪性中皮腫、子宮の中胚葉性混合腫瘍を組入れ対象から除外した。有効性解析対象例は369例(本剤群246例、プラセボ群123例)であり、このうち47例(本剤群31例、プラセボ群16例)が日本人であった。
主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、本剤群で20.0週、プラセボ群で7.0週であり、本剤群のPFSはプラセボ群と比して有意に延長した(ハザード比:0.35、95%信頼区間:0.26~0.48、p<0.001、両側層別ログランク検定)。
図-2 PFSのKaplan-Meier曲線(全体集団、独立判定)
副次的評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、本剤群で12.6ヵ月、プラセボ群で10.7ヵ月であり、事前に規定した有意水準(p≦0.04434)には至らなかった(ハザード比:0.87、95.57%信頼区間:0.67~1.13、p=0.256、両側層別ログランク検定)。
(2) 第II相臨床試験(海外試験)15)
再発又は難治性の悪性軟部腫瘍患者に本剤800mg(製造販売用製剤とは異なる製剤)を1日1回経口投与した時の有効性及び安全性について、腫瘍組織型別(脂肪肉腫、平滑筋肉腫、滑膜肉腫、その他)に評価した。本試験では、胎児型横紋筋肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍/未熟神経外胚葉性腫瘍、消化管間質腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫、炎症性筋線維芽細胞肉腫、悪性中皮腫、子宮の中胚葉性混合腫瘍を組入れ対象から除外した。有効性解析対象例は138例であった。
主要評価項目である投与12週時のprogression-free rate(PF率:その時点の評価がCR、PR又はSDであった被験者の割合)16)は以下のとおりであった。
(表-3参照)
2. **根治切除不能又は転移性の腎細胞癌
(1) 第III相臨床試験(国際共同試験)17)
全身治療による治療歴のない局所進行性又は転移性腎細胞癌患者に本剤800mgを1日1回経口投与した時の有効性及び安全性について、スニチニブ(50mgを1日1回4週間経口投与後に2週間休薬の6週間を1サイクルとして投与)を対照として評価した。有効性解析対象例は1110例注1)(本剤群557例、スニチニブ群553例)であり、このうち60例(本剤群29例、スニチニブ群31例)が日本人であった。組織学的分類では有効性解析対象1110例のうち1031例(92.9%)が淡明細胞型であった。
主要評価項目であるPFSの中央値は、本剤群で8.4ヵ月、スニチニブ群で9.5ヵ月であり、事前に規定した本剤群のスニチニブ群に対する非劣性の判断基準(ハザード比の95%信頼区間の上限値が1.25を下回る)を満たした(ハザード比:1.0466、95%信頼区間:0.8982~1.2195)。
注1)本試験に準じてアジア(中国、韓国及び台湾)で実施された第II相臨床試験の被験者183例(本剤群93例、スニチニブ群90例)を含む。
図-3 PFSのKaplan-Meier曲線(全体集団、独立判定)
副次的評価項目であるOSの中間解析(2012年5月時点)では、OSの中央値は、本剤群で28.4ヵ月、スニチニブ群で29.3ヵ月であった(ハザード比:0.908、95%信頼区間:0.762~1.082、p=0.275、両側層別ログランク検定)。
(2) 第III相臨床試験(海外試験)18)
局所進行性又は転移性腎細胞癌患者(未治療の患者又は1レジメンのサイトカイン治療歴のある患者)に本剤800mgを1日1回経口投与した時の有効性及び安全性について、プラセボを対照として評価した。有効性解析対象例は435例(本剤群290例、プラセボ群145例)であり、組織学的分類ではこのうち434例(99.8%)が淡明細胞型であった。
主要評価項目であるPFSの中央値は、本剤群で9.2ヵ月、プラセボ群で4.2ヵ月であり、本剤群のPFSはプラセボ群と比して有意に延長した(ハザード比:0.46、95%信頼区間:0.34~0.62、p<0.0000001、片側層別ログランク検定)。
図-4 PFSのKaplan-Meier曲線(全体集団、独立判定)
副次的評価項目であるOSの中央値は、本剤群で22.9ヵ月、プラセボ群で20.5ヵ月であり、有意な差は認められなかった(ハザード比:0.91、95%信頼区間:0.71~1.16、p=0.224、片側層別ログランク検定)。
3. 肝機能障害(外国人)9)
肝機能障害患者98例(肝機能正常者23例、軽度肝機能低下者23例、中等度肝機能低下者20例、重度肝機能低下者32例)に本剤を1日1回反復経口投与したときの安全性及び薬物動態について評価した(安全性解析対象例97例)。400mgコホートの中等度肝機能障害患者2/4例で用量制限毒性(Grade 4のAST増加1例、Grade 4のAST増加、Grade 4のALT増加及びGrade 3の高ビリルビン血症が1例)が認められ、中等度以上の肝機能障害患者での最大耐用量は200mgであった。(「薬物動態」の項参照)
(表-4参照)
表-3 投与12週時のPF率
脂肪肉腫
(N=19) 平滑筋肉腫
(N=41) 滑膜肉腫
(N=37) その他
(N=41)
12週時評価
CR 0 0 0 0
PR 0 1 4 1
SD 5 16 14 16
PF率(%)
(90%信頼区間) 26
(11.0, 47.6) 41
(28.4, 55.5) 49
(34.3, 63.2) 41
(28.4, 55.5)
表-4 肝機能障害患者での用量制限毒性
投与量
(mg) 肝機能
正常 肝機能
軽度低下 肝機能
中等度低下 肝機能